検品とは?やり方とミスを減らす進め方
目次
検品は、倉庫のなかで「やっているのに効いていない」と言われやすい作業です。時間はかかっているのに誤出荷は減らない、という状態が続くと、忙しい日から順に省かれていきます。効かせるには、何を見るのかを絞って、見た結果を残す形にするのが近道です。
この記事では、検品を、種類の分け方、見る項目、入荷と出荷それぞれの手順、全数と抜き取りの選び方、記録の残し方の順に整理します。扱う品物によって見るところは変わるため、自社の品物に置き換えて読んでください。
検品とは何か
検品は、品物が注文や伝票のとおりかを確かめる作業です。倉庫では、行う場面で3つに分かれます。
| 種類 | いつ | 何のために |
|---|---|---|
| 入荷検品 | 荷物を受け取ったとき | 頼んだものが、頼んだ数だけ届いたか |
| 出荷検品 | 出す前 | 注文どおりのものを出そうとしているか |
| 工程内の検品 | 流通加工・詰め合わせのとき | 加工の結果が指示どおりか |
検品と検収の違い
似た言葉に「検収」があります。検品は物を確かめる作業、検収は受け取りを認める意思表示という違いがあります。検収を済ませると、原則として代金を支払う段階に進みます。
この違いが効くのは、数量違いや不良が見つかったときです。検収を済ませたあとに気づくと、話が長くなります。だから入荷検品は、荷物を棚に入れる前、検収の前に行います。
検品で見る項目
見るものを絞らないと、どれも見ていない状態になります。実務では次の5つです。
| 項目 | 見方 |
|---|---|
| 品番・品名 | 現品の表示と伝票を照らす。下3桁を声に出す |
| 数量 | ケースとバラを分けて数える |
| 外観 | 潰れ、濡れ、破れ。開梱せずに分かる範囲 |
| 期限・ロット | 期限の日付と、指定のロットかどうか |
| 付属品・同梱物 | 説明書、納品書、専用の部品 |
全部を毎回見る必要はありません。品物によって、危ないところは違います。期限のある品物なら期限、似た品番が多い品物なら品番、という形で、その品物でいちばん間違えやすい項目を1つ決めて重く見るほうが効きます。
入荷検品の手順
入荷検品は、棚に入れる前に行います。棚に入ってから数えると、既存の在庫と混ざって分けられません。
- 荷物を入荷用の置き場に降ろす(棚に入れない)
- 納品書と発注の控えを照らす(頼んだものかどうか)
- 品番と数量を数える
- 外観と期限を見る
- 記録に書く。違いがあればその場で連絡する
- 棚入れする。棚番を記録する
入荷の置き場を分ける
「入荷待ち」の場所を決めて、そこに降ろすのが要点です。通路に置くと、誰かが親切で棚に入れてしまいます。床にテープで枠を作るだけでも変わります。
数が違ったときは、受け取った数を書く
伝票の数をそのまま書き写すと、差が消えます。実際に受け取った数を書き、伝票との差を備考に書く。そのうえで、相手先へ連絡します。ここを飛ばすと、後日の棚卸差異として出てきます。
全数検品と抜き取り検品
全部を見るか、一部を見るかは、品物と相手先の実績で決めます。
| やり方 | 向いている場面 |
|---|---|
| 全数検品 | 高額品、初めての取引先、過去に問題のあった品目、少量 |
| 抜き取り検品 | 実績のある相手からの定番品、大量、同一品目の箱詰め |
| 外装のみ確認 | 封がされたまま転送する荷物、荷主の指定がある場合 |
全部を全数で見ようとすると続きません。忙しい日に省かれて、結局どれも見ない形になります。最初から「この品目は全数、この品目は抜き取り」と決めて、紙に書いておきます。
抜き取りの数はどう決めるか
厳密には、受け入れ検査の規格(抜取検査の表)を使って決める方法があります。ただし、倉庫の入荷検品でそこまで行うことは多くありません。実務では、「1ロットにつき何箱」「箱の中から何個」と自社で決めて運用している現場が大半です。
決めるときの目安は、問題が出たときの影響の大きさです。1個の不良が生産を止める部品なら数を増やし、代替の効く消耗品なら減らします。
実際に使える様式が必要な方へ
入荷検品記録表や在庫管理表を一から作ると手間がかかります。既成の様式でよければ、点検板の姉妹サイトである在庫板に無料のExcelがそろっています。
在庫板で様式をさがす出荷検品の手順
出荷検品は、ピッキングした人と別の人が見るのが原則です。同じ人が見ると、取ったときの思い込みがそのまま通ります。
- ピッキングリストと、かごの中身を照らす
- 品番の下3桁と数量を声に出す
- 外観を見る(汚れ、破損、期限)
- 梱包する
- 送り状を1枚だけ貼る
- 行き先を確認して出荷の置き場へ
見る順番を固定する
