荷役と安全実務2026.09.16 公開SA-03

荷崩れを防ぐ|積み方と高さの決め方

目次

荷崩れは、倉庫のなかで起きれば人に当たり、輸送中に起きれば荷物が壊れます。どちらも重い結果につながるので、積み方の決めごとは、安全と品質の両方に効きます。

この記事では、荷崩れを、起きる場面積み方の基本高さの決め方固定のしかた気づいたときの動きの順に整理します。荷物の形と設備で最適な積み方は変わるため、自社の荷物に置き換えて読んでください。

積み込みの順序と積み方を共有する様式が配られています。

荷崩れが起きる場面

荷崩れは、4つの場面で起きます。棚の上、パレットの上、輸送中、そして積み降ろしの最中です。

棚の上では、奥から押し出された荷物が落ちる、高い段の荷物が前へ滑る、という形があります。パレットの上では、段積みした荷物が横へ崩れます。輸送中は、急ブレーキとカーブで動きます。積み降ろしの最中は、フォークリフトの爪が当たる、急に持ち上げた、といった扱いが原因になります。

場面ごとに手当てが違うので、自社でどこが多いかを先に見ます。ヒヤリハットの記録があれば、そこから拾えます。無ければ、しばらく「崩れかけた」を紙に書き溜めると傾向が出ます。

荷崩れが起きる4つの場面棚の上パレットの上輸送中積み降ろし荷崩れ
荷崩れが起きる4つの場面

積み方の基本

崩れない積み方には、共通する形があります。

重いものを下、軽いものを上にします。軽い箱の上に重い箱を乗せると、下が潰れて傾き、そこから崩れます。大きさの違う箱を混ぜるときも、大きいものを下にします。

段ごとに向きを変えて組むと、噛み合って安定します。同じ向きにそろえて積むと、面で滑ります。ただし、箱の強度によっては、向きを変えると角に荷重がかかることがあります。品目ごとに、どちらが安定するかを1回試して決めます。

パレットからはみ出さないことも大事です。はみ出した部分は支えが無く、ぶつかりやすく、そこから崩れます。箱のサイズを選ぶ段階で、パレットに収まる組み合わせを決めておくと、積むたびに考えずに済みます。

重いものを下に、段ごとに向きを変える軽いもの上の段段ごとに向きを変える噛み合って安定重いもの下。はみ出さない
重いものを下に、段ごとに向きを変える

倉庫の棚での荷崩れ

棚に置いた荷物が崩れる形は、いくつかに分かれます。手前に滑り出る、奥から押し出される、段の途中が潰れて傾く、棚そのものが歪む。

手前に滑り出るのは、棚板が水平でない場合や、荷物が滑りやすい場合に起きます。滑り止めのシートを敷く、落下防止のバーを付けるといった手当てが効きます。奥から押し出されるのは、補充のときに奥へ押し込みすぎている形です。奥に仕切りを立てておけば、押し出されません。

段の途中が潰れるのは、下の箱が耐えられる重さを超えているためです。段数を減らすか、下に強い箱を置きます。棚そのものの歪みは、フォークリフトが当たったか、耐荷重を超えているかのどちらかです。支柱が曲がっている棚は、見た目より強度が落ちています。

棚の点検を月に1回入れておくと、これらは早く見つかります。支柱の曲がり、ボルトの緩み、棚板のたわみ、アンカーの浮き。通路を歩きながら見るだけで、5分で終わります。

棚での崩れ方は4つ崩れ方手当て手前に滑り出る滑り止めか落下防止バー奥から押し出される奥に仕切りを立てる段の途中が潰れる段数を減らす棚が歪む支柱の点検。耐荷重を見る
棚での崩れ方は4つ

