倉庫の保管料の3期制とは?計算方法を解説
目次
倉庫の請求書を見て、「思っていたより高い」と感じたことがあるなら、料金の数え方が原因かもしれません。3期制は、1か月を3つに区切って、それぞれの期の在庫に料金をかける数え方です。在庫の平均でも、月末の在庫でもありません。
この記事では、3期制を、しくみ、計算式、実際の計算例、高くなる場面、請求書の確かめ方の順に整理します。料金の取り決めは契約によって異なります。自社の条件については、契約書と倉庫会社にご確認ください。
3期制とは何か
3期制は、1か月を10日ごとに3つに区切って保管料を計算する方法です。営業倉庫で広く使われています。
| 期 | 期間 |
|---|---|
| 第1期 | 1日から10日 |
| 第2期 | 11日から20日 |
| 第3期 | 21日から末日 |
それぞれの期ごとに料金を計算して、3つを足したものがその月の保管料になります。在庫がその期にあったかどうかではなく、「その期に置くことになった量」で数えるのが特徴です。
計算の式
各期の保管料は、次のように計算します。
保管積数 = 前期末の在庫数 + 当期の入庫数 1期あたりの保管料 = 保管積数 × 保管料単価
ここが3期制のいちばん大事なところです。当期の出庫数は引きません。期の途中で出したものにも、その期の料金がかかります。
| 数えるもの | 入るか |
|---|---|
| 前の期の終わりに残っていた在庫 | 入る |
| その期に入庫したもの | 入る |
| その期に出庫したもの | 引かない |
「置いた日数」ではなく「その期に預かることになった量」で数えると考えると、しくみが分かりやすくなります。1日だけ置いた荷物も、10日置いた荷物も、同じ1期ぶんです。
実際に計算してみる
数字で追いかけます。保管料単価を1個あたり300円、前月末の在庫を100個とします。
| 期 | 前期末在庫 | 入庫 | 出庫 | 保管積数 | 保管料 |
|---|---|---|---|---|---|
| 第1期 | 100 | 60 | 40 | 160 | 48,000円 |
| 第2期 | 120 | 0 | 50 | 120 | 36,000円 |
| 第3期 | 70 | 80 | 30 | 150 | 45,000円 |
計算の流れはこうなります。
- 第1期の積数は 100 + 60 = 160。期末の在庫は 100 + 60 - 40 = 120
- 第2期の積数は 120 + 0 = 120。期末の在庫は 120 - 50 = 70
- 第3期の積数は 70 + 80 = 150。期末の在庫は 70 + 80 - 30 = 120
この月の保管料は、48,000 + 36,000 + 45,000 = 129,000円です。月末の在庫は120個ですが、料金は430個ぶんかかっています。
平均在庫で見積もると外れる
「月の平均在庫が100個くらいだから、300円をかけて3万円」と見積もると、実際の請求と大きくずれます。入出庫が多いほど、積数は平均在庫より大きくなります。見積りの段階で、この差を分かっておくと後で驚きません。
1期制・2期制との違い
区切りの数が変わると、料金も変わります。
| 方式 | 区切り | 特徴 |
|---|---|---|
| 1期制(月極め) | 1か月を1つ | 計算が簡単。月の途中の入庫も1か月ぶん |
| 2期制 | 15日で2つ | 採用している倉庫は多くない |
| 3期制 | 10日ごとに3つ | 営業倉庫で広く使われている |
入出庫の回数が多い荷物では、区切りが細かいほど料金は上がる傾向があります。逆に、ほとんど動かない荷物では、どの方式でも大きくは変わりません。
高くなるのはどんなときか
3期制で「思ったより高い」となる場面には、型があります。
| 場面 | なぜ高くなるか |
|---|---|
| 期の変わり目の直前に入庫する | 数日しか置かないのに、2期ぶんかかる |
| 入庫と出庫を細かくくり返す | 入庫のたびに積数が増える |
| 入れてすぐ出す荷物が多い | 出庫を引かないため、回転が速いほど不利 |
| 月末に大量に入庫する | 第3期の積数が跳ねる |
10日、20日の直前の入庫は、覚えておくと効きます。11日に入れれば第2期だけで済むものを、10日に入れると第1期と第2期の両方にかかります。
入庫のタイミングをずらす
荷物の都合で動かせないことも多いのですが、動かせる荷物だけでも期の頭に寄せると、積数が下がります。仕入先との納品日の相談に、この事情を持っていくこともできます。
実際に使える様式が必要な方へ
入出庫管理簿や在庫管理表を一から作ると手間がかかります。既成の様式でよければ、点検板の姉妹サイトである在庫板に無料のExcelがそろっています。
在庫板で様式をさがす保管料以外にかかるもの
倉庫の請求書は、保管料だけではありません。見積りを比べるときは、全部をそろえて比べます。
