出荷を間違えない実務2026.09.16 公開SA-01

梱包のやり方|壊さず、資材を使いすぎない

目次

梱包は、輸送中の破損を防ぐことと、資材と時間を使いすぎないことの両方を満たす必要があります。厳重にすれば壊れませんが、資材費と作業時間が積み上がります。逆に薄くすると、破損の連絡とその対応で、節約したぶんが吹き飛びます。

この記事では、梱包を、目的の整理箱の選び方緩衝材の入れ方資材の使用量の管理壊れたときの見直し方の順に整理します。扱う品物で最適な形は変わるため、自社の品物に置き換えて読んでください。

梱包資材の使用量を記録する様式が配られています。

梱包が満たすこと

梱包に求められることは、4つあります。輸送中に壊れないこと、中身が分かること、積みやすいこと、開けやすいこと。

このうち、忘れられやすいのが3つ目と4つ目です。積みにくい形の箱は、トラックの荷台で無理な積み方をされ、結果として壊れます。開けにくい梱包は、相手先の作業を増やします。テープを何重にも巻いた箱は、開けるときにカッターで中身まで切られることがあります。

中身が分かることも大事です。箱の外から品番と数量が読めれば、相手先での検品が早く終わり、間違いの発見も早くなります。送り状だけでなく、内容が分かる表示を付けるかどうかは、相手先との取り決めで決まります。

梱包が満たす4つ壊れない中身が分かる積みやすい開けやすい梱包
梱包が満たす4つ

箱の選び方

箱は、中身に対して大きすぎず、小さすぎないものを選びます。大きすぎると隙間を埋める緩衝材が増え、中で動いて壊れます。小さすぎると角が当たり、閉じるときに無理がかかります。

サイズの種類を増やしすぎると、選ぶ時間と在庫の場所が増えます。3種類から5種類に絞って、それぞれの守備範囲を決めるのが実務的です。品目ごとに「この品番はこの箱」と決めておけば、選ぶ判断も要りません。

強度も見ます。段ボールには厚みと強度の等級があり、重い品物や段積みする荷物では強いものが要ります。底が抜ける事故は、箱の強度か、底の留め方のどちらかが原因です。重い品目は、底をH貼りにするだけでも変わります。

資材を置く場所を決める

箱と緩衝材は、梱包の台のすぐそばに置きます。取りに行く距離が長いと、その往復が1日に何十回も積み上がります。よく使うサイズを手の届く場所に、たまに使うサイズを少し離れた場所に置くだけで、作業が速くなります。

箱は3種類から5種類に絞る決めること効き方種類を絞る選ぶ時間と在庫が減る品目ごとに箱を決める判断が要らなくなる強度を見る底抜けを防ぐ置き場を台の近くに往復が消える
箱は3種類から5種類に絞る

緩衝材の入れ方

緩衝材は、量ではなく入れる場所で効きます。箱の中で品物が動かない状態を作るのが目的で、詰め込むことが目的ではありません。

基本の形は、底に緩衝材を敷き、品物を置き、隙間を埋め、上に緩衝材を乗せて蓋をします。品物が箱の壁や角に直接触れないようにします。振ってみて中で動かなければ、量は足りています。動くようなら、隙間の位置を見つけて埋めます。

複数の品物を1つの箱に入れるときは、間にも緩衝材を入れます。ぶつかり合って壊れるのは、外からの衝撃より多い破損の形です。重い品物を下に、軽い品物を上にします。液体や割れ物は、個別に包んでから箱に入れます。

緩衝材の種類は、品物の性格で選びます。細かい部品には仕切りのある容器、平たいものには板状のもの、不定形なものには詰め物。1種類で全部を賄おうとすると、どこかで無理が出ます。

使いすぎに気づく形

資材費は、1件ごとには小さいので気づきにくい費用です。月ごとの資材の使用量を、出荷件数で割って、1件あたりの量を出します。この数字が上がっていれば、使いすぎか、箱のサイズが合っていないかのどちらかです。