フォークリフトの操作と荷崩れ

荷崩れの原因として見落とされやすいのが、機械の操作です。急な発進と停止、急旋回、フォークを上げたままの走行。どれも荷物に大きな力がかかります。

走行中はフォークを下げます。上げたまま走ると、重心が高くなって荷物が揺れます。旋回は減速してから行います。荷物を持ち上げるときと降ろすときは、ゆっくり動かします。「急がない」を決めごとにするのではなく、速度の上限と、フォークの高さを数字で決めます。

こうした決めごとは、作業計画に書き込んでおきます。法令で作成が求められる書類なので、そこに1行入れておけば、周知の形も整います。書き方はフォークリフトの作業計画にまとめています。

床の段差や傾斜も効きます。段差を越えるときの衝撃で荷物がずれます。直せる段差は直し、直せない場所は速度を落とすという手当てになります。

高さを決める

積み上げる高さは、品目ごとに上限を決めて、現場に掲示します。「安全な範囲で」という決め方は、忙しい日に守られません。

高さを決める材料は3つです。1つ目は、いちばん下の箱が耐えられる重さです。段ボールには強度の等級があり、上に乗る重さで潰れます。2つ目は、作業する人の手が届く範囲です。3つ目は、フォークリフトで運ぶときの視界と安定です。

上限は、数字で決めます。「5段まで」「1.5メートルまで」という形です。棚の柱に線を引いて、そこを超えないようにしている現場もあります。目で見て分かる形にすると、守られる率が上がります。

保管の棚に置く場合は、棚の耐荷重も見ます。棚板がたわんでいれば、すでに超えています。ラックの点検と合わせて見るのが効率的です。倉庫の安全の全体像は倉庫の安全対策にまとめています。

高く積むほど効率が良い、とは限らない

高く積めば場所は節約できますが、崩れる危険と、取り出しにくさが増えます。上の段から取るたびに脚立や機械が要るなら、その時間も費用です。保管の効率と、作業の効率の両方で見ます。

固定のしかた

積んだあとに動かないようにする方法は、いくつかあります。荷物の性格と、輸送の距離で選びます。

ストレッチフィルムで巻くのは、いちばん手軽な方法です。巻く回数と、上下の締め方で効き方が変わります。下のパレットまで一緒に巻き込むと、荷物とパレットが一体になって安定します。

バンドで締める方法は、重い荷物や、硬い荷物に向きます。締めすぎると箱が潰れるので、角当てを入れます。天面に板を乗せてから締めると、力が分散します。

滑り止めのシートを段の間に挟む方法もあります。フィルムやバンドを使わずに、摩擦だけで止める形です。繰り返し使えるので、費用は長い目で見ると下がります。

輸送中の固定は、荷台の中でも要ります。隙間を埋める、ベルトで固定する、仕切りを使う。荷台の中で動かない状態を作るのが目的です。積み込みの順序と方法は積み込みの順序にまとめています。

固定は荷物と距離で選ぶ方法向いている場面ストレッチフィルム手軽。パレットごと巻くバンドで締める重い荷物。角当てを入れる滑り止めシート繰り返し使える荷台でのベルト輸送中の動きを止める
固定は荷物と距離で選ぶ
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実際に使える様式が必要な方へ

『積み込み順序表』の様式が、点検板グループの在庫板で配られています。そのまま使えるExcelです。

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品目ごとの決めごとを1枚にする

積み方の決めごとは、品目ごとに違います。すべてを覚えるのは無理なので、1枚の表にして、作業する場所に貼ります。

書くのは、品番と品名、1パレットあたりの入り数、段数の上限、向きの組み方、固定の方法、注意点です。注意点の欄には、「上に他の荷物を乗せない」「立てて置かない」といった、その品目だけの決まりを書きます。

表は、扱う品目が多いほど価値が出ます。全品目を載せる必要はなく、よく出る20品目と、過去に崩れたことのある品目から始めます。新しい品目が増えたときに1行足していけば、自然に埋まります。

