パレットと通い箱の管理|戻らない分を数える
目次
パレットと通い箱は、商品ではないので在庫として管理されないことが多く、気づくと足りなくなっているという形で問題が表に出ます。出るときは数えているのに、戻るときは数えていない。この片道だけの管理が、差を生みます。
この記事では、パレットと通い箱を、なぜ管理が要るか、数え方、戻らない分の追い方、傷んだものの扱い、減らないようにする手当ての順に整理します。取引の条件で扱いが変わるため、費用の負担は契約で確認してください。
なぜ管理が要るか
パレットや通い箱は、1枚ずつの単価はそれほど高くありませんが、枚数がまとまると金額になります。そして、足りなくなった日に出荷が止まります。
管理されない理由は、はっきりしています。商品ではないので在庫管理表に載っておらず、出庫の記録にも残りません。荷物と一緒に出ていき、いつか戻ってくるものとして扱われています。誰も数えていないので、減っていることに気づくのは、朝に足りなくなったときです。
もう1つの理由は、責任の所在が曖昧なことです。出荷の担当は出したことを覚えていますが、戻す責任は相手先か運送会社にあります。回収の連絡を誰がするかが決まっていないと、誰もしません。
数え方
管理の形は単純です。出た数と戻った数を記録して、差を見ます。
記録するのは、日付、相手先、種類(パレット、通い箱、番重など)、出た数、戻った数、残りです。相手先ごとに行を持つと、どこに何枚出ているかが分かります。この「相手先ごとの残り」がいちばん大事な数字になります。
出荷のときは、送り状や積み込みの記録に枚数を書く欄を足します。戻ってきたときは、荷台から降ろした時点で数えます。降ろす人と数える人が同じでよいので、手間はほとんど増えません。
月に1回、自社にある枚数を数えます。棚卸と同じ日にやると忘れません。帳簿上の残り(総数から出ている分を引いた数)と、実際に手元にある数を突き合わせます。合わなければ、どこかで数え漏れています。
戻らない分を追いかける
相手先ごとの残りが見えるようになると、戻ってきていない先が特定できます。そこから先は、連絡と回収の段取りです。
まず、相手先に残っている枚数を伝えます。「御社に現在32枚出ています」と数字で伝えると、相手も探してくれます。「最近パレットが戻ってこない」では動いてもらえません。次の納品のときに引き取る、まとめて取りに行く、着払いで送ってもらう。どれにするかを決めます。
回収の頻度は、出る量で決めます。毎日出ている先なら、次の納品のたびに前回ぶんを引き取る形がいちばん確実です。トラックが空で戻るなら、そのスペースを使わない手はありません。
連絡する人を決めておきます。営業か、倉庫か、配車の担当か。決まっていないと誰もしません。月に1回、残りの多い相手先の上位5件だけ連絡する、という形でも十分に効きます。
相手先で使われていることもある
戻ってこないパレットが、相手先の倉庫で使われていることがあります。悪気があるわけではなく、そこにあるから使っている、という形です。枚数を伝えるだけで戻ってくることが多いのは、このためです。
荷主から預かっている場合
荷主のパレットや通い箱を預かって使っている場合は、自社のものと混ぜないことが第一になります。混ざると、返すときに数が合わなくなります。
置き場を分けて、識別できるようにします。荷主ごとに色や札で分け、記録も分けて持ちます。預かっているものは、自社の資産ではありません。数量を報告する義務が契約に入っていることもあるので、契約書を確認します。
返却のタイミングと方法も、契約で決まっていることがあります。月末に精算する、納品のたびに返す、といった形です。取り決めが無い場合は、先に決めておくほうが後で揉めません。預り品全般の扱いは預り品の管理にまとめています。
破損したときの扱いも決めておきます。使用中に割れた通い箱を、誰が弁償するのか。枚数が多くなると金額もまとまるので、条件を曖昧にしないほうが安全です。
記録を軽く保つ
出入りのたびに詳しく書こうとすると続きません。必要なのは、相手先と枚数と日付の3つです。種類が複数あるなら種類も足します。
記録の場所は、出荷と入荷の記録と同じ紙にするのがいちばん手間がかかりません。送り状の控えに枚数を書く欄を作る、積み込みの順序表に枚数の列を足す、といった形です。新しい帳簿を1つ増やすより、いまある紙に1列足すほうが続きます。
集計は月に1回で足ります。相手先ごとの残りを出して、多い順に並べます。上位5件に連絡すれば、ほとんどの枚数が動きます。全部の相手先に連絡しようとすると、時間が足りずに誰にも連絡しないことになります。