使用量の記録は、入出庫の記録と同じ形で残せます。資材も在庫なので、在庫管理表に入れておけば、発注のタイミングも同時に管理できます。在庫管理表の作り方は在庫管理表の作り方にまとめています。

1件あたりの資材量で見る先月緩衝材出荷件数で割って、1件あたりの量を出す今月(増えている)緩衝材が増えた=サイズが合っていない
1件あたりの資材量で見る

手順を決めておく

梱包は、人によってやり方が変わりやすい作業です。品目ごとに手順を決めて、写真を1枚貼っておくと、誰がやっても同じ形になります。

決めるのは、使う箱のサイズ、緩衝材の種類と入れる場所、テープの貼り方、同梱するもの(納品書、説明書、付属品)、外装の表示です。文字で書くより、完成した状態の写真を1枚貼るほうが早く伝わります。

新しく入った人には、この写真を見せて1回やってもらいます。口頭の説明だけだと、翌日には別の形になります。写真は現場に貼るのが要点で、ファイルに綴じると見られません。

同梱物の確認を検品に入れる

納品書の入れ忘れ、付属品の入れ忘れは、品物そのものは正しいだけに見つかりにくい間違いです。梱包の直前に、同梱するものを並べてから箱に入れる形にすると減ります。出荷検品の項目にも入れておきます。出荷検品の組み方は出荷検品のやり方にまとめています。

作業台の作り方

梱包の速さは、台の広さと道具の配置で決まります。品物、箱、緩衝材、送り状、テープが、座ったまま、あるいは立ったまま手の届く範囲にそろっているのが理想の形です。

台が狭いと、箱を組み立てる場所と、品物を並べる場所が取り合いになります。組み立てた箱を床に置いてから詰める形になり、腰をかがめる回数が増えます。台を広げるだけで、1件あたりの時間と体への負担の両方が下がります。

テープカッターの位置、緩衝材の補充のしやすさも効きます。テープが切れるたびに交換に行く、緩衝材を取りに行く、といった往復が積み上がります。補充する担当を決めて、朝のうちに1日ぶんを台のそばに用意しておくと、作業中の中断が消えます。

高さも見ます。台が低すぎると前かがみになり、高すぎると肩が上がります。扱う品物の高さに合わせて、台の高さを変えられるようにするのがいちばんですが、難しければ、よく使う台だけでも調整します。

未梱包と梱包済みを分ける

作業台にも、未梱包と梱包済みを分ける線を引きます。混ざると、二重に梱包したり、梱包せずに送り状を貼ったりします。検品の台と同じ考え方で、物理的に分けておきます。

台の上に線を引いて分ける混ざる台未梱包と済みが同じ二重に梱包する送り状を貼る前に出る線で分けた台未梱包と済みを分ける中断しても戻れるテープ1本でできる
台の上に線を引いて分ける
点検表テンプレート
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実際に使える様式が必要な方へ

『梱包資材使用実績表』の様式が、点検板グループの在庫板で配られています。そのまま使えるExcelです。

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送り状を貼るタイミング

送り状は、梱包が終わった箱に、その場で1枚貼ります。まとめて印刷して、あとからまとめて貼る形が、貼り間違いのいちばん多い原因です。

印刷済みの束を作らない。1件終わったら1枚貼る。この形にするだけで、別の相手先の送り状を貼る事故がほぼ無くなります。貼ったあとに、送り状の相手先と納品書の相手先が同じかを見ます。この確認は数秒で終わります。

個口が複数ある出荷は、全部の箱に貼ったかを数えます。個口数と貼った枚数が合っているかを、積み込みの前にもう一度見ます。誤出荷の型と対策は誤出荷の原因と対策にまとめています。

壊れたときに見直す

輸送中の破損が起きたら、梱包を見直す材料にします。どこが壊れたか、どの向きで壊れたかを写真で残します。角がつぶれているなら箱の強度か積み方、中身だけが割れているなら緩衝材の位置、底が抜けているなら底の留め方です。

