在庫を合わせる実務2026.09.16 公開TZ-04

ロケーション管理とは?棚番の付け方を解説

目次

ロケーション管理は、倉庫の改善のなかでいちばん費用がかからず、いちばん効く部類に入ります。棚に番号を振って、どこに何があるかを記録する。それだけのことですが、探す時間、誤出荷、棚卸の時間が同時に減ります。

この記事では、ロケーション管理を、固定とフリーの違い棚番の付け方表示の作り方置き場所の決め方変更したときの記録の順に整理します。倉庫の形や扱う品物で最適な形は変わるため、自社の通路の作りに合わせて読み替えてください。

棚番の一覧表を探している方は、在庫板に無料のExcel様式があります。

ロケーション管理とは何か

ロケーション管理は、倉庫の場所に住所を付けて、どの品物がどこにあるかを記録するしくみです。「Aさんに聞かないと分からない」を「表を見れば分かる」に変えるための土台になります。

やっていることは3つだけです。

やること中身
場所に番号を振る棚・段・間口に住所を付ける
現品と棚に表示するその場で読める形にする
在庫と場所を結びつけて記録する品番と棚番を同じ表に持つ

3つ目が抜けている倉庫が多くあります。棚に番号は振ってあるのに、どの品番がどの棚かは人の記憶のまま、という状態です。これだと、担当が休んだ日に止まります。

ロケーション管理でやることは3つ1番号を振る棚に住所を付ける2表示する棚と現品に貼る3記録する品番と棚番を結ぶ
ロケーション管理でやることは3つ

固定ロケーションとフリーロケーション

置き方は2通りあります。どちらが優れているというより、品目数と在庫量の動き方で決まります。

固定ロケーション

品番ごとに置く場所を決めて、そこから動かさないやり方です。

  • 長所:慣れれば表を見なくても取りに行ける。教えるのが簡単
  • 短所:在庫がゼロでも場所が空く。品目が増えると場所が足りなくなる

フリーロケーション

空いている場所に置き、置いた場所を記録するやり方です。

  • 長所:場所を無駄なく使える。品目が増えても対応できる
  • 短所:記録が命綱になる。記録を落とすと在庫が行方不明になる

フリーロケーションは、記録のしくみが先に無いと成立しません。紙の台帳でも回りますが、置いた瞬間に書く運用が守れることが前提です。まずは固定で始めて、場所が足りなくなってからフリーに移る、という順番が安全です。

実務では混ぜることが多い

全体をどちらかに寄せる必要はありません。動きの多い主力品は固定、季節品や少量多品種はフリーという混ぜ方が、現実にはよく使われます。

固定ロケーションとフリーロケーション固定ロケーション品番ごとに決める表を見ずに取れる空きが出る品目が増えると足りないフリーロケーション空いた場所に置く無駄なく使える記録が命綱記録を落とすと行方不明
固定ロケーションとフリーロケーション

棚番の付け方

棚番は、歩く順番どおりに増えていくように振ります。ここを外すと、ピッキングのときに人が行ったり来たりします。

一般的なのは、次のように桁を分ける形です。

A - 03 - 2 - 1
  A ……… 通路(エリア)
  03 …… 連(通路の何番目の棚か)
  2 ……… 段(下から何段目か)
  1 ……… 間口(左から何番目か)
何を表すか決め方
通路エリア。A、B、C入口に近いほうから
通路の中の棚の並び歩く向きに01から
棚の高さ下から数える(増設で狂わない)
間口1段の中の区切り左から

段は下から数える

上から数えると、棚を1段増やしたときに全部の番号がずれます。下から数えておけば、増設しても既存の番号はそのままです。細かいことですが、あとで効きます。

桁数は最初から余らせる

連を2桁で振っておくと、99まで増やせます。1桁で始めて10連目で困る、というのが典型的な失敗です。使わない桁は、いま余っていても取っておきます。

棚番は歩く順に増やす棚番の付け方通路A・B・C01から。歩く順下から数える間口左から表示立って読める字上から数えると増設でずれる桁は余らせる歩く順路と同じに
棚番は歩く順に増やす

棚の表示と現品の表示

番号を決めても、現場で読めなければ使われません。表示には、次の3つを守ります。

守ること理由
通路から立ったまま読める大きさしゃがんで読む表示は見られなくなる
棚のラベルと表の書き方をそろえる「A-03-2-1」と「A0321」が混ざると照合できない
現品にも品番を貼る棚だけだと、置き間違いに気づけない

現品表示が効く場面

棚の表示だけだと、品物が1つ隣の間口に置かれていても気づけません。現品に品番が貼ってあれば、取るときに違和感が出ます。誤出荷の多くは、この一手間で減ります。詳しくは誤出荷の原因と対策にまとめています。

点検表テンプレート
様式をさがす

実際に使える様式が必要な方へ

棚番の一覧や棚移動の記録表を一から作ると手間がかかります。既成の様式でよければ、点検板の姉妹サイトである在庫板に無料のExcelがそろっています。

在庫板で様式をさがす

どこに何を置くか

住所が付いたら、次はどの品物をどこに置くかです。ここは、出荷の頻度と重さで決めます。

置く場所向いている品物
入口に近い・腰の高さ出荷頻度が高い。いちばん取りやすい場所
入口に近い・下の段頻度が高く、重い
奥・上の段頻度が低い。軽い
奥・下の段頻度が低く、重い

