倉庫の運営実務2026.09.16 公開AZ-02

支給品の受払|使ったぶんを残さず記録する

目次

支給品は、取引先から材料や部品を受け取って、それを使って作業する形で発生します。自社で買ったものではないので在庫の金額には入らず、それでいて現物は棚にあります。ここの記録が曖昧だと、足りない、余っている、どこへ行ったか分からないが同時に起きます。

この記事では、支給品を、どんなものか受け払いの記録残数の合わせ方報告のしかた余ったときの扱いの順に整理します。責任と費用の扱いは契約で変わるため、契約書の内容を確認してください。

支給品の受け払いを1枚で記録する様式が配られています。

支給品とは何か

支給品は、取引先が自社に渡して、作業に使ってもらう材料や部品です。所有権は渡した側にあることが多く、使ったぶんだけが消費され、残りは返すか、次の作業に使います。

倉庫では、こういう形で出てきます。加工や組み立てを請け負っていて、材料が支給される。梱包の資材が荷主から支給される。修理のための部品が届く。どれも、自社が買ったものではありません。

支給には、無償で渡される形と、有償で渡される形があります。どちらかによって、会計上の扱いが変わります。現場としては、どちらであっても現物の数を正確に追うところは同じです。金額の扱いは経理部門や顧問の税理士に確認してください。

預り品との違いは、使って減るという点です。預かって返すものは同じ数を返しますが、支給品は使ったぶんが減ります。だから、受け払いの記録が要ります。預り品の扱いは預り品の管理にまとめています。

預り品と支給品の違い預り品預かって返す同じ数を返す使って減らない保管が中心支給品使って減る残りを返すか次へ受け払いの記録が要る使用の記録が中心
預り品と支給品の違い

受け払いの記録

記録するのは、受け取ったぶんと、使ったぶんと、残りです。在庫の記録と同じ形ですが、相手先ごとに分けて持ちます。

列は、日付、相手先、品番と品名、受入数、使用数、返却数、残数、作業や指示の番号、担当者です。使用数のところに「何に使ったか」を書ける形にしておくと、あとで説明できます。

残数は計算で出します。受け入れたぶんから、使ったぶんと返したぶんを引く。手で書き換えると、直し忘れが起きます。

使ったぶんの記録が、いちばん抜けやすいところです。作業に集中していると、材料を使ったことを書くのは後回しになります。作業の指示書に「使った数」を書く欄を作ると、作業の流れの中で記録できます。入出庫の記録の付け方は入出庫管理のやり方にまとめています。

受入・使用・返却・残数支給品受払簿日付相手先と品番受入数受け取った数使用数何に使ったか返却数返した数残数計算で出す残数は手で書かない使用の記録が抜けやすい作業の指示書に欄を作る
受入・使用・返却・残数

受け入れのときに数える

支給品は、届いた時点で数えます。ここで数えておかないと、あとから「送った数と違う」と言われたときに何も言えません。

納品書と現物を照らして、品番と数量を確かめます。差があれば、その場で連絡します。伝票の数をそのまま記録に書かないのが要点で、実際に受け取った数を書きます。検品の組み方は検品のやり方にまとめています。

外観も見ます。輸送中に傷んでいることがあります。使う段になって不良に気づくと、支給元の問題なのか、こちらの扱いの問題なのかが分からなくなります。受け入れの時点で写真を撮っておくと、あとで説明できます。

指定された保管の条件があれば、その条件を満たす場所に入れます。温度、湿度、直射日光、積み重ね。条件を読まずに一般の棚へ入れるのが、よくある失敗です。受け入れの用紙に条件の欄を作っておきます。

受け取った数を書く伝票の数を写す数量違いが残る使う段で気づくどちらの問題か分からない実際の数を書くその場で連絡できる写真も残す外観と条件も確かめる
受け取った数を書く

作業の指示とつなげる

支給品の使用の記録は、作業の記録とつなげると正確になります。どの作業で、何を、いくつ使ったかが1つの流れになります。

作業の指示書に、使う支給品の品番と予定数を印字しておきます。作業が終わったら、実際に使った数を書き込んでもらいます。予定と実際が違ったときだけ理由を書く形にすると、書く手間が減ります。

この記録があると、1つの製品を作るのに支給品がいくつ要るのかが分かります。予定より多く使っているなら、不良が出ているか、作業のやり方に無駄があります。逆に少ないなら、予定の見積りが合っていません。

相手先への報告も、この記録から出せます。作業の番号と使用数が並んでいれば、何にいくつ使ったかを示せます。「まとめていくつ使いました」より、説明の強さが変わります。

残数を合わせる

支給品は、定期的に現物を数えて、記録と合わせます。自社の在庫と同じで、記録だけでは実態とずれていきます。

数える頻度は、動きの多さで決めます。毎月動くものは月に1回、たまにしか使わないものは半年に1回。棚卸と同じ日にまとめると、忘れずに回せます。

差が出たときの原因は、自社の在庫と同じです。使ったのに記録していない、不良で捨てたのに記録していない、別の作業に使った、数え間違い。このうち、いちばん多いのは「使ったのに記録していない」です。

