支給品の受払|使ったぶんを残さず記録する
目次
支給品は、取引先から材料や部品を受け取って、それを使って作業する形で発生します。自社で買ったものではないので在庫の金額には入らず、それでいて現物は棚にあります。ここの記録が曖昧だと、足りない、余っている、どこへ行ったか分からないが同時に起きます。
この記事では、支給品を、どんなものか、受け払いの記録、残数の合わせ方、報告のしかた、余ったときの扱いの順に整理します。責任と費用の扱いは契約で変わるため、契約書の内容を確認してください。
支給品とは何か
支給品は、取引先が自社に渡して、作業に使ってもらう材料や部品です。所有権は渡した側にあることが多く、使ったぶんだけが消費され、残りは返すか、次の作業に使います。
倉庫では、こういう形で出てきます。加工や組み立てを請け負っていて、材料が支給される。梱包の資材が荷主から支給される。修理のための部品が届く。どれも、自社が買ったものではありません。
支給には、無償で渡される形と、有償で渡される形があります。どちらかによって、会計上の扱いが変わります。現場としては、どちらであっても現物の数を正確に追うところは同じです。金額の扱いは経理部門や顧問の税理士に確認してください。
預り品との違いは、使って減るという点です。預かって返すものは同じ数を返しますが、支給品は使ったぶんが減ります。だから、受け払いの記録が要ります。預り品の扱いは預り品の管理にまとめています。
受け払いの記録
記録するのは、受け取ったぶんと、使ったぶんと、残りです。在庫の記録と同じ形ですが、相手先ごとに分けて持ちます。
列は、日付、相手先、品番と品名、受入数、使用数、返却数、残数、作業や指示の番号、担当者です。使用数のところに「何に使ったか」を書ける形にしておくと、あとで説明できます。
残数は計算で出します。受け入れたぶんから、使ったぶんと返したぶんを引く。手で書き換えると、直し忘れが起きます。
使ったぶんの記録が、いちばん抜けやすいところです。作業に集中していると、材料を使ったことを書くのは後回しになります。作業の指示書に「使った数」を書く欄を作ると、作業の流れの中で記録できます。入出庫の記録の付け方は入出庫管理のやり方にまとめています。
受け入れのときに数える
支給品は、届いた時点で数えます。ここで数えておかないと、あとから「送った数と違う」と言われたときに何も言えません。
納品書と現物を照らして、品番と数量を確かめます。差があれば、その場で連絡します。伝票の数をそのまま記録に書かないのが要点で、実際に受け取った数を書きます。検品の組み方は検品のやり方にまとめています。
外観も見ます。輸送中に傷んでいることがあります。使う段になって不良に気づくと、支給元の問題なのか、こちらの扱いの問題なのかが分からなくなります。受け入れの時点で写真を撮っておくと、あとで説明できます。
指定された保管の条件があれば、その条件を満たす場所に入れます。温度、湿度、直射日光、積み重ね。条件を読まずに一般の棚へ入れるのが、よくある失敗です。受け入れの用紙に条件の欄を作っておきます。
作業の指示とつなげる
支給品の使用の記録は、作業の記録とつなげると正確になります。どの作業で、何を、いくつ使ったかが1つの流れになります。
作業の指示書に、使う支給品の品番と予定数を印字しておきます。作業が終わったら、実際に使った数を書き込んでもらいます。予定と実際が違ったときだけ理由を書く形にすると、書く手間が減ります。
この記録があると、1つの製品を作るのに支給品がいくつ要るのかが分かります。予定より多く使っているなら、不良が出ているか、作業のやり方に無駄があります。逆に少ないなら、予定の見積りが合っていません。
相手先への報告も、この記録から出せます。作業の番号と使用数が並んでいれば、何にいくつ使ったかを示せます。「まとめていくつ使いました」より、説明の強さが変わります。
残数を合わせる
支給品は、定期的に現物を数えて、記録と合わせます。自社の在庫と同じで、記録だけでは実態とずれていきます。
数える頻度は、動きの多さで決めます。毎月動くものは月に1回、たまにしか使わないものは半年に1回。棚卸と同じ日にまとめると、忘れずに回せます。
差が出たときの原因は、自社の在庫と同じです。使ったのに記録していない、不良で捨てたのに記録していない、別の作業に使った、数え間違い。このうち、いちばん多いのは「使ったのに記録していない」です。