同じ品目で繰り返し起きるなら、その品目の梱包を変えます。1回きりなら、輸送のときの扱いが原因かもしれません。件数を数えて、繰り返しているかどうかで判断します。破損の記録の残し方は輸送中の破損への対応にまとめています。

過剰な梱包に振れないことも大事です。1件の破損に驚いて全品目の梱包を厚くすると、資材費と時間が跳ね上がります。起きた品目だけを見直すのが、費用と安全のつり合いを保つやり方になります。

壊れ方で原因の場所が分かる壊れ方疑うところ角がつぶれている箱の強度か積み方中身だけ割れている緩衝材の位置底が抜けている底の留め方と強度全体が押しつぶれ上に重い荷物が乗った
壊れ方で原因の場所が分かる

パレットに積むときの梱包

1件ずつの箱ではなく、パレット単位で出す出荷では、梱包の考え方が変わります。箱そのものより、パレット全体をどうまとめるかが効きます。

積み方は、交互に組む形にすると崩れにくくなります。同じ向きに揃えて積むと、面で滑ります。パレットからはみ出さないことも大事で、はみ出した角はフォークリフトや他の荷物に当たって潰れます。はみ出さない箱のサイズを選ぶところから、梱包の設計が始まります。

まとめる方法は、ストレッチフィルムで巻く、バンドで締める、天面に板を乗せる、といった形があります。巻く回数を増やせば崩れにくくなりますが、資材と時間が増えます。輸送の距離と積み替えの回数で、どこまで締めるかを決めます。

パレットに載せた高さも決めておきます。高く積むほど効率はよくなりますが、崩れやすく、フォークリフトの視界も塞ぎます。品目ごとに上限を決めて、現場に掲示します。積み方と荷崩れの防ぎ方は荷崩れを防ぐにまとめています。

環境と費用の両方で見る

資材を減らすことは、費用の削減と、廃棄物を減らすことの両方につながります。相手先から、包装を減らしてほしいと求められることもあります。

減らすときは、破損が増えないことを確かめながら進めます。1つの品目で1か月試して、破損の連絡が増えなければ広げる、という順にします。全品目を一度に変えると、増えたときにどこが原因か分かりません。

箱の再利用も選択肢です。入荷で届いた箱を、社内の移動や一部の出荷に使う形です。相手先によっては、再利用の箱を嫌う場合があるので、使ってよい範囲は先に決めておきます。

資材の発注と保管

梱包資材は、切れると出荷が止まる在庫です。品物の在庫と同じように、発注点を決めて管理します。段ボールは場所を取るので、置き場が足りずに発注をためらうという形が起きやすい品目でもあります。

置き場の確保も含めて、発注のタイミングを決めます。繁忙期の前に多めに手配するなら、その時期に空けられる場所も一緒に考えます。組み立て前の段ボールは平たいので、立てて置ける棚を1つ作るだけで場所が収まることがあります。

資材は湿気にも弱く、濡れた場所に置くと強度が落ちます。外に近い場所や、床に直置きしている場合は、パレットの上に載せるだけでも変わります。使う前に強度が落ちていると、いくら丁寧に梱包しても底が抜けます。

仕入先を1社に絞るか、複数持つかも判断が要ります。1社だと単価は下がりますが、その会社が遅れたときに止まります。繁忙期に切らせないことを優先するなら、予備の仕入先を1社持っておくという選択もあります。発注の残の管理は発注残の管理にまとめています。

資材も在庫として発注点を決める1数える在庫に入れ2発注点切れる前に3置き場濡らさない4繁忙期前に多めに
資材も在庫として発注点を決める

誰がやっても同じ形にする

梱包は、慣れた人ほど自分のやり方ができあがります。その人が休んだ日に、品物が壊れて戻ってくるという形で差が表に出ます。

差を埋めるのは、写真と、品目ごとの決めごとです。使う箱、緩衝材の種類と量、テープの貼り方、同梱物。これを1枚の紙にして、作業台の正面に貼ります。紙より写真のほうが早く伝わるので、完成した状態を撮って並べます。

