出荷検品のやり方|出す前の確認を1か所に
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出荷検品は、間違いを外に出さないための最後の関所です。ここで止められれば、相手への謝罪も、回収の手配も、在庫の修正も起きません。1件の誤出荷にかかる時間と費用を考えると、検品に数秒かける価値は十分にあります。
この記事では、出荷検品を、入荷検品との違い、見る項目、やり方、濃淡の付け方、続かなくなる理由の順に整理します。扱う品物と工程で最適な形は変わるため、自社の出荷の流れに置き換えて読んでください。
出荷検品とは何か
出荷検品は、出す前に、注文どおりのものを用意できているかを確かめる作業です。入荷検品が「届いたものが頼んだとおりか」を見るのに対して、出荷検品は「出そうとしているものが約束どおりか」を見ます。
見る相手が違うので、力の入れどころも変わります。入荷検品で見つかった間違いは、仕入先に連絡して直せます。出荷検品で見逃した間違いは、相手に届いてから発覚します。取り返すのに、謝罪、代替品の手配、回収、在庫の修正と、何倍もの手間がかかります。
だから、出荷検品はピッキングした人とは別の人が見るのが原則になります。同じ人が見ると、取ったときの思い込みがそのまま通ります。人数の都合でどうしても同じ人になる場合は、時間を空ける、見る順番を変える、といった形で見方を変えます。入荷側の組み方は検品のやり方にまとめています。
見る項目を絞る
全部を同じ濃さで見ると、結局どれも見ていない状態になります。出荷検品で見るのは、次の5つです。
| 項目 | 見方 |
|---|---|
| 品番 | 下3桁を声に出す。似た品番は特に |
| 数量 | ケースとバラを分けて数える |
| 相手先 | 送り状と納品書が同じ相手か |
| 個口数 | 伝票の個口数と実際の箱の数 |
| 外観・期限 | 汚れ、破損、残存期間 |
この中で、いちばん取り返しがつかないのが相手先です。品番や数量の間違いは謝って送り直せますが、別の会社に送ってしまうと、情報が外に出たことにもなります。
忙しい日でも、品番・数量・相手先の3つだけは必ず見るという最小の形を決めておきます。全項目かゼロかの二択にすると、忙しい日はゼロになります。誤出荷の型と対策は誤出荷の原因と対策にまとめています。
やり方の型
検品の台に、未検品と検品済みを分ける線を引きます。床でも台の上でも構いません。混ざらない形を先に作るのが出発点です。途中で呼ばれて戻ってきたときも、どこまで見たかが分かります。
進め方は、リストを立てて置き、1行ずつ指で追いながら、品番の下3桁と数量を声に出します。目で追うだけより、間違いに気づく確率が上がります。1件あたり数秒しか増えません。指差しと呼称が効くのは、目と手と口の3つを使うことで、流し見になりにくいためです。
見る順番は固定します。左から右、上から下。人によって順番が違うと、教えるときにも困りますし、抜けた場所が本人にも分かりません。順番を決めて全員でそろえます。
終わったら、その場で梱包します。検品済みの荷物を置いたまま次の注文に移ると、混ざる余地が生まれます。梱包が終わったら送り状を1枚貼ります。まとめて印刷した送り状の束を作らないのが、貼り間違いを防ぐいちばん確実な方法です。梱包のやり方は梱包のやり方にまとめています。
かごを注文ごとに分ける
複数の注文を1つの台車で進めると、必ず混ざります。かごを注文ごとに分けて、かごに注文番号を付けます。台車が足りないときは、かごの中を仕切るだけでも効きます。物理的に分かれていれば、検品の人が確かめる対象もはっきりします。
リストの作り方で検品が変わる
出荷検品の速さと正確さは、渡されるリストの形でかなり決まります。品番が小さく、行が詰まっているリストは、それだけで見落としを生みます。
品番は大きく印刷します。似た品番が並ぶ品目では、違う部分だけ太字にする、色を変えるといった工夫が効きます。数量も同じで、1と7、6と8のような見間違いを避ける書き方にします。手書きの数字を読む形が残っているなら、そこは特に間違いが起きます。
行の並びは棚番の順にします。ピッキングの歩く順と同じになるので、取る側も検品する側も追いやすくなります。品番順に並んだリストは、倉庫の中を行ったり来たりすることになり、検品でも照合の順番が現物と合いません。棚番の付け方はロケーション管理のやり方にまとめています。
1枚に詰め込みすぎないことも大事です。行間が狭いと、隣の行を見てしまいます。紙が2枚になっても、読み間違いが減るほうが結果として早く終わります。