毎回同じ順で見ると、抜けに気づきやすくなります。左から右、上から下、といった順番を決めて、全員で同じにします。人によって順番が違うと、教えるときにも困ります。
指差しと呼称が効く理由
指を差して声に出すと、目と手と口の3つを使うことになり、流し見になりにくくなります。1件あたり数秒しか増えません。誤出荷を減らす他の手当ては誤出荷の原因と対策にまとめています。
検品の記録を残す
記録が残っていないと、問題が起きたときに「検品したはず」としか言えません。相手先との話し合いでも、記録の有無で進み方が変わります。
入荷検品の記録に残す項目は次のとおりです。
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| 入荷日・仕入先・伝票番号 | どの荷物か |
| 品番・品名 | 何を受け取ったか |
| 伝票数量・実数量 | 差があれば分かる形に |
| 期限・ロット | 期限のある品物だけ |
| 判定 | 合格・保留・返品 |
| 検品者 | 誰が見たか |
| 備考 | 外観の異常、連絡の有無 |
「判定」の欄を作るのが要点です。合格しか無い記録は、見ていない記録と区別がつきません。保留や返品が時々出ている記録のほうが、機能している証拠になります。
不良や数量違いが出たときの動き
見つけたあとの手順を決めておかないと、現品が現場に置き去りになります。
- その場で止める。棚に入れない
- 保留の置き場に移す(合格品と物理的に分ける)
- 仕入先へ連絡する(数量違い、不良の内容)
- 返品か、値引きか、交換かを決める
- 決まるまでの間、在庫として数えるかどうかを決めておく
5が抜けると、棚卸のときに混乱します。保留品は在庫に数えない、と決めているなら、保留の置き場の分だけ帳簿から外れている状態になります。どちらでもよいので、決めて紙に書いておきます。
保留品の置き場は狭く作る
広く作ると、判断されないまま溜まります。狭い場所にして、あふれたら誰かが困る形にしておくほうが、処理が進みます。
検品が形だけになるとき
しばらく運用していると、検品が形だけになることがあります。次のどれかが起きていないかを見ます。
| 起きていること | 手当て |
|---|---|
| 見る項目が多すぎる | 品目ごとに重点を1つに絞る |
| リストが見づらい | 品番を大きく、棚番順に並べる |
| 検品の場所が狭い | 広げて置ける台を用意する |
| 記録が使われていない | 月1回、記録から傾向を出して現場に返す |
| 時間が足りない | 全数の対象を絞る |
記録が誰にも見られていない状態が、いちばん効きます。書いても何も起きないと分かると、書き方が雑になります。月に1回、数分でよいので、記録から分かったことを現場に返します。
教え方
新しく入った人に検品を任せるときは、品物の知識ではなく、見る手順を渡します。
- 見る項目を3つまでに絞った紙を渡す
- 現物の見本を用意する(良品と、過去にあった不良)
- 最初の1週間は、終わったあとに抜き取りで確認する
- 分からないときに止めてよい、と最初に伝える
「止めてよい」と伝えておくのが大事です。止めると迷惑がかかると思われると、迷ったまま通します。止めて確認した件数を数えておくと、教える側も安心して任せられます。
検品しやすい置き方にする
検品の速さと正確さは、作業台の作り方でかなり決まります。人の集中力より先に、置き方を見ます。
| 直すところ | 効き方 |
|---|---|
| 検品する台を広く取る | 全部を並べて見られる。数え直しが減る |
| 照明を明るくする | 表示と期限の印字が読める |
| 未検品と検品済みを線で分ける | 混ざらない。途中で中断しても戻れる |
| リストを立てて置く | 手で押さえずに読める |
未検品と検品済みが混ざるのが、最も多い事故の形です。声かけで分けるのではなく、台の上にテープで線を引きます。途中で呼ばれて戻ってきたときも、どこまで見たかが分かります。
期限の印字は、読める向きに置く
期限を見る品物では、印字の面を手前にそろえて置くだけで、確認が速くなります。箱の向きがバラバラだと、1つずつ回して見ることになります。入荷の棚入れのときに向きをそろえておくと、その後すべての工程で効きます。
数え方を決めておく
数量の誤りは、数え方が人によって違うことから生まれます。次の3つを決めて紙にします。
- ケースとバラを分けて数えるか、合計で数えるか
- 10個ずつ並べて数えるか、手に取って数えるか
- 数え終わったものをどこへ置くか
「10個ずつ並べる」は、数え間違いを見つけやすい形です。列が揃わないところで気づけます。小さな部品や袋物では、数えるより重さで見るほうが速いこともあります。個数と重さの対応表を作っておくと、大量のときに使えます。
数量の多いものは2回数える