不良や破損で使えなくなったぶんも、記録します。捨てたのに記録しないと、使ったのか無くなったのか分かりません。相手先に報告するときにも、この区別が要ります。棚卸差異の調べ方は棚卸差異の原因と対策にまとめています。
報告のしかた
支給品は相手先のものなので、使用の状況を報告するのが一般的な形です。契約で頻度と様式が決まっていることもあります。
報告するのは、期間の初めの残数、受け入れた数、使った数、不良で使えなかった数、返した数、期末の残数です。「不良で使えなかった数」を分けて出すと、材料そのものの品質の話ができます。
報告の様式は、相手先の求めに合わせます。こちらの記録と項目が違うと、毎回作り直すことになります。最初に、こちらの記録の項目を相手の報告の形に合わせておくと、転記の手間が消えます。
食い違いが出たときは、日付のずれと、不良のぶんの扱いをまず確かめます。相手が送った数と、こちらが受け取った数が違うこともあるので、受け入れのときの記録が効きます。
有償と無償で変わること
支給には、無償で渡される形と、有償で渡される形があります。現場の作業は同じでも、会計と契約の扱いが変わります。
無償の場合は、所有権が相手先に残ることが多く、こちらの在庫としては計上しない扱いが一般的です。有償の場合は、買い取った形になるため、自社の在庫として扱うことがあります。どちらになるかは契約の内容によるため、経理部門か顧問の税理士に確認してください。
現場としては、どちらであっても現物の数を追うところは同じです。ただし、記録の区分は分けておきます。同じ品番でも、無償支給と有償支給が混ざると、集計のときに困ります。
余ったときの扱いも変わります。無償なら返すのが基本になり、有償なら買い取っているので自社で使えることがあります。この違いを現場が知らないと、勝手に使ってしまうという形が起きます。荷主ごとの条件を1枚にまとめておくところに、この区分も書いておきます。
余ったときの扱い
作業が終わって支給品が余ったときの扱いを、先に決めておきます。
考えられるのは、返す、次の作業に使う、買い取る、処分する、の4つです。どれにするかは契約と相手先の判断によります。勝手に処分すると、他人の財産を処分したことになります。
返す場合は、数を確かめて、記録に残します。次の作業に使う場合は、そのまま残数として持ち続けます。「次に使う予定」のまま何年も残ることがあるので、期限を決めておきます。
余りが毎回出るなら、支給される量そのものを相手先と相談します。多めに支給されて、毎回余っているという形は珍しくありません。実績の数字があれば、相談が具体的になります。
処分する場合は、相手先の了解を得たうえで行い、処分した記録を残します。産業廃棄物として扱う必要があるものは、その手続きに従います。処分の進め方は在庫の廃棄と記録にまとめています。
棚卸のときの扱い
支給品は自社の在庫ではありませんが、現物を数える作業は必要です。棚卸の日に、自社の在庫と同じ順路で数えて、集計だけを分けます。
棚卸表には、支給品の区画も入れておきます。区画を飛ばすと、数えないまま1年が過ぎます。「数えるが、自社の在庫には合算しない」という形が、実務では扱いやすくなります。
数えた結果は、相手先への報告にそのまま使えます。期末の残数として報告できるので、二度手間になりません。棚卸の日程を、報告の締めに合わせておくと、報告の作成が楽になります。
差が出たときは、自社の在庫と同じ手順で調べます。使用の記録漏れ、不良の記録漏れ、数え間違い、場所違い。原因不明のまま合わせるときは、その旨を相手先にも伝えます。黙って合わせると、あとから発覚したときに信用に関わります。棚卸の進め方は棚卸のやり方にまとめています。
置き場所を分ける
支給品は、自社の在庫とも、他の相手先の支給品とも、場所を分けて置きます。
同じ品番でも、支給元が違えば別のものです。混ざると、使ったぶんをどちらから引くか分からなくなります。相手先ごとに区画を分けて、表示します。
現品にも表示します。相手先の名前と、支給された日。新しく入った人が見て分かる形にしておくと、間違って自社の在庫として使われることが防げます。
置き場に棚番を振って、記録に持ちます。取りに行く場所が記録から分かると、作業のたびに探さずに済みます。棚番の付け方はロケーション管理のやり方にまとめています。
記録を軽くする工夫
支給品の記録は、項目を増やすほど書かれなくなります。必要なのは、日付、品番、数、作業の番号の4つです。相手先は、置き場が分かれていれば区画から分かります。
