在庫を合わせる実務2026.09.16 公開ZS-01

在庫管理表の作り方|エクセルで回す最小の形

目次

在庫管理表は、作り込むほど使われなくなる書類です。列を増やして関数を入れ、誰も更新しなくなって、結局は現物を数えに行く。続く在庫管理表には共通の形があって、それは「列が少ない」ことです。

この記事では、在庫管理表を、最小の列入出庫との関係更新のタイミング表計算での作り方続かなくなる理由の順に整理します。扱う品目数と人数で最適な形は変わるため、自社の規模に置き換えて読んでください。

そのまま使える在庫管理表の様式が配られています。

在庫管理表は何のための表か

在庫管理表は、いま何がいくつあるかを、現物を見ずに分かるようにする表です。目的はこれだけです。ここがぶれると列が増えます。

在庫管理表があると、次のことができます。

できること使う場面
在庫の数が分かる受注のときに出せるか答える
置き場所が分かる取りに行く人が迷わない
発注のタイミングが分かる発注点まで減ったら発注する
棚卸の土台になる帳簿の数として突き合わせる

「金額を出す」「原価を管理する」は、別の表の仕事です。在庫管理表に金額の列を足した瞬間に、経理の承認が要る表になり、現場が触れなくなります。

在庫管理表でやることは4つ数が分かる置き場所が分か発注の合図棚卸の土台在庫管理表
在庫管理表でやることは4つ

最小の列

まず、この5列だけで始めます。足すのは、無くて困ったときだけにします。

中身
品番現品表示と同じ書き方にそろえる
品名人が読んで分かる名前
棚番どこにあるか。歩く順に並べ替えられる形で
在庫数いまの数
単位個・ケース・箱。入数も書く

この5列があれば、取りに行けて、数が答えられて、棚卸に使えます。

よく足す列

困ったときに足す候補です。全部を最初から入れないのが要点です。

足す理由
発注点発注のタイミングを人に頼らない
安全在庫欠品を減らす。計算は別の表で
仕入先発注のときに探さずに済む
期限・ロット期限のある品物だけ
最終出庫日動いていない品目を見つける
備考代替品、注意点

最終出庫日は、費用をかけずに効きます。この列があるだけで、半年動いていない品目を並べ替えで見つけられます。

5列から始めて、困ったら足す品番・品名・棚番まずこれ在庫数・単位数が答えられる発注点・最終出庫日困ったら足す
5列から始めて、困ったら足す

入出庫の記録と分ける

在庫管理表と入出庫の記録は、別の表にします。1枚にまとめると、行が増え続けて重くなります。

持つもの行の増え方
在庫管理表いまの数品目の数だけ。増えない
入出庫の記録動いた履歴毎日増える

在庫数は、入出庫の記録から計算で出すか、動くたびに書き換えるかのどちらかです。品目数が少なければ書き換えで足り、多ければ記録から集計する形になります。入出庫の記録の付け方は入出庫管理のやり方にまとめています。

どちらにするかの目安

状況向いている形
品目が数十、動きが1日数件在庫管理表を直接書き換える
品目が数百、動きが1日数十件入出庫の記録から集計する
複数人が同時に触る記録から集計する。上書きの事故が減る

直接書き換える形は、2人が同時に開くと片方の入力が消えます。人数が増えたら、記録を足していく形に切り替えます。

点検表テンプレート
様式をさがす

実際に使える様式が必要な方へ

在庫管理表と入出庫管理簿の様式が、点検板グループの在庫板で配られています。

この様式をひらく

いつ更新するか

その日のうちに入れる。これが守れるかどうかで、表の値打ちが決まります。

タイミングやること
入荷したとき検品が終わってから数を足す
出荷したとき出した数を引く
棚を移したとき棚番を直す
廃棄・破損のとき数を引いて、理由を備考に書く
棚卸のあと現物に合わせる

4つ目が抜けやすいところです。割れた、濡れた、期限が切れた。その場で捨ててしまうと、帳簿だけが残ります。「捨てる前に1行書く」を作業に入れると、原因不明の差が減ります。

翌日に回すと合わなくなる

記録が1日遅れると、朝の時点の数が現物と違う状態になります。受注の返事も、棚卸の突き合わせも、そこからずれます。入力の時間を1日の終わりに固定して、10分取るだけで変わります。

その日のうちに入れる1入荷検品のあと2出荷出した数3棚移動棚番を直す4破損捨てる前に
その日のうちに入れる

表計算での作り方

特別な関数は要りません。並べ替えとフィルタが効く形にしておくのが要点です。

やること方法
1行目を見出しにするウィンドウ枠の固定をかける
表をテーブルにする行を足しても書式と数式が伸びる
棚番で並べ替える歩く順に並ぶ。棚卸表にそのまま使える
発注点を下回った行に色条件付き書式。発注の判断が要らなくなる
最終出庫日で絞る動いていない品目を抜き出す