数が合わない原因を分ける
出た数と戻った数の差が、そのまま紛失とは限りません。数え漏れが混ざっていることがほとんどです。
よくあるのは、戻ってきた分を数えずに置き場へ戻している形です。荷台から降ろす人と、記録する人が別だと、ここで落ちます。次に多いのが、自社の中で使っているぶんの扱いです。倉庫内の移動や仮置きに使っているパレットが、どこにも記録されていないことがあります。
月に1回、手元の枚数を実際に数えて、帳簿と突き合わせると、この2つはすぐに見えます。合わない量が毎月同じくらいなら、記録の抜けている場所が1つに絞れます。月によって大きく変わるなら、出入りの多い相手先を疑います。
差が確かに紛失であれば、行き先を追います。特定の相手先に偏っているのか、全体に散っているのか。偏りがあれば、その相手先との回収の取り決めを見直します。
傷んだものの扱い
パレットは消耗品です。木製のものは、釘が浮いたり、板が割れたりします。傷んだパレットは、荷崩れと怪我の両方につながります。
使えないものを見分ける基準を決めておきます。板が割れている、釘が出ている、桁が折れている、著しく濡れている。これに当たるものは、その場で分けて、使用の列から外します。判断を人に任せると、忙しい日に使われます。
廃棄する枚数も記録します。減った理由が、戻ってこないのか、傷んで捨てたのかで、手当てが変わります。傷みが多いなら、扱い方か、保管の場所を見ます。雨ざらしで保管していれば、寿命は大きく縮みます。
プラスチックの通い箱も同じです。割れ、ひび、変形。積み重ねたときに安定しないものは外します。
保管の場所を決める
空のパレットと通い箱は、場所を取ります。置き場が決まっていないと、通路や荷役の場所に積まれ、作業の邪魔になります。
置き場を決めて、積み上げる高さの上限も決めます。高く積みすぎると倒れます。空のパレットは軽いので、倒れても被害は小さいと思われがちですが、人の頭より高く積んだものが倒れれば怪我をします。
屋外に置く場合は、雨がかかる範囲を考えます。木製のパレットは濡れると重くなり、傷みも早くなります。屋根の下に置けないなら、使う順番を決めて、濡れたものから先に乾かすといった運用が要ります。
種類が複数あるなら、種類ごとに分けて置きます。混ざっていると、出荷のときに探すことになります。倉庫の置き場の考え方はロケーション管理のやり方にまとめています。
枚数が足りない日の回し方
管理を始めても、足りない日は起きます。そのときに慌てないよう、代わりの手を先に決めておきます。
考えられるのは、他の拠点から回す、レンタルで一時的に借りる、その日だけ別の荷姿で出す、出荷の順番を変えて翌日に回す、といった形です。どれも、当日に考え始めると間に合いません。近くにレンタルの営業所があるか、他の拠点にどれだけ余裕があるかを、平常時に調べておきます。
足りなくなる時期には傾向があります。繁忙期の入り口、連休の前後、月末。過去の記録から、足りなくなった日を並べると、次の年に備えられます。その時期の前に回収を強めるだけで、足りなくなる日が減ります。
足りない状態が続くなら、必要な枚数そのものを計算し直します。1日に出る枚数と、戻ってくるまでの日数を掛ければ、必要な回転の枚数が出ます。戻ってくるまでが長い相手先が多いほど、必要な枚数は増えます。
減らないようにする
枚数が足りなくなる原因は、戻ってこない、傷んで捨てた、盗まれた、のどれかです。記録があれば、どれが主な原因かが分かります。
戻ってこないのが主なら、回収の段取りを決めます。相手先ごとの残りを月に1回見て、多い先から連絡します。次の納品のときに引き取る形にするのが、いちばん手間がかかりません。
傷みが主なら、保管の場所と扱い方を見ます。屋根の下に移す、フォークリフトの爪で引きずらない、投げない。扱い方の問題は、朝礼で一度伝えるだけでも変わります。
紛失が続くなら、識別できるようにする方法があります。焼印、色分け、番号。自社のものだと分かる形にしておくと、混ざったときに戻ってきます。
買い増しの判断
足りなくなったときに、すぐ買い増すのは最後の手段にします。回収できていない分が何枚あるかを先に見ます。回収すれば足りるなら、買う必要はありません。回収の仕組みを作らないまま買い増すと、また同じことが起きます。
安全の面から見る
パレットと通い箱は、扱い方によっては怪我のもとになります。倉庫の転倒や、足の怪我の原因としてよく出てきます。