| 費目 | 中身 |
|---|---|
| 保管料 | 置いておくための料金。3期制はここ |
| 入庫料・荷役料 | 荷降ろし、棚入れ |
| 出庫料・ピッキング料 | 取り出し、梱包 |
| 検品料・流通加工料 | ラベル貼り、詰め合わせ |
| 配送料 | 運送の費用 |
| 最低保管料 | 在庫が少なくてもかかる下限 |
「保管料が安い」だけで選ぶと、荷役料で逆転することがあります。入出庫の多い荷物ほど、荷役側の比重が大きくなります。
単位をそろえて比べる
保管料の単位は、倉庫によって違います。
- 個建て(1個あたり)
- パレット建て(1パレットあたり)
- 坪建て・平方メートル建て(面積あたり)
- 重量建て(1キログラム、1トンあたり)
同じ荷物で、1か月の見込みの金額まで計算してもらうのが、比べる唯一の方法になります。単価だけ並べても比べられません。
請求書を確かめる
届いた請求書は、自社の入出庫の記録から検算できます。
- 自社の記録から、各期の入庫数を出す
- 前月末の在庫数を確かめる
- 期ごとに「前期末在庫 + 当期入庫」を計算する
- 3つを足して、単価をかける
- 請求書の金額と合っているかを見る
合わないときは、たいてい前期末の在庫数か、入庫の計上日がずれています。倉庫側の入庫日と、自社の記録の日付が1日違うだけで、期をまたいで金額が変わります。
検算のために持っておく記録
- 入庫の日付と数量(倉庫の受領の日付)
- 出庫の日付と数量
- 月末の在庫数
この3つがあれば計算できます。入出庫の記録を日付順に残しておけば、そのまま使えます。記録の残し方は棚卸のやり方にもまとめています。
表計算で積数を出しておく
毎月の請求を確かめるなら、入出庫の記録から積数を出す表を1つ作っておくと、確認が数分で終わります。
持つ列は次のとおりです。
| 列 | 中身 |
|---|---|
| 日付 | 入出庫のあった日 |
| 区分 | 入庫か出庫か |
| 品番・数量 | 何がいくつ動いたか |
| 期 | 日付から自動で出す(1から10日なら第1期) |
日付から期を出す式は、日にちを10で割って切り上げる形で作れます。21日以降が第3期になるように、上限を3にそろえます。あとは期ごとに入庫数を合計し、前期末の在庫を足せば積数になります。
前期末の在庫は自分で持っておく
倉庫からの報告を待たずに、自社の記録で在庫残高を追える形にしておくと、請求書が届く前に金額の見当が付きます。ずれていたときも、どの日の計上が違うかをすぐに指摘できます。
保管料を下げる手
料金の交渉より先に、自社側でできることがあります。
| やること | 効き方 |
|---|---|
| 在庫量そのものを減らす | 積数が直接下がる。いちばん効く |
| 動かない在庫を処分する | 置いているだけの費用が消える |
| 入庫を期の頭に寄せる | 1期ぶん減ることがある |
| 入庫の回数をまとめる | 積数の増え方が緩やかになる |
| 保管方法を変える | 段積み、ラック、平置きで単価が変わる |
動いていない在庫は、毎月お金を払って置いていることになります。半年以上動いていない品目を一覧にして、金額を出してみると、判断の材料になります。適正な在庫量の決め方は安全在庫の計算にまとめています。
なぜ3期制という数え方なのか
不思議に見える数え方ですが、倉庫の側から見ると理由があります。
倉庫は、荷物を受け入れた時点で場所を確保します。その場所は、荷物が出るまで他の荷主には貸せません。いつ出るか分からない荷物のために場所を空けておくという前提で、受け入れた量に対して料金をもらう形になっています。
| 見る立場 | 何に対して払っているか |
|---|---|
| 荷主から見ると | 置いてあった日数に対して |
| 倉庫から見ると | 確保した場所と、受け入れる手間に対して |
この2つの見方の差が、請求書を見たときの違和感の正体です。日数で数えていないと分かると、料金表の読み方が変わります。
日数で数える契約もある
すべての倉庫が3期制というわけではありません。日割りに近い形や、坪単位の月極めで貸す形もあります。荷物の動き方に合う方式を選べるかどうかは、契約の交渉で確かめる価値があります。
保管の単位で単価が変わる
同じ荷物でも、どう置くかで単価の考え方が変わります。
| 置き方 | 単価の付き方 |
|---|---|
| パレット単位 | 1パレットあたり。段積みできると有利 |
| ラック(棚)に入れる | 間口あたり。小物を多品種置くとき |
| 平置き・バラ積み | 面積あたり。大きさや形が不ぞろいなとき |
| 冷蔵・冷凍 | 温度帯ごとに単価が変わる。常温より高い |
段積みできるかどうかは、料金に直接効きます。荷物の強度や形で積めない場合、床の面積を多く使うことになります。梱包の仕様を少し変えるだけで積めるようになるなら、そこが下げどころになります。