写真を併せて貼ると、さらに伝わります。文字で「3段、交互に組む」と書くより、正しく積んだ状態の写真1枚のほうが早く正確です。

品目ごとの決めごとを貼る積み方の決めごと品番品名も書く入り数1パレットあたり段数上限を数字で向き組み方固定巻く回数などよく出る20品目から写真を添えると早い崩れた品目は必ず入れる
品目ごとの決めごとを貼る

記録して、繰り返しを見つける

荷崩れが起きたら、記録します。日付、場所、品目、どのくらいの高さから、原因の見立て、けがの有無。崩れかけを見つけて直した場合も、同じ紙に残します。

溜まると、偏りが見えます。同じ品目、同じ棚、同じ時間帯。偏りがあれば、そこが手当ての場所です。全体に散っているなら、積み方の決めごとそのものが現場に合っていません。

けがが無かった場合でも記録します。けがの有無ではなく、起きた事実を数えることが大事です。けがが出てから対策を始めると、その1件が重いものになります。

記録を現場に返すのも忘れないようにします。月に1回、件数と、手を打った内容を共有します。書いても何も起きないと分かると、次から誰も書きません。

崩れかけているのを見つける

完全に崩れる前に、兆しが出ていることがあります。傾いている、段がずれている、下の箱が潰れている、フィルムがたるんでいる。

倉庫を歩くときに、この4つを見る癖を付けます。見つけたら、その場で直すか、直せないなら周りに人を近づけないようにして、直せる人を呼びます。「危ないと思ったが、そのままにした」が事故につながります。

高い段のものが傾いている場合は、下から直そうとしないようにします。引き出した瞬間に落ちてきます。フォークリフトで一度降ろしてから直すのが安全です。降ろす前に、周りの人を離します。

見つけたことを記録しておくと、同じ場所や同じ品目で繰り返しているかが分かります。繰り返している場所は、積み方か、その棚の構造に原因があります。ヒヤリハットの集め方は倉庫の安全対策にまとめています。

誰でも同じ積み方になる形

積み方を人の技量に任せると、担当が変わった日に崩れます。写真を1枚貼るのが、いちばん早く伝わります。

品目ごとに、正しく積んだ状態の写真を撮って、作業する場所に貼ります。段数、向き、フィルムの巻き方が写っていれば、文字の説明より正確に伝わります。新しく入った人には、この写真を見せて1回やってもらいます。

パレット単位で出荷する品目は、1パレットあたりの入り数も決めておきます。半端な数のときにどう積むかも決めておくと、迷いません。半端な段は上に置いて、フィルムで多めに巻くという形が扱いやすくなります。

正しく積んだ状態を写真で貼る文字だけの手順3段、交互に組む読む人で解釈が変わる担当が変わると崩れる写真を1枚貼る段数と向きが分かるフィルムの巻き方も新しい人にも伝わる
正しく積んだ状態を写真で貼る

人の配置と荷崩れ

急いでいるときほど、積み方が雑になります。荷崩れが特定の時間帯に集中しているなら、原因は積み方ではなく人の配置です。

出荷が集中する夕方に、1人で積んでいれば、確認の余裕がありません。2人で積める時間帯には2人で、難しければ、その時間の荷物を前倒しして作っておきます。前日に積める便から前倒しするだけで、当日の圧が下がります。

新しく入った人に積ませるときは、最初の数回は経験のある人が見ます。「なんとなく安定しているように見える」状態と、実際に安定している状態は違います。フィルムの巻き方、向きの組み方は、見て覚えるほうが早く身に付きます。

体への負担も見ます。高い位置に重い箱を持ち上げる作業が続くと、姿勢が崩れ、積み方も雑になります。重い荷物は下の段に置く、リフターを使うといった手当ては、安全と品質の両方に効きます。

よくある質問

段ボールの強度はどう確かめますか

箱に表示がある場合は、そこから分かります。無ければ、仕入先に耐えられる重さを聞くのが確実です。実際に積んで、下の段が潰れないかを見る方法もあります。潰れ始めたら、その1つ下が上限です。

