出荷を間違えない実務2026.09.16 公開SA-02

積み込みの順序|降ろす順の逆から積む

目次

積み込みは、出荷の最後の工程です。ここまでの検品が完璧でも、積む順番を間違えると、降ろす現場で荷物を全部出すことになります。配送先が複数ある便では、この差が1日の配送時間を大きく変えます。

この記事では、積み込みを、順序の考え方積み方の基本複数の配送先があるとき確認のしかた安全の決めごとの順に整理します。車両と荷物の形で最適な積み方は変わるため、自社の荷物に置き換えて読んでください。

積み込みの順序を1枚で共有する様式が配られています。

降ろす順の逆から積む

積み込みの原則は1つです。最後に降ろす荷物から先に積む。最初に降ろす荷物を、いちばん手前か、扉に近い場所に置きます。

複数の配送先を回る便では、この順序がそのまま作業時間になります。3件目の荷物が手前にあると、1件目で3件目の荷物を一度降ろして、また積み直すことになります。荷台の奥に手を伸ばす動作は、腰への負担も大きくなります。

順序を決めるには、配送のルートが先に決まっている必要があります。ルートが当日の朝に決まる場合は、積み込みも朝になります。前日に決められるなら、前日のうちに積んでおけば、朝の混雑が減ります。配送の順番を決める人と、積む人の間で情報がつながっているかが、この工程の要点です。

最後に降ろす荷物から先に積む13件目奥に積む22件目真ん中31件目扉の近く4出発順に降ろす
最後に降ろす荷物から先に積む

積み方の基本

重い荷物を下、軽い荷物を上にします。これは荷崩れを防ぐためでもあり、荷物を守るためでもあります。軽い箱の上に重い箱を乗せると、下の箱がつぶれます。

床面から積み上げるときは、隙間を作らないようにします。隙間があると、走行中に荷物が動いて崩れます。埋められない隙間には、緩衝材や空の箱を入れて動きを止めます。荷台の中で動かない状態を作るのが目的です。

高さは、車両の上限と、荷物の強度で決まります。段ボールは、下の箱に乗る重さで潰れます。品目ごとに段積みの上限を決めて、現場に掲示します。荷崩れの防ぎ方は荷崩れを防ぐにまとめています。

重い荷物を下に、隙間を作らない軽い荷物上に置く中くらいの荷物間を埋める重い荷物床面に。中央寄りに
重い荷物を下に、隙間を作らない

複数の配送先があるとき

配送先が3件以上になると、順序の管理が頭では追えなくなります。積み込みの順序を紙に書いて、積む人に渡します。

書くのは、配送の順番、配送先の名前、個口数、荷物の特徴(パレット、箱、長物)です。積む人は、この紙を見ながら、下から順に積んでいきます。積み終わったら、紙にチェックを入れて運転者に渡します。運転者は、降ろす順と個口数をその紙で確かめられます。

同じ配送先の荷物が離れて積まれていると、降ろすときに探すことになります。配送先ごとにまとめて積むのが基本です。パレットで出す先と、バラの箱で出す先が混ざる場合は、パレットを先に積んで、バラを手前に置く形になります。

配送先ごとに色の違うテープや札を使う方法もあります。荷台を見渡したときに、どこからどこまでが1件ぶんかが分かると、降ろす作業が速くなります。

順序が変わったとき

ルートの変更や、急ぎの追加が入ると、積んだあとに順序が変わることがあります。積み直すか、そのまま行くかは、荷物の量と時間で判断します。そのまま行く場合は、変更を運転者に必ず伝えます。紙の順序と実際が違う状態で出すのが、いちばん現場が混乱する形です。

出荷口の作り方

積み込みが遅いとき、原因は積む速さではなく、荷物が出荷口にそろっていないことがほとんどです。便ごとに区画を分けて、その日の荷物を集めておくだけで、積む時間が半分になることがあります。

床にテープで区画を引いて、便名か配送先を書いた札を立てます。ピッキングと梱包が終わった荷物は、その区画へ運びます。積む人は、区画ごとに順序を確かめながら積むだけになります。探す時間がゼロに近づくのが、この形のいちばんの効果です。

区画の広さは、その便の最大の荷物量に合わせます。狭いと通路にはみ出し、広すぎると倉庫の場所を食います。繁忙期の量で1回測っておくと、必要な広さが分かります。

出荷口の近くに、資材と道具も置きます。ストレッチフィルム、バンド、緩衝材、台車。積んでいる途中で取りに行く往復が消えます。

便の締め時刻を掲示する

集荷の時刻を、出荷口に大きく掲示します。「16時までにこの区画へ」と書いてあれば、前の工程の人が自分で判断できます。時刻が共有されていないと、締め間際に荷物が集中して、確認が飛びます。

便ごとに区画を分ける区画が無い出荷口に混ざって置く積むときに探す積み込みが2倍かかる便ごとに区画床にテープと札積む順の逆に並べる運んで置くだけになる
便ごとに区画を分ける