チェック欄は右端に置く
確認した行に印を付ける欄を、リストの右端に用意します。印を付けながら進めば、どこまで見たかが分かり、途中で中断しても戻れます。印の無い行が残っていれば、見ていない行です。見た証拠にもなります。
個口数と重さを確かめる
見落とされやすいのが、個口数です。3個口の出荷で2個しか渡っていなければ、相手先では欠品として扱われます。送り状の個口数と、実際に積む箱の数を、積む直前に数えます。
重さも手がかりになります。いつも10キログラム前後の出荷が、その日だけ4キログラムなら、何かが入っていません。秤を出荷口に置いて、梱包後の重さを記録している現場もあります。品目ごとの標準の重さが分かっていれば、入れ忘れが数字で見つかります。
個口に通し番号を振るのも効きます。「1/3」「2/3」「3/3」と書いておけば、受け取った側も欠品に気づけます。相手先ごとの決まりがある場合は、その形に合わせます。
濃淡を付ける
全件を2人で見るのは、続きません。忙しい日から順に省かれて、結局どの出荷も見ない形になります。対象を絞って、絞ったところは必ず守るほうが結果が出ます。
濃く見るのは、次のような出荷です。初めての取引先、金額の大きい出荷、数量の多い出荷、似た品番が混ざっている出荷、急ぎで割り込んだ出荷。ここだけ2人で見る形にすれば、時間を大きく増やさずに危ないところを守れます。
逆に、毎日同じ相手に同じ品目を1個ずつ出しているような出荷は、軽くて構いません。危なさに応じて濃さを変えるのが、現場で続く形になります。
相手先ごとの決まりを1枚にまとめる
出荷検品で見つからない間違いの一部は、こちらの作業ミスではなく、相手先ごとの決まりを知らなかったために起きます。納品書を箱の外に入れるか中に入れるか、パレットの積み方、指定の運送会社と時間帯、個口ごとのラベル。
こうした決まりは、担当者の記憶に置かれがちです。担当が変わった日に、そのまま落ちます。相手先ごとに1枚の表にして、ピッキングリストと一緒に出るようにしておくと、初めての人でも同じ形で出せます。
新しい取引先の1回目は、出荷の前に写真を撮って相手に見てもらう、という手当てをしている現場もあります。手間はかかりますが、最初に形を決めておくと、2回目以降が楽になります。間違いが起きるのは、たいてい1回目か、担当が変わった直後です。
特記事項は検品の人に届く形で
営業や受注の担当が聞いた「今回だけ納品書を入れないでほしい」といった話が、検品の人まで届かないことがあります。口頭で伝わる経路に頼らず、出荷指示の紙に書き込まれる形にしておきます。書く場所が無ければ、備考欄を作ります。
記録に残す
検品したことを残しておくと、問題が起きたときに話が早く終わります。相手先から「頼んだものと違う」と連絡が来たときに、検品の記録があれば、出るときにどうだったかを示せます。
残すのは、出荷日、注文番号、相手先、品番と数量、検品した人、個口数です。紙のチェック表に印を付ける形でも足ります。全件の記録が重いなら、濃く見た出荷だけ記録する形でも構いません。
写真を撮っておく現場もあります。高額品や、過去にやり取りのあった相手先では、梱包前の状態を1枚撮っておくと確認が早くなります。注文番号で探せる形で保存することが条件です。撮っただけで探せないと、必要なときに出てきません。
出荷の締め時刻を守る形にする
検品が雑になるのは、たいてい締め間際です。運送会社の集荷時刻が迫っていると、確認の工程から先に削られます。時間に追われた状態で見る検品は、見ていないのとあまり変わりません。
手当ては2つあります。1つは、締めの時刻を前倒しして、検品の時間を先に確保することです。集荷が17時なら、出荷作業の締めを16時にして、残りの1時間を確認と積み込みに充てます。もう1つは、前日に作れる出荷を前倒しすることです。注文が前日に確定しているぶんは、先にピッキングと梱包まで進めて、確認済みの置き場に置いておきます。
当日は行き先の確認と積み込みだけになるので、締め間際の混雑が小さくなります。誤出荷が夕方に集中している現場では、これがいちばん効きます。集中している時間帯の見つけ方は誤出荷の原因と対策にまとめています。
割り込みの出荷を分けて扱う
急ぎで割り込んだ出荷は、通常の流れから外れるぶん間違いが起きやすくなります。かごに目立つ色の札を付けて、割り込みだと分かる形にします。検品の人は、その札が付いた出荷を濃く見ます。急ぎだからこそ、確認は落とさないという扱いにします。
続かなくなる理由
出荷検品が形だけになるときの理由は、決まっています。