腰から目の高さは、倉庫でいちばん価値の高い場所です。ここに、月に1回しか出ない品物が置かれていないかを見ます。

出荷頻度は3か月ごとに見直す

出荷の多い品目は入れ替わります。3か月に1回、出荷回数の多い順に並べ直して、上位のものが取りやすい場所にあるかを確かめます。全部を並べ替える必要はなく、上位20品目だけ見ればほとんど効きます。

重い物は下に置く

安全の面でも、腰を痛めないという面でも、重い物は下です。上の段に重い物を置くと、取るときに頭上へ持ち上げることになります。倉庫の災害の型は倉庫の安全対策にまとめています。

出荷頻度と重さで置き場所を決める入口の下の段取りやすく腰に優しい奥の下の段たまに使う重量物腰から目の高さいちばん価値が高い奥の上の段軽くて動かない物重い ↑軽い ↓← 出荷が少ない出荷が多い →
出荷頻度と重さで置き場所を決める

場所を変えたときの記録

ロケーション管理が崩れるのは、棚を移したときに記録を直さなかったときです。ここだけは決めておきます。

  • 棚を移したら、その場で記録を直す
  • 移した日、品番、元の棚番、新しい棚番を残す
  • 移動の途中で止めない(半分だけ移した状態を作らない)

「あとでまとめて直す」を許すと、その日のうちに在庫が行方不明になります。移動の記録は1行で足りるので、移す作業とセットにします。

棚卸のときに一斉に直す

日々の記録が追いつかないときは、棚卸のタイミングで棚番を洗い直す方法もあります。数えるときにどの棚にあったかを書けば、そのまま最新の配置になります。棚卸の手順は棚卸のやり方に書いています。

精度を測る

ロケーション管理が効いているかどうかは、数字で見られます。

指標出し方
ロケーション精度表と現物の場所が一致した棚 ÷ 確かめた棚
探した時間ピッキング1件あたりの所要時間
場所違いによる差異棚卸差異のうち、場所違いが原因だったもの

いちばん簡単なのは、抜き取りで20棚だけ確かめるやり方です。週に1回、20棚を見て、何棚合っていたかを数える。5分で終わって、傾向がはっきり出ます。

週に1回、20棚だけ抜き取る月曜20棚を見るその場合わない棚を直す月末一致率を出す5分で終わる。続けると傾向がはっきり出る
週に1回、20棚だけ抜き取る

合わなかった棚は、その日のうちに直す

抜き取りで見つけた不一致は、その場で記録を現物に合わせます。「あとで一覧にして直す」にすると、次の抜き取りまでに同じ棚がもう一度出てきます。直した件数を週ごとに数えておくと、減っているかどうかが見えます。

表計算で始める

システムを入れなくても、表計算で十分に始められます。持つ列は次のとおりです。

中身
棚番A-03-2-1 の形。並べ替えの基準になる
品番・品名現品表示と同じ書き方
入数・単位ケースとバラの区別
最終更新日いつ直した記録か
備考期限あり、重量物、要注意など

棚番で並べ替えられる形にしておくと、そのまま棚卸表とピッキングリストの土台になります。品番順の表を作ってしまうと、この使い方ができません。

棚番を振る手順

これから振る倉庫では、次の順で進めます。先に紙の上で図を作り、現物に貼るのは最後にします。

  1. 倉庫の平面図を書く。通路と棚の並びだけでよい
  2. 入口から歩く順路を決め、通路にA、B、Cを振る
  3. 通路ごとに、連・段・間口の桁数を決める
  4. 表計算で棚番の一覧を作る(この時点ではまだ空の住所)
  5. ラベルを印刷して貼る
  6. いまある在庫を、棚番の欄に書き込んでいく

4と5を飛ばして現物に手書きしないのが要点です。手書きで始めると、書き方が人によって変わり、あとで表と照合できなくなります。

1日で全部やろうとしない

通路1本ずつでも構いません。A通路だけ完成させて1週間使ってみると、桁数や表示の大きさに無理があれば分かります。全棟に貼ってから直すと、貼り直しが数百枚になります。

棚番を振る手順1図を書く通路と棚だ2順路を決め入口から3一覧を作る表計算で4貼る1通路ずつ
棚番を振る手順

ピッキングの動線につなげる

ロケーション管理のいちばん大きな効果は、ピッキングリストを棚番の順に並べられることです。

リストの並び起きること
受注の入力順通路を行ったり来たりする。歩く距離が最も長い
品番順品番と場所が一致していれば近いが、たいてい一致しない
棚番順入口から奥へ1回通るだけで済む

ピッキングの時間は、大半が歩いている時間とされています。取る動作そのものは数秒で、その前後の移動が積み上がります。棚番順に並べ替えるのは表計算の並べ替え1回で済むので、費用に対する効き方が大きい改善になります。