長物と重量物の扱い

形の特殊な荷物は、積む順番だけでなく、積み方そのものに決めごとが要ります。

長物は、荷台の長さ方向に置き、動かないように固定します。短い荷物の上に長物を渡すと、走行中に跳ねて他の荷物を傷めます。下に敷くか、専用の場所を決めます。

重量物は、荷台の重心を考えて置きます。片側に寄せると走行が不安定になります。中央寄りに、低く置くのが基本です。フォークリフトで積む場合は、荷重の中心も見ます。機械の最大荷重は、荷を持つ位置によって実際に持てる重さが変わります。

危険物や、温度の管理が要る荷物は、そもそも一緒に積めないことがあります。混載してよいかどうかを、先に確かめます。扱いの決まりは品目ごとに違うため、法令や運送会社の条件で確認します。

確認のしかた

積み込みの直前が、間違いを止める最後の機会です。ここで見るのは、中身ではなく行き先です。

見るのは3つだけにします。送り状の相手先と納品書の相手先が同じか、個口数が伝票と合っているか、指定の運送会社と便になっているか。品番や数量は前の工程で見ているので、ここでは見ません。見るものを絞ると数秒で終わり、しかも誤送先が止まります。

床にテープで「確認前」「確認済」の枠を引いて、確認していない荷物が物理的に車へ行けない形にします。声かけの運用にすると、忙しい日に飛びます。出荷検品の組み方は出荷検品のやり方にまとめています。

積む直前は行き先だけを見る相手先送り状と納品書個口数伝票と箱の数運送会社と便指定どおりか
積む直前は行き先だけを見る
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実際に使える様式が必要な方へ

『積み込み順序表』の様式が、点検板グループの在庫板で配られています。そのまま使えるExcelです。

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前日に積んでおけるか

当日の朝に全部を積む形だと、出発が遅れたときに1日の配送が後ろにずれます。前日のうちに確定している荷物を積んでおけると、朝は追加分だけで済みます。

前日に積むには条件があります。注文の締め時刻が前日であること、荷台を施錠して保管できること、温度の管理が要らない荷物であること。この3つが満たせる便から、順に前倒しします。

前日に積んだ荷物は、翌朝にもう一度、行き先と個口数だけを確かめます。夜のあいだに追加や変更が入っていることがあるためです。確認せずに出発すると、変更が反映されないまま届きます。

前倒しできない便でも、出荷口の区画に荷物を集めるところまでは前日にできます。積む作業だけを朝に残す形にすれば、出発までの時間が短くなります。

荷役の安全

積み込みの場所は、人、車、荷物が同じ場所に集まります。倉庫のなかで事故が集中するのが、ここです。

まず、車が動かない状態を作ります。車止めを置き、運転者から鍵を預かります。荷役の最中に車が動く事故は、鍵を預かるだけで防げます。費用もかかりません。

プラットホームの端からの転落も起きます。端に色を付け、開口部には柵を置きます。荷台とホームの隙間には、渡し板を固定して使います。雨の日は床が濡れて滑ります。拭く道具を近くに置き、必要なら吸水マットを敷きます。

後退してくる車に気づかない事故も起きます。誘導者を置くか、立入禁止の線を引きます。フォークリフトで積み込む場合は、作業の範囲に人を入れません。倉庫の災害の型は倉庫の安全対策にまとめています。

運送会社の方にも伝える

荷役の場所にいる人の半分は、自社の人ではないことがあります。ルールを1枚の紙にして、受付で渡す形にすると伝わります。守ってほしいことを3つまでに絞り、図を大きく描きます。

積み込みの人数と時間

積み込みは、人数を増やせば速くなる作業ではありません。荷台の中で動ける人数には限りがあり、2人を超えると互いの動きが邪魔になることが多くあります。

速くするなら、荷物を出荷口にそろえておく、台車やパレットでまとめて運ぶ、荷台の中で持ち替えない形にする、という順で手を入れます。フォークリフトで入れられる荷物は、手で運ばないのが基本です。

時間を測っておくと、改善の効果が見えます。便ごとに、積み始めから終わりまでの時間を数日ぶん記録します。荷物の量が同じなのに時間が違う日があれば、そこに原因があります。そろっていなかった、順序が変わった、資材を取りに行ったといった理由が見つかります。

人の配置も、時間帯で変えられます。積み込みが集中する夕方に人を厚くして、午前は入荷と棚入れに回す。1日を通して平らに配置すると、忙しい時間に足りなくなります。

記録に残す

積み込みの記録は、荷物が届かなかったときや、破損の連絡が来たときに効きます。

残すのは、出荷日、便、配送先と順番、個口数、積んだ人、確認した人です。写真を1枚撮っておく現場もあります。積み終わった荷台を撮っておけば、積み方が原因の破損かどうかの判断に使えます。

個口数が合わないという連絡は、比較的よく起きます。積んだ時点で数えた記録があれば、どこで無くなったかの切り分けができます。記録が無いと、倉庫と運送会社のどちらの段階かが分かりません。輸送中の破損の扱いは輸送中の破損への対応にまとめています。