空のパレットを立てかけて置くと、倒れます。積むときは水平に、決めた高さまでにします。木製のパレットは、釘が出ていると手を切ります。素手で持たない、手袋を使うという決めごとを入れます。
床に置きっぱなしのパレットは、つまずきのもとです。通路には置かず、決めた置き場に戻します。「あとで片づける」が積み上がると、通路が狭くなり、フォークリフトの動線も塞がります。
フォークリフトで空のパレットを運ぶときは、高く持ち上げないようにします。軽いぶん、風や振動で飛ぶことがあります。まとめて運ぶ枚数の上限も決めておきます。倉庫の災害の型と手当ては倉庫の安全対策にまとめています。
よくある質問
パレットは在庫として資産に計上しますか
金額や耐用年数によって扱いが変わるため、経理部門か顧問の税理士に確認してください。現場としては、金額の扱いにかかわらず、枚数を数えて管理することに変わりはありません。数量の管理と、会計上の扱いは別に考えます。
レンタルのパレットを使っています
レンタルの場合は、返却の枚数がそのまま費用に直結します。返せていない分の料金が発生し続けるため、管理の重要性はむしろ高くなります。レンタル会社の記録と自社の記録を月に1回突き合わせると、食い違いに早く気づけます。
相手先が返してくれません
枚数を伝えても戻らない場合は、契約や取引の条件を確認します。返却の取り決めがあるなら、それを示して相談します。取り決めが無い場合は、今後のために決めておきます。デポジット(保証金)の形にしている取引もあります。
通い箱に商品を入れたまま出荷してしまいました
商品と容器が一緒に出ていくと、容器が戻る保証がなくなります。出荷のときに、通い箱で出す相手先と、段ボールで出す相手先を分けておきます。間違いが起きやすいなら、通い箱を出荷口とは別の場所に置くという分け方もあります。
回収を運送会社に頼めますか
契約の内容によります。帰り便の空きを使って回収してもらえる場合があり、追加の費用がかかるかどうかも契約で決まります。運送会社に頼む場合は、回収した枚数を記録して渡してもらう形にしておかないと、数が合わなくなります。誰が数えるかまで決めておきます。
枚数を数える時間がありません
出荷と入荷の記録に、枚数の欄を1つ足すだけで足ります。新しく数える作業を増やすのではなく、いまの作業に1項目足す形にします。月に1回の棚卸のときに、手元の枚数を数える時間を10分取れば、突き合わせができます。
木製とプラスチックのどちらがよいですか
用途と保管の場所で決まります。木製は安く、修理もできますが、濡れに弱く、寿命が短くなります。プラスチックは高いぶん長持ちし、水に強いという特徴があります。自社の使い方で何年もつかを、記録から出して比べるのが確実です。
自社の名前を入れるべきですか
焼印やラベルで識別できるようにしておくと、混ざったときに戻ってきやすくなります。相手先の倉庫で他社のパレットと混在していることはよくあるので、見分けが付く形にしておく価値はあります。費用をかけたくない場合は、側面に色のテープを貼るだけでも効きます。剥がれにくい位置に貼るのが要点です。
破損したパレットの処分はどうしますか
木製のものは、自治体や処理業者によって扱いが変わります。産業廃棄物として処理が必要な場合があるため、地域の決まりを確認してください。引き取ってくれる業者があれば、まとめて出すほうが費用が抑えられます。処分した枚数は記録に残して、減った理由が「紛失」ではなく「廃棄」だと分かる形にしておきます。
通い箱の洗浄や補修はどうしますか
繰り返し使うものなので、汚れと傷みが溜まります。食品や部品を入れる通い箱では、洗浄の頻度と方法を決めておきます。洗浄した箱と、していない箱を分けて置かないと、混ざって分からなくなります。補修できるものは直して使い、補修できないものは処分の列に回します。どちらも枚数を記録しておけば、年間で何枚が消えるかが分かります。
まとめ
パレットと通い箱は、商品ではないので管理から漏れやすく、足りなくなった日に初めて気づきます。出るときだけ数えて、戻るときを数えていないのが原因です。
管理の形は単純で、出た数と戻った数を相手先ごとに記録して、差を見るだけです。相手先ごとの残りが見えれば、回収の連絡も具体的にできます。
そして、減る理由は、戻ってこない、傷んで捨てた、紛失した、の3つです。記録があれば、どれが主なのかが分かり、手当ての場所が決まります。足りないからと買い増す前に、まず回収できていない枚数を見ます。