新しい品目が増えたときは、誰が決めるかも決めておきます。最初に梱包した人のやり方が、そのまま標準になることが多いので、その1回だけは丁寧に決めて写真を残します。あとから直すより、最初に決めるほうが手間がかかりません。

よくある質問

梱包の時間が人によって倍くらい違います

手順が決まっていないことがほとんどです。品目ごとに使う箱と緩衝材を決めて、完成の写真を貼ります。選ぶ判断が消えるだけで、時間の差が縮みます。それでも差が残る場合は、資材の置き場所と作業台の広さを見ます。

箱のサイズを増やしてほしいと言われます

サイズが増えるほど、在庫の場所と選ぶ時間が増えます。その品目の出荷件数を見て、増やす価値があるかを判断します。月に数件なら、既存のサイズで緩衝材を足すほうが安く済みます。件数が多いなら、専用のサイズを持つ意味があります。

資材の在庫が切れました

資材も在庫として、発注点を決めて管理します。箱や緩衝材が切れると、出荷そのものが止まります。在庫管理表に入れて、発注点を下回ったら色が付く形にしておきます。繁忙期は使用量が増えるので、その前に多めに手配します。

相手先から包装を減らすよう求められました

まず、いまの梱包で何を守っているかを整理します。そのうえで、減らしても破損が増えない範囲を試します。1品目、1か月で試して、破損の件数を比べます。減らした結果として破損が増えたら、その事実を相手先に伝えて、再度相談します。

濡れる品物の梱包はどうしますか

外装の段ボールは水に弱いので、中身を防水の袋に入れてから箱に入れる形が基本になります。屋外で積み降ろしされることが分かっている場合は、パレット全体をラップで巻く方法もあります。雨の日の荷役の手順も合わせて決めておきます。

梱包を外注できますか

流通加工として請け負う倉庫会社があります。自社でやる場合の人件費と資材費を、外注の単価と比べます。件数が季節で大きく振れる場合は、繁忙期だけ外に出すという形もあります。見積りを比べるときは、資材費が含まれるかどうかを必ず確かめます。比べ方は見積比較表の作り方にまとめています。

緩衝材を減らしたら破損が増えました

減らした量が過ぎたか、入れる場所が変わったかのどちらかです。元の形に戻したうえで、1か所ずつ減らして試します。底、四隅、上の順に効きやすいので、上から減らすほうが安全です。減らす前と後で、破損の件数を必ず比べます。

資材の使用量はどう記録しますか

出庫として記録する形が扱いやすくなります。箱1枚も在庫の1つとして、使ったぶんを引きます。全部を細かく記録するのが重いなら、月に1回、棚卸のときに残数を数えて、前月との差から使用量を出す方法でも足ります。

品物ごとに箱を変えると在庫が増えませんか

サイズを増やすほど在庫と場所が要るので、種類は絞ったまま、品目ごとに「どの箱を使うか」を決める形にします。5種類の箱で100品目を賄うイメージです。決めておけば選ぶ時間が消え、緩衝材の量も安定します。新しい品目が増えたときだけ、どの箱にするかを決めます。

まとめ

梱包は、壊れないことと、資材と時間を使いすぎないことの両方を満たす作業です。厳重にすれば安全ですが、費用と時間が積み上がります。

箱は3種類から5種類に絞り、品目ごとに使う箱を決めます。緩衝材は量ではなく、入れる場所で効きます。振って動かなければ足りています。

そして、破損が起きたら壊れ方を写真で残して、その品目だけを見直します。1件の破損で全品目の梱包を厚くすると、費用が跳ね上がります。起きたところだけを直すのが、つり合いを保つやり方です。

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