荷台の中を空にして返す

積み込みのたびに、荷台に前の荷物の残りや、緩衝材、パレットが残っていることがあります。次の積み込みの邪魔になるだけでなく、荷物が混ざる原因にもなります。

降ろした先で空になった荷台を確認する、戻ってきたときに荷台を空にする、という手順を決めておきます。パレットや通い箱を回収する取引では、戻ってきた数を記録します。数えていないと、どこにいくつ出ているのかが分からなくなります。通い箱とパレットの管理はパレットと通い箱の管理にまとめています。

荷台に残った緩衝材や段ボールは、その場で分別して捨てるか、再利用の置き場へ戻します。荷台に溜めたままにすると、次の積み込みで荷物の下敷きになります。

荷台は空にして返す1降ろす全部出す2数えるパレットと3戻す置き場へ4記録回収した数
荷台は空にして返す

積む前の待機場所を決める

出荷口に荷物を集めると言っても、置き方が決まっていないと通路を塞ぎます。待機の区画は、フォークリフトが通る動線から外します。通路の真ん中に置かれた荷物は、それ自体が危険で、しかも他の作業を止めます。

待機の荷物には、便名と配送先を大きく書いた札を立てます。遠くから見て、どれがどの便かが分かる形にします。札が無いと、積む人が1つずつ送り状を見て回ることになります。

区画の中でも、積む順の逆に並べておくと、積み込みがそのまま流れます。最後に降ろす荷物を奥、最初に降ろす荷物を手前に置いておけば、手前から順に積めます。ここまで整えると、積む作業が「運んで置く」だけになります。

よくある質問

積み込みの順序を誰が決めますか

配送のルートを決める人が決めます。その情報が積む人に届いていないと、順序は守れません。紙でもよいので、ルートの順番が積む場所に届く形にします。運転者が自分で積む場合は、自分で順序を決められるので問題になりません。

パレットと手積みが混ざる便はどう積みますか

パレットを奥から先に積み、手積みの荷物を手前に置くのが一般的です。パレットを降ろすにはフォークリフトが要るので、降ろす現場の設備も考えます。設備が無い配送先には、手積みで出すという判断もあります。相手先ごとの条件を1枚にまとめておきます。

積み込みに時間がかかりすぎます

荷物が出荷口にそろっていないことが多い原因です。便ごとに、出荷口の区画を分けて置いておくと、積むときに探さずに済みます。前日に作れる便は前倒しして、確認済みの区画に置いておくと、朝の積み込みが速く終わります。

積み込みの順序表を作る時間がありません

配送の順番と個口数だけを書いた紙で足ります。表計算で作る必要もなく、ホワイトボードに書いて写真を撮る形でも回ります。大事なのは、積む人と運転者が同じものを見ていることです。3件以下の便なら口頭でも足りますが、5件を超えると紙が要ります。

運転者が自分で積む場合も順序表は要りますか

自分で降ろす人が自分で積むなら、頭の中で順序が組めるので、紙は無くても回ります。ただし、交代の運転者が入る日は別です。誰が運転しても同じ順序で積める形にしておくと、急な交代でも困りません。

荷崩れが起きたときは誰の責任ですか

契約や状況によって変わります。まず、積み方が原因か、輸送中の運転が原因かを切り分けます。積んだ時点の写真があると、この切り分けが早く終わります。責任の所在は、運送の契約の内容で確認してください。

冬に荷台が凍って滑ります

床が滑る状態での積み込みは、転倒と荷崩れの両方につながります。滑り止めのマット、靴の指定、融雪剤といった手当てがあります。屋根の無い荷役の場所では、雪や雨の日の手順を別に決めておきます。

積み込みの写真はどのくらい残しますか

破損や欠品の連絡は、出荷から数日以内に来ることがほとんどです。直近1か月ぶんを残しておけば実務は回ります。高額品や、過去にやり取りのあった相手先は、長めに残すという分け方でも構いません。出荷の番号で探せる形にしておきます。

積み込みの確認を誰がやりますか

積んだ人とは別の人が見るのが理想ですが、人数の都合で難しい現場も多くあります。その場合は、見るものを3つに絞って、積む前に一度手を止めて確かめる形にします。相手先、個口数、便。数秒で終わるので、1人でも守れます。運転者が受け取るときに、同じ3つを確かめる形にすると二重になります。

まとめ

積み込みの原則は、最後に降ろす荷物から先に積むことです。配送先が複数ある便では、この順序がそのまま1日の配送時間になります。

重い荷物を下に、隙間を作らずに積みます。積む直前には、行き先だけを3つ確認します。相手先、個口数、運送会社。中身は前の工程で見ているので、ここでは見ません。

そして、荷役の場所は事故が集中する場所です。車止めと鍵の預かり、端の表示、渡し板の固定。どれも費用をかけずにできて、重い災害を防ぎます。

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