紙で回す場合は、区画のそばに用紙を置きます。取り出したときに1行書く形にすれば、あとから思い出す必要がありません。まとめて入力するのは、その日のうちに済ませます。
品目が少なければ、区画に付けた札に「正」の字で数える形でも足ります。厳密な様式より、その場で書けることのほうが効きます。月末にまとめて集計すれば報告は作れます。
記録が続かないときは、書く場所と項目数を見ます。人の意識ではなく、書きにくさが原因であることがほとんどです。
見積りと原価にも効く
支給品の使用の記録は、現場の管理だけでなく、見積りの精度にも効きます。1つ作るのに材料がいくつ要るのかが、実績として分かるためです。
予定の数と実際の数を並べて、差が続いているなら見積りが合っていません。不良のぶんを含めた実際の使用量で見積もれば、次の仕事の条件が現実に近づきます。相手先と条件を話すときの材料にもなります。
支給の量が足りずに作業が止まった回数も、記録から出せます。止まった時間は費用です。回数が多ければ、支給の頻度か量を相談する根拠になります。
逆に、余りが毎回出ているなら、支給の量が多すぎます。置き場と管理の手間がかかっているので、減らしてもらうほうが双方のためになります。数字で示せれば、相談が進みます。
よくある質問
支給品は在庫として資産に計上しますか
無償か有償か、所有権がどちらにあるかによって扱いが変わります。経理部門か顧問の税理士に確認してください。現場としては、金額の扱いにかかわらず、現物の数を正確に追うところは変わりません。
使ったぶんの記録が現場から上がってきません
記録する場所が、作業から離れていることがほとんどです。作業の指示書に「使った数」の欄を作ると、作業の流れの中で書けます。あとからまとめて思い出して書く形だと、数が曖昧になります。
不良品として使えなかったぶんはどうしますか
使用数とは分けて記録します。相手先に報告して、指示を受けます。返すのか、処分するのかは、相手先の判断になります。不良のぶんの数が多い場合は、材料そのものの品質の話につながるため、写真と一緒に記録を残しておくと説明できます。
複数の相手先から同じ部品が支給されます
相手先ごとに分けて持ちます。品番が同じでも、支給元が違えば別の在庫です。棚も分けて、現品に支給元を表示します。合算した数だけを持つと、どちらから引いてよいか分からなくなります。
支給品の棚卸は自社の棚卸と一緒にやりますか
同じ日に行い、集計は別に出すのが実務的です。数える作業をまとめられるので手間が減り、集計が分かれていれば報告もそのまま出せます。自社の在庫の金額に混ぜないところだけ、注意します。
支給品を自社の在庫として使ってしまいました
気づいた時点で、相手先に連絡します。隠すと、あとで発覚したときに信用の問題になります。使ったぶんを買い取るのか、同等品を返すのか、指示を受けます。再発を防ぐには、区画と現品の表示を直します。自社の在庫と同じ場所に置いてあると、忙しい日に必ず起きます。
支給元の担当者が代わって、条件が伝わりません
相手先ごとの条件を1枚にまとめて、担当が代わったときに双方で確認する形にしておきます。こちらから「いまの取り決めはこうです」と出せると、行き違いが減ります。年に1回は、契約と照らして内容が合っているかを確かめます。
記録はどのくらい残しますか
契約で保存の条件が定められている場合は、それに従います。取引が続いている間は、少なくとも前回の報告と比べられる形で残します。受け払いの経緯は、あとから問い合わせが来ることがあるため、年度ごとにまとめておくと探しやすくなります。
支給品が余ったまま数年放置されています
まず一覧にして、相手先ごとに連絡します。「いつの、どの案件の支給品が、いくつ残っている」まで書いて出すと、相手も判断できます。担当が代わっていて経緯が分からない場合もあるので、こちらから経緯を示すと話が進みます。処分してよいかは必ず相手先の指示を受けます。
まとめ
支給品は、相手先から受け取って、使って減っていくものです。預り品と違い、受け払いの記録が要ります。
記録するのは、受入・使用・返却・残数の4つです。いちばん抜けやすいのが使用の記録なので、作業の指示書に書く欄を作って、作業の流れの中で残せる形にします。
そして、余ったときの扱いを先に決めておくことです。返す、次に使う、買い取る、処分する。決めていないと、置き場に残ったまま何年も経ちます。毎回余るなら、支給される量そのものを相談する材料になります。