同じ人が2回数えるだけでも、1回よりは合います。1回目と2回目の数が違ったときだけ、3回目を別の人が数えるという形にすると、時間をかけずに精度が上がります。
記録から傾向を出す
集めた検品の記録は、月に1回まとめます。見るのは3つだけです。
| 見るもの | 分かること |
|---|---|
| 仕入先ごとの数量違いの件数 | どの仕入先が不安定か |
| 品目ごとの不良の件数 | どの品目を全数にすべきか |
| 保留から返品になった割合 | 判断が滞っていないか |
仕入先ごとに並べると、話が具体的になります。「最近よく違う」ではなく「3か月で7件、うち5件が数量違い」と言えると、相手先も動きやすくなります。
この集計は、抜き取りの対象を決め直すときにも使います。問題の出ていない仕入先は抜き取りを軽くし、出ている仕入先は全数に戻す。記録が、次の月の作業量を決める形になります。
荷主から検品を任されている場合
委託で倉庫を運営している場合、検品の範囲は契約で決まっています。自社の判断で増やしたり減らしたりできる部分と、そうでない部分があります。
先に確かめておくのは次の3点です。
- どこまでを検品するか(外装のみか、開梱して中身までか)
- 不良が見つかったときに、誰が判断するか
- 記録の様式と、保管の期間が指定されているか
「開梱してよいかどうか」は、後から揉めやすいところです。封をしたまま転送する契約なのに開けてしまうと、責任の所在が変わることがあります。分からないときは、開ける前に荷主へ確認します。
報告の形をそろえる
荷主へ出す検品の報告は、毎回同じ形にそろえると手間が減ります。件数、内訳、写真の有無を決めておけば、担当が変わっても同じものが出せます。報告の頻度も、契約で決まっていることがあります。
よくある質問
検品にどのくらい時間をかけるのが適切ですか
品物と工程で変わるため、一律の目安はありません。まず現状を測るところから始めます。1件あたり何秒かかっているかを数日測ると、絞る余地があるかどうかが見えます。全品目を同じ濃さで見ている現場では、濃淡を付けるだけで時間が下がります。
バーコードを読めば検品は要らなくなりますか
品番の取り違えと数量の誤りは大きく減ります。一方で、外観の異常、期限、付属品の有無は読み取れません。機械が見られるものと、人が見るものを分けたうえで、人の側は残った項目に集中する形にすると効果が出ます。
検品の記録はどのくらい保管しますか
社内の改善に使うだけなら1年から3年が扱いやすい範囲ですが、取引先との契約や、扱う品物の規制で保管期間が決まっている場合はそちらが優先されます。食品や医薬品などでは、別の規定が関わることがあるため、契約書と所管の窓口に確認してください。
1人しかいない時間帯はどう検品しますか
同じ人がピッキングと検品を続けて行うと、思い込みがそのまま通ります。時間を空ける、順番を変える、リストを逆から見るといった形で、見方を変えると効き方が上がります。時間を空けられないときは、高額品と初回の相手先だけでも、別の人が見る形にします。
検品の担当を固定すべきですか、回すべきですか
品物に慣れるという点では固定が有利ですが、慣れは見落としにもつながります。主担当を決めつつ、月に何回かは別の人が見る形にすると、両方の利点が取れます。別の人が見た回で見つかったものは、手順を見直す材料になります。
検品の項目を減らすと、品質が落ちませんか
減らすのではなく、濃淡を付けると考えます。全項目を薄く見るより、その品物でいちばん危ない項目を厚く見るほうが、見つかる不良は増えます。過去の記録で、実際に何が見つかっているかを並べると、どこを厚くすべきかが決まります。
抜き取りで不良が出たら、全数を見ますか
そのロットは全数に切り替えるのが一般的です。そのうえで、仕入先へ連絡して、原因と次のロットの扱いを決めます。同じ仕入先で繰り返す場合は、しばらく全数に戻す、という運用にしている現場もあります。
忙しい日に検品を飛ばしてしまいます
飛ばす前提で設計しておくほうが安全です。「忙しい日でも、この3つだけは必ず見る」という最小の形を先に決めておきます。行き先、品番、数量の3つに絞れば、数秒で済みます。全項目か、ゼロか、の二択にすると、忙しい日はゼロになります。
まとめ
検品は、入荷・出荷・工程内の3つの場面に分かれます。入荷検品は棚に入れる前、検収の前に行うのが原則です。ここで数が違えば、その場で受け取った数を書いて連絡します。
見る項目は5つありますが、全部を同じ濃さで見ると続きません。品物ごとに重点を1つ決めて、そこを重く見ます。全数か抜き取りかも、品目と相手先の実績で先に決めておきます。
そして、記録に「判定」の欄を作ることです。合格しか無い記録は、見ていない記録と区別がつきません。保留や返品が時々出ている記録のほうが、検品が働いている証拠になります。