発注点を下回った行に色を付けるのがいちばん効きます。数字を見比べる作業が消えて、色の付いた行だけ見れば済みます。

セルを結合しない

見た目をそろえるためにセルを結合すると、並べ替えもフィルタも効かなくなります。表計算の表は、1行1件、1セル1値にしておきます。印刷のときだけ体裁を整えます。

並べ替えが効く形にしておくやること効き方1行1件にする並べ替えとフィルタが効くセルを結合しない同上。印刷のときだけ整える棚番で並べ替えそのまま棚卸表になる発注点で色を付ける判断が要らなくなる
並べ替えが効く形にしておく

続かなくなる理由

途中で更新が止まる表には、理由があります。

止まる理由手当て
列が多くて埋められない使っていない列を消す
入力する場所が遠い現場にも入力できる形にする
2人で開くと壊れる記録を足す形に変える
現物と合わないので信用されない循環棚卸で合わせ直す
誰が直すか決まっていない担当を1人決める

「現物と合わないので誰も見ない」が、いちばん多い終わり方です。一度ずれると、確かめるために現物を見に行くようになり、表を見る理由が無くなります。合わせ直す方法は循環棚卸のやり方にまとめています。

システムに移すかどうか

表計算で回らなくなる境目は、品目数ではなく、同時に触る人数で来ます。

状況判断
1人か2人が更新している表計算で足りる
3人以上が同時に触る共有できる形かシステムを検討
拠点が分かれている同上
入出庫が1日100件を超える入力の手間で検討

表計算を悪者にしないのが要点です。品目が少なく、触る人が限られているなら、表計算のほうが速く、費用もかかりません。切り替えるのは、上の表に当てはまってからで間に合います。

現場が見る形にする

事務所の表計算だけにあると、現場は結局現物を見に行きます。現場が見られる形を1つ用意します。

向いている場面
棚のラベルに発注点を書く数字を見なくても判断できる
印刷して倉庫に貼る毎日は変わらない品目
端末で共有のファイルを開く数が頻繁に動く

棚に線を引くやり方がいちばん強いです。「ここまで減ったら知らせる」の位置に札を挟んでおけば、表を開かずに発注の合図が出せます。安全在庫と発注点の出し方は安全在庫の計算にまとめています。

品目を絞ってから始める

いまゼロから作るなら、全品目をそろえてから始めようとしないことです。

  1. 動きの多い品目を20だけ選ぶ
  2. 5列で表を作る
  3. 1か月、その20品目だけ運用する
  4. 困ったところだけ列を足す
  5. 品目を広げる

3の1か月が判断の材料になります。更新が続いたなら形が合っています。止まったなら、列か入力の場所に無理があります。全品目で始めると、どこに無理があったのかが分からないまま止まります。

品番の付け方でつまずかない

在庫管理表が使われなくなる原因のうち、意外に多いのが品番です。仕入先の品番をそのまま使っている品目と、社内で付けた品番の品目が混ざっていると、同じ物が2行に分かれます。片方に在庫があるのに、もう片方を見て「在庫なし」と答えてしまう形が起きます。

社内で1つの品番に決めて、仕入先の品番は別の列に持つのが扱いやすい形です。仕入先が変わっても社内の品番は変わらないので、過去の記録がつながります。現品の表示、棚のラベル、在庫管理表の3か所で同じ書き方にそろえるところまでが1組です。ハイフンの有無や英字の大小が混ざるだけで、照合のときに人の目に頼ることになります。

品番に意味を持たせすぎるのも、あとで効いてきます。仕入先や置き場を品番に埋め込むと、仕入先が変わったときに品番を変えることになり、過去の記録と切れてしまいます。意味は列で持ち、品番は変わらない番号にしておくほうが長く使えます。棚番の付け方はロケーション管理のやり方にまとめています。

品番は1つ、仕入先の品番は別の列混ざっている同じ物が2行に分かれる在庫があるのに無いと答え仕入先が変わると切れる社内で1つに決める仕入先の品番は別の列過去の記録がつながる表示も3か所でそろえる
品番は1つ、仕入先の品番は別の列

数が合わなくなったときに戻る場所

在庫管理表の数が現物と合わなくなったら、表を直す前に、どこでずれたのかを見ます。入荷の計上漏れ、出荷の記録漏れ、棚を移したときの書き換え漏れ、破損や廃棄の記録漏れ。この4つで大半が説明できます。順番に見ていって見つからなければ、原因不明として記録に残したうえで、現物に合わせます。

大事なのは、合わせた事実と、そのとき分かっていたことを残しておくことです。合わせるだけで何も残さないと、翌月に同じ品目でまたずれたときに、前回と比べられません。品目と棚番と差の向きだけでも1行残しておけば、偏りが見えてきます。調べ方は棚卸差異の原因と対策にまとめています。

現物合わせを繰り返す品目は、置き方を疑う

毎月のように合わなくなる品目があるなら、その品目だけ運用に無理があります。同じ品番が2か所の棚に分かれている、ケースとバラが混ざっている、期限で抜き取りが起きている、といった形です。表の使い方ではなく、置き方を直すほうが早く収まります。