荷崩れが起きたときの対応は

まず人の安全を確保します。近づかない、下敷きになっていないかを確かめる、周りに知らせる。片づけは、荷物が安定してからです。急いで片づけようとして、二次災害が起きることがあります。片づけたあと、原因を記録に残します。

高さの上限を決めても守られません

数字だけを掲示しても、作業中に数えません。棚の柱に線を引く、床に印を付ける、そこまでの高さの治具を置くといった形で、見て分かるようにします。判断を要らなくするのが、守られる決めごとの条件になります。

フィルムを巻く回数はどう決めますか

輸送の距離と、荷物の重さで変わります。まず回数を決めて、その回数で崩れが起きないかを見ます。崩れが起きたら増やし、起きないまま続くようなら減らして試します。資材費と破損の両方で、つり合う点を探します。

パレットからはみ出す荷物があります

箱のサイズとパレットのサイズが合っていません。箱のサイズを変えるか、パレットのサイズを変えるか、積み方を変えるかの3つです。すぐに変えられない場合は、はみ出した面を通路側に向けない、角当てを付ける、といった手当てで当面をしのぎます。

荷崩れの多い品目があります

その品目だけを見直します。箱の強度、パレットへの収まり、段数、固定の方法。4つのうちどれか1つを変えて、1か月試します。一度に全部変えると、何が効いたか分かりません。仕入先に相談して、箱のサイズや強度を変えてもらえることもあります。

混載でいろいろな箱を積むときは

大きさの違う箱が混ざると、段が組めず、隙間もできます。大きい箱を下、小さい箱を上にして、隙間は緩衝材や空の箱で埋めます。種類が多い便では、パレットに載せずに手積みするほうが安定することもあります。荷姿ごとに積み方を決めておくと、その場で迷いません。

棚に置く荷物も同じ考え方でよいですか

基本は同じですが、棚では落下防止のバーやネットが使えます。奥から押し出される形を防ぐには、奥に仕切りを立てます。高い段ほど、落ちたときの被害が大きくなるので、軽いものを置くという原則を守ります。

荷崩れと保険・責任

荷崩れで荷物が壊れたとき、費用を誰が持つかは、起きた場所と契約で変わります。倉庫内なら自社、輸送中なら運送の契約、相手先の構内なら相手先との取り決めが関わります。

はっきりさせるには、記録が要ります。積んだ時点の写真、積み方の決めごと、誰が積んだか。決めごとどおりに積んだ記録があるかどうかで、話の進み方が変わります。

保険をかけている場合も、免責の条件や限度額が定められていることがあります。約款を確認しておくと、事故が起きたときに慌てません。高額な荷物を扱うときは、事前に条件を確かめます。

人が巻き込まれた場合は、費用の話より先に、労働災害としての対応が要ります。報告の要否と期限は事案によって変わるため、所轄の労働基準監督署に確認してください。

荷崩れ防止の道具はどれから入れますか

費用のかからない順に、滑り止めシート、角当て、ストレッチフィルムの巻き方の見直し、落下防止のバー、という順で試します。まず、いま使っている資材の使い方を変えるところからです。巻き方を変えるだけで止まることもあります。道具を買う前に、積み方の決めごとと高さの上限を先に決めます。決めごとが無いまま道具を入れても、守られ方がそろいません。

まとめ

荷崩れは、棚の上、パレットの上、輸送中、積み降ろしの最中の4つの場面で起きます。場面ごとに手当てが違うので、自社でどこが多いかを先に見ます。

積み方の基本は、重いものを下に、段ごとに向きを変えて組み、パレットからはみ出さないことです。高さは品目ごとに数字で決めて、柱の線や床の印で見えるようにします。

そして、崩れかけている兆しを見つけたら、その場で手を打つことです。傾き、段のずれ、下の箱の潰れ、フィルムのたるみ。この4つを見る癖が付くと、完全に崩れる前に止められます。

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