荷役と安全実務2026.09.16 公開AN-04

保護具の点検と管理|倉庫で使うものと台帳

目次

保護具は、配って終わりにされやすいものです。配った日は覚えていても、いつ取り替えたか、誰が持っているか、まだ使える状態かは、記録が無いと分かりません。壊れた保護具は、着けていても守ってくれません。

この記事では、保護具を、倉庫で使うもの選び方点検のしかた台帳の作り方着けてもらう形の順に整理します。作業によって必要な保護具は法令で定められている場合があります。自社の作業に何が要るかは、所轄の労働基準監督署にご確認ください。

保護具の点検と管理を1枚で残せる様式が配られています。

倉庫で使う保護具

倉庫でよく使うものを挙げます。作業の内容によって、必要なものが変わります。

足を守るものが基本です。安全靴や、つま先に芯の入った靴。荷物の落下と、台車での踏まれを防ぎます。倉庫の怪我のうち、足に関わるものは多く、ここは外せません。

手袋も使います。荷物の角、木製パレットの棘、刃物。作業によって向く手袋が違い、回転する機械の近くでは、巻き込まれを避けるために使わないという判断もあります。

頭を守るものは、高い場所に荷物がある倉庫や、フォークリフトが動く場所で使います。落ちてくるものがある場所では、ヘルメットか保護帽が要ります。

このほか、扱う品物によっては、保護めがね、防じんマスク、耐切創の手袋、腰を守るベルトなどが加わります。何が要るかは、作業と扱う物で決まります。

倉庫で使う保護具安全靴手袋ヘルメット保護めがね防じんマスク腰のベルト保護具
倉庫で使う保護具

選び方

種類だけでなく、合っているかどうかが効きます。合わない保護具は、着けていても守りません。

サイズが合っていることが第一です。大きすぎる手袋は指先の感覚が無くなり、かえって危険です。靴も、大きいと躓きます。人ごとにサイズを確かめて配ります。

作業の内容に合っていることも要ります。水を使う場所で滑る靴、油の付く場所で滑る手袋。現場で実際に使ってみて、合わなければ変えます。カタログの仕様だけで決めると、使われないまま棚に残ります。

暑さも見ます。夏に着けると暑くて外してしまう保護具は、結局守ってくれません。通気性のあるものや、涼しい素材のものを探します。暑さ対策との組み合わせは倉庫の暑さ対策にまとめています。

合っていない保護具は守らない合っていないサイズが大きい暑くて外す作業がしにくい着けていても守らない合っている人ごとにサイズを確かめる作業と環境に合う現場で試してから決める
合っていない保護具は守らない

作業ごとに要るものを決める

保護具は、倉庫の全員が同じものを着ければよいわけではありません。作業ごとに要るものが違います。

フォークリフトに乗る人と、ピッキングで歩き回る人では、危険の種類が違います。高い段の荷物を扱う人、刃物で開梱する人、屋外で荷役する人。作業の種類ごとに、要る保護具を一覧にします。

一覧があると、新しい人が入ったときに何を渡せばよいかが決まります。「とりあえず全部渡す」と、使わないものが増えて、本当に要るものの管理が薄まります。作業が変わったときに、渡すものも変える形にします。

臨時の作業にも目を向けます。棚の組み替え、高所での清掃、廃棄物の運び出し。普段と違う作業のときに、普段の保護具のままやってしまうのがいちばん危ない形です。作業の前に、要るものを確認する手順を入れます。危険予知の場で確認するのが自然な形になります。進め方は危険予知のやり方にまとめています。

作業ごとに要るものが違う作業要るものフォークリフト安全靴。頭上に荷があれば保護ピッキング安全靴と手袋開梱耐切創の手袋屋外の荷役帽子と通気性のある服
作業ごとに要るものが違う

保護具だけに頼らない

保護具は、危険そのものを無くすものではありません。危険が残っている場所で、最後に人を守るものです。

安全の考え方では、まず危険を無くす、次に人から遠ざける、それでも残る部分を保護具で守る、という順があります。保護具から始めると、危険はそのまま残ります。

たとえば、落下物の危険がある場所では、ヘルメットを配る前に、落ちない形にできないかを見ます。棚に落下防止のバーを付ける、高い段に重いものを置かない、荷を積む高さを決める。これらで落ちなくなれば、当たる可能性そのものが減ります。

そのうえで、それでも残る危険に保護具を当てます。この順で考えると、保護具に頼りすぎる形を避けられます。倉庫の災害の型と、手当ての順は倉庫の安全対策にまとめています。

点検のしかた

保護具は消耗品です。使っているうちに性能が落ちるので、定期の点検と、使う前の確認が要ります。

使う前の確認は、本人が行います。安全靴なら、靴底のすり減り、芯の変形、縫い目のほつれ。手袋なら、穴、破れ、滑り止めの摩耗。ヘルメットなら、外側のひび、内側のバンドの傷み、あごひもの状態。数秒で見られる範囲です。