不良や破損で使えなくなったぶんも、記録します。捨てたのに記録しないと、使ったのか無くなったのか分かりません。相手先に報告するときにも、この区別が要ります。棚卸差異の調べ方は棚卸差異の原因と対策にまとめています。

報告のしかた

支給品は相手先のものなので、使用の状況を報告するのが一般的な形です。契約で頻度と様式が決まっていることもあります。

報告するのは、期間の初めの残数、受け入れた数、使った数、不良で使えなかった数、返した数、期末の残数です。「不良で使えなかった数」を分けて出すと、材料そのものの品質の話ができます。

報告の様式は、相手先の求めに合わせます。こちらの記録と項目が違うと、毎回作り直すことになります。最初に、こちらの記録の項目を相手の報告の形に合わせておくと、転記の手間が消えます。

食い違いが出たときは、日付のずれと、不良のぶんの扱いをまず確かめます。相手が送った数と、こちらが受け取った数が違うこともあるので、受け入れのときの記録が効きます。

不良のぶんを分けて報告する受入数受け取った数使用数作業に使った数不良数使えなかった数残数手元にある数
不良のぶんを分けて報告する
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実際に使える様式が必要な方へ

『支給品受払簿』の様式が、点検板グループの在庫板で配られています。そのまま使えるExcelです。

この様式をひらく

有償と無償で変わること

支給には、無償で渡される形と、有償で渡される形があります。現場の作業は同じでも、会計と契約の扱いが変わります。

無償の場合は、所有権が相手先に残ることが多く、こちらの在庫としては計上しない扱いが一般的です。有償の場合は、買い取った形になるため、自社の在庫として扱うことがあります。どちらになるかは契約の内容によるため、経理部門か顧問の税理士に確認してください。

現場としては、どちらであっても現物の数を追うところは同じです。ただし、記録の区分は分けておきます。同じ品番でも、無償支給と有償支給が混ざると、集計のときに困ります。

余ったときの扱いも変わります。無償なら返すのが基本になり、有償なら買い取っているので自社で使えることがあります。この違いを現場が知らないと、勝手に使ってしまうという形が起きます。荷主ごとの条件を1枚にまとめておくところに、この区分も書いておきます。

余ったときの扱い

作業が終わって支給品が余ったときの扱いを、先に決めておきます。

考えられるのは、返す、次の作業に使う、買い取る、処分する、の4つです。どれにするかは契約と相手先の判断によります。勝手に処分すると、他人の財産を処分したことになります。

返す場合は、数を確かめて、記録に残します。次の作業に使う場合は、そのまま残数として持ち続けます。「次に使う予定」のまま何年も残ることがあるので、期限を決めておきます。

余りが毎回出るなら、支給される量そのものを相手先と相談します。多めに支給されて、毎回余っているという形は珍しくありません。実績の数字があれば、相談が具体的になります。

処分する場合は、相手先の了解を得たうえで行い、処分した記録を残します。産業廃棄物として扱う必要があるものは、その手続きに従います。処分の進め方は在庫の廃棄と記録にまとめています。

棚卸のときの扱い

支給品は自社の在庫ではありませんが、現物を数える作業は必要です。棚卸の日に、自社の在庫と同じ順路で数えて、集計だけを分けます。

棚卸表には、支給品の区画も入れておきます。区画を飛ばすと、数えないまま1年が過ぎます。「数えるが、自社の在庫には合算しない」という形が、実務では扱いやすくなります。

数えた結果は、相手先への報告にそのまま使えます。期末の残数として報告できるので、二度手間になりません。棚卸の日程を、報告の締めに合わせておくと、報告の作成が楽になります。

差が出たときは、自社の在庫と同じ手順で調べます。使用の記録漏れ、不良の記録漏れ、数え間違い、場所違い。原因不明のまま合わせるときは、その旨を相手先にも伝えます。黙って合わせると、あとから発覚したときに信用に関わります。棚卸の進め方は棚卸のやり方にまとめています。

数えるが、合算しない棚卸の作業自社の在庫と同じ順路区画も棚卸表に入れる飛ばすと1年数えない集計自社の在庫に合算しない相手先への報告に使う会計の扱いは経理へ
数えるが、合算しない