1つの通路を一方通行にする

人が向かい合ってすれ違う倉庫では、通路の向きを決めると流れが良くなります。棚番が歩く順に増えていれば、リストの順に進むだけで自然に一方通行になります。番号の振り方と動線は、同じことの表と裏です。

ロケーション管理でやってはいけないこと

崩れ方にも型があります。次の3つは、後から直すのに手間がかかります。

やってしまうこと起きること
品番の意味を棚番に混ぜる品番が変わると棚番も変えることになる
空いた棚に「仮置き」を許す仮置きが半年残り、記録と現物がずれる
棚番を飛ばして振るあとから見て、欠番なのか未確認なのか分からない

仮置き場は、場所として作る

「とりあえずここに置く」をゼロにはできません。禁止するのではなく、仮置き場を1つ決めて、そこにも棚番を振ります。仮置き場の在庫も記録に入れておけば、行方不明にはなりません。

そのうえで、仮置き場を毎日空にする担当を決めます。空にする人がいない仮置き場は、半年で第2の倉庫になります。

棚が足りなくなったときの順番

ロケーション管理を始めると、「場所が足りない」がはっきり見えるようになります。見えたときの手当ては、次の順で考えます。

  1. 動いていない在庫を出す(半年出ていない品目を洗う)
  2. 積み方を見直す(高さが余っていないか、間口が広すぎないか)
  3. 頻度の低い品目を上の段・奥へ移す
  4. 棚を増やす、外部の倉庫を借りる

費用がかからない順になっています。いきなり4から入ると、動いていない在庫ごと引っ越すことになります。

動いていない在庫の洗い出し方

出庫の記録から、最後に出た日を品目ごとに出します。表計算なら、出庫の一覧を品番で集計して、最大の日付を取るだけです。半年、1年と線を引いて、それより古い品目を一覧にします。

その一覧を、棚番の順に並べ替えると、どの通路が塞がっているかが分かります。処分するかどうかは金額と契約の話になるので、現場は「どこに、いくつ、いつから」を出すところまでを受け持ちます。

よくある質問

棚番はアルファベットと数字のどちらが良いですか

通路はアルファベット、それ以外は数字という組み合わせが読みやすいとされています。全部を数字にすると桁が続いて読み間違いが増え、全部をアルファベットにすると順番が直感的に分かりません。紛らわしい文字(IとO)は使わない、という決めも入れておくと安全です。

フリーロケーションに変えたいのですが、何から始めますか

まず、置いた場所を記録する手順が回るかを、一部の棚で試します。1通路だけをフリーにして、1か月続けてみる。記録が落ちずに回れば広げられますし、落ちるようなら、その原因(記録する場所が遠い、書く時間が無い)を先に直します。

同じ品番を複数の棚に置いてもよいですか

置けますが、両方の棚番を記録に持つことが条件になります。片方だけ記録していると、もう片方が在庫に数えられず、棚卸で差として出ます。できれば1品番1か所にまとめ、やむを得ず分ける場合だけ、主と副を決めて記録します。

棚番を貼るラベルは何が良いですか

環境で変わります。屋外や冷蔵の倉庫では、紙のラベルは湿気や結露ではがれます。貼り替えの頻度と、読めなくなったときの手間で選びます。棚を動かす予定があるなら、はがしやすいものを選んでおくと、変更のときに楽になります。

パレットで置いている倉庫でも棚番は要りますか

要ります。棚が無くても、床に区画を引いて番号を振ることができます。テープや塗装で枠を作り、枠ごとに番号を付ければ、棚と同じように記録できます。平置きの倉庫ほど「なんとなくこのあたり」になりやすいので、効き方は大きくなります。

棚番を変更したい場合、いつ実施しますか

出荷の少ない日にまとめて行い、その日のうちに記録まで終わらせるのが原則です。途中で終わると、旧番号と新番号が混ざった状態で翌日を迎えることになります。全体を一度に変えられないときは、通路単位で区切って、1通路ずつ完結させます。

少人数の倉庫でもロケーション管理は要りますか

人数が少ないほど、その人が休んだ日に止まるリスクが大きくなります。全員が場所を覚えている倉庫でも、表に落としておくと、応援の人がその日から動けます。棚番を振るだけなら費用もほとんどかかりません。

棚番の一覧は誰が持ちますか

倉庫の中に、紙で1部置いておくのが確実です。表計算の原本は事務所にあっても、現場で見るものが無ければ使われません。更新した日を表紙に書いて差し替える運用にしておけば、どれが最新かで迷いません。

原本を直す人は1人に決めます。複数の人がそれぞれ直すと、版が分かれて、どちらが正しいか分からなくなります。

まとめ

ロケーション管理は、場所に住所を付けて、品番と棚番を同じ表に持つしくみです。番号を振るだけで終わらせず、記録と結びつけたところから効き始めます。

棚番は、歩く順に増えるように振ります。段は下から数えると、棚を増やしたときに番号がずれません。連の桁は最初から余らせておきます。

そして、崩れるのは棚を移したときです。移動の記録を作業とセットにして、その場で1行書く。これだけで、探す時間も、棚卸の差異も減っていきます。

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