見る項目が多すぎる、リストが見づらい、台が狭くて全部を並べられない、記録が誰にも見られていない、時間が足りない。どれも、人の意識ではなく作業の設計の問題です。
特に効くのが、記録が使われていないという状態です。書いても何も起きないと分かると、書き方が雑になり、やがて書かなくなります。月に1回でよいので、記録から分かったこと(止めた件数、どの工程で見つかったか)を現場に返します。止めた件数は、検品が効いている証拠として扱います。
止めた件数を数える
誤出荷の件数だけを数えていると、検品の価値が見えません。出る前に止めた件数を別に数えます。この数が多いのは悪いことではなく、前の工程に改善の余地があることと、検品が働いていることの両方を示しています。
検品の結果を前の工程に返す
出荷検品で止めた間違いは、その場で直して終わりにしがちです。しかし、止めた内容には前の工程の情報が入っています。どの品目で、どの工程で、どの時間帯に起きたか。これを集めておくと、検品を厚くするより効く手が見つかります。
同じ品目の取り違えが月に何度も止まっているなら、その品目の棚が隣り合っている可能性があります。離して置く、色の違うラベルを貼る、という手当てで、そもそも取り違えが起きなくなります。検品は最後の関所ですが、関所で止める件数を減らすほうが、全体としては軽くなります。
止めた件数を週に1回数えて、月に1回、上位の品目と工程を現場に返します。数分で終わる作業です。これをやらないと、同じ間違いを毎月止め続けることになります。
よくある質問
1人しかいない時間帯はどうしますか
同じ人がピッキングから検品まで続けて行うと、思い込みがそのまま通ります。時間を空ける、リストを逆から見る、数を2回数えるといった形で見方を変えます。それでも危ない出荷(初回の相手先、高額品)は、翌日に回してでも別の人に見てもらうほうが安全です。
バーコードを読めば出荷検品は要らなくなりますか
品番の取り違えと数量の誤りは大きく減ります。一方で、相手先の取り違え、個口数の不足、外観の異常は読み取れません。機械が見るものと人が見るものを分けて、人の側は残った項目に集中する形にすると効果が出ます。
検品の時間が足りません
全件を同じ濃さで見ていることがほとんどです。危なさで濃淡を付けます。初回の相手先、高額品、数量の多い出荷だけを2人で見る形にすれば、全体の時間はほとんど増えません。あわせて、ピッキングのリストを棚番順にする、かごを注文ごとに分けるなど、前の工程の精度を上げると検品が軽くなります。
相手先から間違いの連絡が来たときは
まず事実を確認して、正しい品物の手配と、いつ届くかを伝えます。そのうえで、検品の記録を見て、どの工程で起きたかを特定します。記録が残っていれば、次の対策が具体的になります。謝罪と原因究明は分けて進めます。
派遣や短期の人に検品を任せられますか
任せられます。見る項目を3つに絞った紙と、記入例を渡します。品番の下3桁と数量と相手先。この3つなら、品物を知らなくても確かめられます。最初の1週間は、終わったあとに抜き取りで確認すると安心して任せられます。
検品を2人でやる余裕がありません
全件を2人で見る必要はありません。初回の相手先、高額品、数量の多い出荷だけに絞れば、1日のうち数件で済みます。その数件だけ、別の人に声をかけて見てもらう形にします。人を増やすのではなく、対象を絞るのが現実的な答えになります。
出荷後に在庫を引くタイミングはいつですか
車に積んで出た時点にそろえます。検品が終わった時点で引くと、積み残しが出たときに在庫だけが減ります。積み込みまで終わってから記録する形にしておくと、現物の動きと帳簿が一致します。記録の付け方は入出庫管理のやり方にまとめています。
検品の記録はどのくらい残しますか
社内の改善に使うだけなら1年が扱いやすい範囲です。取引先との契約で保管の条件が定められている場合は、そちらが優先されます。問い合わせが来るのは出荷から数日以内が大半なので、直近3か月はすぐ取り出せる場所に置いておくと実務が回ります。
まとめ
出荷検品は、間違いを外に出さないための最後の関所です。ピッキングした人とは別の人が見るのが原則で、それが難しいときは時間や見る順番を変えて、見方を変えます。
見る項目は5つありますが、忙しい日でも品番・数量・相手先の3つは必ず見ます。全項目かゼロかの二択にすると、忙しい日はゼロになります。
そして、止めた件数を数えることです。誤出荷の件数だけを見ていると検品の価値が見えません。出る前に止めた数は、検品が働いている証拠として現場に返します。