置き場所を分ける

支給品は、自社の在庫とも、他の相手先の支給品とも、場所を分けて置きます。

同じ品番でも、支給元が違えば別のものです。混ざると、使ったぶんをどちらから引くか分からなくなります。相手先ごとに区画を分けて、表示します。

現品にも表示します。相手先の名前と、支給された日。新しく入った人が見て分かる形にしておくと、間違って自社の在庫として使われることが防げます。

置き場に棚番を振って、記録に持ちます。取りに行く場所が記録から分かると、作業のたびに探さずに済みます。棚番の付け方はロケーション管理のやり方にまとめています。

支給元ごとに区画を分ける1区画支給元ごと2表示現品にも名3棚番記録に持つ4区分自社在庫と分ける
支給元ごとに区画を分ける

記録を軽くする工夫

支給品の記録は、項目を増やすほど書かれなくなります。必要なのは、日付、品番、数、作業の番号の4つです。相手先は、置き場が分かれていれば区画から分かります。

紙で回す場合は、区画のそばに用紙を置きます。取り出したときに1行書く形にすれば、あとから思い出す必要がありません。まとめて入力するのは、その日のうちに済ませます。

品目が少なければ、区画に付けた札に「正」の字で数える形でも足ります。厳密な様式より、その場で書けることのほうが効きます。月末にまとめて集計すれば報告は作れます。

記録が続かないときは、書く場所と項目数を見ます。人の意識ではなく、書きにくさが原因であることがほとんどです。

見積りと原価にも効く

支給品の使用の記録は、現場の管理だけでなく、見積りの精度にも効きます。1つ作るのに材料がいくつ要るのかが、実績として分かるためです。

予定の数と実際の数を並べて、差が続いているなら見積りが合っていません。不良のぶんを含めた実際の使用量で見積もれば、次の仕事の条件が現実に近づきます。相手先と条件を話すときの材料にもなります。

支給の量が足りずに作業が止まった回数も、記録から出せます。止まった時間は費用です。回数が多ければ、支給の頻度か量を相談する根拠になります。

逆に、余りが毎回出ているなら、支給の量が多すぎます。置き場と管理の手間がかかっているので、減らしてもらうほうが双方のためになります。数字で示せれば、相談が進みます。

よくある質問

支給品は在庫として資産に計上しますか

無償か有償か、所有権がどちらにあるかによって扱いが変わります。経理部門か顧問の税理士に確認してください。現場としては、金額の扱いにかかわらず、現物の数を正確に追うところは変わりません。

使ったぶんの記録が現場から上がってきません

記録する場所が、作業から離れていることがほとんどです。作業の指示書に「使った数」の欄を作ると、作業の流れの中で書けます。あとからまとめて思い出して書く形だと、数が曖昧になります。

不良品として使えなかったぶんはどうしますか

使用数とは分けて記録します。相手先に報告して、指示を受けます。返すのか、処分するのかは、相手先の判断になります。不良のぶんの数が多い場合は、材料そのものの品質の話につながるため、写真と一緒に記録を残しておくと説明できます。

複数の相手先から同じ部品が支給されます

相手先ごとに分けて持ちます。品番が同じでも、支給元が違えば別の在庫です。棚も分けて、現品に支給元を表示します。合算した数だけを持つと、どちらから引いてよいか分からなくなります。

支給品の棚卸は自社の棚卸と一緒にやりますか

同じ日に行い、集計は別に出すのが実務的です。数える作業をまとめられるので手間が減り、集計が分かれていれば報告もそのまま出せます。自社の在庫の金額に混ぜないところだけ、注意します。

支給品を自社の在庫として使ってしまいました

気づいた時点で、相手先に連絡します。隠すと、あとで発覚したときに信用の問題になります。使ったぶんを買い取るのか、同等品を返すのか、指示を受けます。再発を防ぐには、区画と現品の表示を直します。自社の在庫と同じ場所に置いてあると、忙しい日に必ず起きます。

支給元の担当者が代わって、条件が伝わりません

相手先ごとの条件を1枚にまとめて、担当が代わったときに双方で確認する形にしておきます。こちらから「いまの取り決めはこうです」と出せると、行き違いが減ります。年に1回は、契約と照らして内容が合っているかを確かめます。

記録はどのくらい残しますか

契約で保存の条件が定められている場合は、それに従います。取引が続いている間は、少なくとも前回の報告と比べられる形で残します。受け払いの経緯は、あとから問い合わせが来ることがあるため、年度ごとにまとめておくと探しやすくなります。

支給品が余ったまま数年放置されています

まず一覧にして、相手先ごとに連絡します。「いつの、どの案件の支給品が、いくつ残っている」まで書いて出すと、相手も判断できます。担当が代わっていて経緯が分からない場合もあるので、こちらから経緯を示すと話が進みます。処分してよいかは必ず相手先の指示を受けます。

まとめ

支給品は、相手先から受け取って、使って減っていくものです。預り品と違い、受け払いの記録が要ります。

記録するのは、受入・使用・返却・残数の4つです。いちばん抜けやすいのが使用の記録なので、作業の指示書に書く欄を作って、作業の流れの中で残せる形にします。

そして、余ったときの扱いを先に決めておくことです。返す、次に使う、買い取る、処分する。決めていないと、置き場に残ったまま何年も経ちます。毎回余るなら、支給される量そのものを相談する材料になります。

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