受注のときに即答できる状態をつくる

在庫管理表がいちばん役に立つのは、営業や受注の担当から「これ、いくつ出せますか」と聞かれたときです。ここで即答できないと、折り返しの電話が増え、その間に他社に決まってしまうこともあります。数字の精度より、その場で答えられることのほうが商売には効きます。

即答するために要るのは、在庫数そのものではなく、引き当ての考え方です。棚にある100個のうち、すでに受注が入っていて出ていくぶんが40個あるなら、いま新しく約束できるのは60個になります。この「約束できる数」を持っていないと、在庫はあるのに二重に約束してしまう形が起きます。品目が少ないうちは、受注済みの数を1列足すだけで足ります。

さらに、入荷の予定が分かっていれば、いま無くても「来週なら出せます」と答えられます。発注して入ってくる数と入荷の予定日を持っておくと、答えられる幅が広がります。発注したものが届いていない状態の管理は、発注残の管理にまとめています。

約束できる数は在庫数とは違う棚にある100個受注済み40個約束できる60個在庫数だけを見ると二重に約束する入荷予定を足すと来週なら110個まで答えられる
約束できる数は在庫数とは違う

棚卸の前に表を整える

年に1回の棚卸の直前は、在庫管理表を見直すのに向いた時期です。使っていない品目の行、もう扱わなくなった品番、名前だけ残って在庫がゼロのまま何年も動いていない行。こうしたものが溜まっていると、数える対象が増え、棚卸そのものが重くなります。

棚卸の1か月前に、最終出庫日で並べ替えて、1年以上動いていない品目を一覧にします。処分するか、残すか、別の場所へ移すかを決めておけば、当日に数える行数が減ります。表を軽くすることが、そのまま当日の人数と時間の削減になります。棚卸の進め方は棚卸のやり方にまとめています。

よくある質問

在庫管理表と棚卸表は同じものですか

別のものです。在庫管理表は日々の数を持つ表、棚卸表は数えるための用紙です。ただし、在庫管理表を棚番の順に並べ替えれば、そのまま棚卸表として印刷できます。同じデータから2つの用途を出す形にしておくと、二重に管理せずに済みます。

在庫数がマイナスになります

出庫の記録が入荷より先に入っているか、入荷の計上が漏れています。マイナスが出た時点で止めて、その品目の直近の記録をたどります。マイナスのまま放置すると、その品目の数はもう信用できません。入力の順番を「入荷を先に入れる」と決めておくと減ります。

複数の倉庫がある場合はどう持ちますか

倉庫ごとに行を分けるのが扱いやすい形です。同じ品番が2行になりますが、どこに何があるかが分かります。合計だけを見たいときは、集計で足せます。1行にまとめて合計だけを持つと、取りに行く場所が分からなくなります。

単位が混ざる品目はどう書きますか

ケースとバラを別の列に分けます。「12入りケース3箱+バラ5個」を1つの数字にまとめると、数えるときに戻せません。入数の列を作って、合計は計算で出す形にします。

履歴はどのくらい残しますか

入出庫の記録は、棚卸の差異を調べるときに1年前まで見ることがあります。月ごとにシートを分けて1年分を1ファイルにし、年が変わったら別ファイルにする形がよく使われます。在庫管理表そのものは最新だけで足ります。

在庫管理表を紙で運用していますが、変えるべきですか

品目が少なく、動きも1日数件なら、紙のままでも実務は回ります。変えるかどうかは、探す時間と、聞かれてから答えるまでの時間で決めます。紙を見ながら電話で即答できているなら、無理に変える必要はありません。並べ替えや絞り込みをしたくなった時点が、表計算へ移る合図になります。

表計算のファイルが重くなってきました

入出庫の履歴を同じファイルに溜めていることがほとんどです。履歴は年ごとに別ファイルへ移し、在庫管理表には最新の数だけを残します。画像やセルの結合、使っていない範囲の書式も重さの原因になります。行を足すたびに重くなる場合は、テーブルの範囲が余分に広がっていないかを見ます。

誰が更新しますか

1人決めます。全員が触る形にすると、書き方が揃わず、上書きの事故も起きます。入力する人を決めて、現場からは紙かメモで渡す形にすると、精度が保てます。人数が増えたら、記録を足す形に変えます。

まとめ

在庫管理表は、いま何がいくつあるかを現物を見ずに分かるようにする表です。金額や原価は別の表の仕事なので、ここには入れません。

始めるときは、品番・品名・棚番・在庫数・単位の5列だけにします。足すのは、無くて困ったときだけです。最終出庫日の列は費用をかけずに効くので、早めに足す候補になります。

そして、その日のうちに入れることです。1日遅れると現物とずれ、ずれた表は見られなくなります。動きの多い20品目から始めて、1か月続くかを見てから広げます。

点検表テンプレート
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実際に使える様式が必要な方へ

在庫管理表・入出庫管理簿・棚卸表など、そのまま使えるExcelの様式が、点検板グループの在庫板で配られています。

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