契約の前に確かめること
見積りをもらう前に、自社の荷物の条件を数字でそろえておくと、比べられる見積りが返ってきます。
| 伝えること | 例 |
|---|---|
| 品目数と1品目あたりの在庫量 | 200品目、1品目あたり平均30個 |
| 入出庫の頻度 | 入庫は月4回、出庫は毎日 |
| 1回あたりの量 | 入庫1回20パレット、出庫1日30行 |
| 荷姿と重さ | 段ボール、1箱12キログラム |
| 温度帯 | 常温 |
| 繁忙期 | 11月から12月は2倍 |
繁忙期を伝えておかないと、あとで置けなくなります。平常時の量だけで契約すると、忙しい時期に場所が足りず、追加の費用が発生することがあります。
契約書で見ておく項目
- 料金の方式(何期制か、単位は何か)
- 最低保管料の有無と金額
- 荷役料、入出庫料の単価
- 請求の締め日と支払いの条件
- 在庫の差異が出たときの扱い
- 契約期間と、解約の申し出の期限
在庫の差異が出たときの扱いは、必ず見ておきます。委託していても棚卸差異は出ます。どちらがどこまで責任を持つのかが書かれていないと、出たときに揉めます。
よくある質問
3期制と月極めはどちらが安いですか
荷物の動き方によります。入出庫が少なく、長く置く荷物なら月極めが有利になりやすく、動きが多い荷物では条件次第で変わります。自社の直近3か月の入出庫の実績を使って、両方の方式で計算してもらうと比べられます。
期の途中で全部出したら、その期の料金はかかりますか
かかるのが一般的です。3期制では当期の出庫を引かないため、期の初めに残っていた在庫は、その期の積数に入ります。契約の条件によって扱いが異なることもあるため、契約書を確認してください。
保管料に消費税はかかりますか
一般的な倉庫の保管サービスは課税の対象として扱われますが、取引の内容によって扱いが変わることがあります。請求書の記載と、自社の経理方針については、顧問の税理士か経理部門に確認してください。
最低保管料とは何ですか
在庫がごく少ない月でも、この金額はかかる、という下限のことです。季節で在庫が大きく増減する荷物では、閑散期の請求に効いてきます。契約の前に、下限があるかどうかと、その金額を確かめておきます。
積数の計算が請求書と合いません
まず入庫日のずれを疑います。自社では発注日や出荷日で記録していても、倉庫側は荷物を受け取った日で計上します。10日や20日をまたぐと、1期ぶんの差になります。次に、前月末の在庫数がそろっているかを見ます。
3期制の「期」は暦のとおりですか
1日から10日、11日から20日、21日から末日という区切りが一般的です。月末が28日でも31日でも、第3期はその月の末日までになります。契約によって区切り方が違う場合もあるため、契約書の記載を確認してください。
保管料の値上げを打診されました
まず、自社の入出庫の実績を数字で出すところから始めます。積数、入出庫の行数、繁忙期の山。これらが分かっていると、どの費目が増えているのかを一緒に見られます。在庫量や入庫の回数を自社側で調整できる余地があれば、そこも交渉の材料になります。
荷主から預かっている荷物の保管料はどう請求しますか
自社が倉庫側の立場であれば、契約で定めた方式にしたがって計算します。請求の根拠となる入出庫の記録を、荷主と同じ形で持っておくと、確認の手間が減ります。方式や単価の取り決めは契約の内容によるため、契約書と、倉庫業に関わる規定を確認してください。
複数の倉庫を使うと保管料は増えますか
同じ総量なら、分けたぶんだけ最低保管料や固定の費用が重なることがあります。一方で、配送の距離が短くなって運賃が下がることもあります。保管と運賃を足した合計で比べるのが実務的です。
在庫を減らしたのに請求が下がりません
3期制では、在庫の量だけでなく入庫の量が積数に効きます。在庫の残高を下げても、入庫の回数と量が同じなら、積数はあまり変わりません。入庫をまとめられないか、発注の頻度を見直せないかを合わせて見ます。最低保管料に当たっている可能性もあるため、契約の下限も確かめます。
請求の内訳をもらえますか
多くの倉庫会社は、期ごとの積数の明細を出せます。金額だけの請求書が届いている場合は、内訳を依頼してみると、検算ができるようになります。内訳が出てくると、どの期のどの入庫が効いているかが分かり、入庫のタイミングを相談する材料になります。
まとめ
3期制は、1か月を10日ごとに3つに区切って保管料を計算する方法です。各期の保管積数は「前期末の在庫数 + 当期の入庫数」で出し、当期の出庫は引きません。
このため、入出庫の多い荷物ほど、平均在庫から想像する金額より請求が大きくなります。期の変わり目の直前に入庫すると、数日しか置かないのに2期ぶんかかります。
請求書は、自社の入出庫の記録から検算できます。合わないときは、入庫日のずれか、前月末の在庫数が原因になっていることがほとんどです。入庫と出庫の日付を残しておけば、毎月の確認は数分で済みます。