定期の点検は、決めた周期で全数を見ます。月に1回でも、四半期に1回でも構いません。台帳に記録を残しながら回ると、取り替えの時期も分かります。

ヘルメットや保護帽には、素材ごとに使用の目安となる期間が示されていることがあります。見た目に傷が無くても、時間とともに性能が落ちるためです。取扱説明書やメーカーの案内を確認して、交換の目安を台帳に書いておきます。

衝撃を受けたものは、見た目が無事でも交換します。一度大きな力がかかった保護具は、次に守ってくれるとは限りません。落下物が当たった、高いところから落とした、といったときは、その場で交換の列に回します。

使う前に見るところ使用前の確認安全靴底の摩耗と芯手袋穴と滑り止めヘルメットひび・バンドあごひも締まるか衝撃後見た目が無事でも交換数秒で見られる範囲本人が使う前に定期の点検は台帳で
使う前に見るところ
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実際に使える様式が必要な方へ

『保護具点検・管理台帳』の様式が、点検板で配られています。そのまま使えるExcelです。

この様式をひらく

台帳を作る

誰が何を持っていて、いつ配って、いつ取り替えるか。これを1枚にまとめると、管理が一気に軽くなります。

台帳に持つのは、氏名、保護具の種類、サイズ、配った日、交換の目安、前回の点検日、状態、備考です。交換の目安の列があると、切れる前に手配できます。

種類ごとに分けて持つ形でも、人ごとに1行で持つ形でも構いません。人の出入りが多い職場では、人ごとのほうが管理しやすくなります。辞めた人の保護具を回収するかどうかも決めておきます。

共用のもの(来客用のヘルメット、予備の手袋)は、別の行で持ちます。共用のものほど、誰も点検しません。担当を決めて、月に1回見る形にします。

在庫も台帳で見ます。予備が何個あるか、どのサイズが足りないか。切れてから発注すると、届くまで保護具の無い人が出ます。発注点を決めておくのが確実です。在庫の管理のしかたは在庫管理表の作り方にまとめています。

台帳に持つ項目保護具管理台帳氏名所属も書く種類サイズも配布日交換の目安点検日前回いつ見たか状態交換の要否共用のものは別の行在庫と発注点も持つ切れると守れない
台帳に持つ項目

着けてもらう形にする

配っても着けてくれない、という悩みはどの現場にもあります。理由を聞くと、たいてい物理的な理由があります。

暑い、蒸れる、作業がしにくい、サイズが合わない、どこにあるか分からない。これらは説得では解決しません。合うものに替える、置き場所を作業の動線に置く、といった手当てが要ります。

置き場所は特に効きます。事務所まで取りに行く形だと、取りに行かない人が出ます。作業する場所の入口に置くだけで、着ける率が上がります。使ったあとに戻す場所も同じところにします。

管理する立場の人が着けていることも効きます。現場に入るときは全員が同じ形にしておくと、着けない理由が無くなります。来客や業者の人にも、入口で渡せるよう予備を置いておきます。

決めごとは、場所で決めます。「気をつけて」ではなく、「この線から中はヘルメット」という形です。床に線を引き、表示を出します。判断が要らない形にするのが、守られる決めごとの条件になります。安全のルールの作り方は倉庫の安全対策にまとめています。

新しく入った人への渡し方

人が入れ替わる職場では、初日に何を渡すかが決まっていると、抜けが出ません。渡すもの、サイズを聞くもの、説明することを1枚にします。

初日に渡すのは、その人の作業に必要なものです。サイズが要るものは、前もって聞いておくか、複数のサイズを用意しておきます。「サイズが無いので明日から」となると、その日は保護具なしで作業することになります。

渡すときに、着け方と、点検で見るところを説明します。説明は30秒で足ります。あごひもを締める、靴紐をきちんと結ぶ、穴が空いていないか見る。台帳に記入して、渡した日を残します。

短期の人や応援の人にも同じ形にします。「今日だけだから」で省くと、その日に怪我をします。予備を数セット用意しておけば、当日に人が増えても対応できます。

初日に渡すものを決めておく1渡す作業に必要な物2合わせるサイズを見3説明着け方と点4記録台帳に書く
初日に渡すものを決めておく

交換と処分

交換の判断は、台帳の目安と、点検で見つかった状態の両方で決めます。「まだ使えそう」で延ばすと、いざというときに守りません。

交換したものは、その場で処分します。使えないものが現場に残っていると、誰かが使います。処分するまでの間は、使用禁止の箱に入れて分けます。

交換の記録は台帳に残します。誰に、いつ、何を交換したか。同じ人が短い期間で何度も交換しているなら、作業の内容か、選んだ保護具が合っていません。記録から、そうした傾向が見えます。

予備の在庫は、サイズごとに持ちます。よく出るサイズが切れやすいので、発注点はサイズごとに決めます。繁忙期に人が増える現場では、その前に多めに手配します。

記録が求められる場面

保護具の管理の記録は、社内の管理のためだけでなく、外から求められることがあります。

荷主や元請の監査で、安全の管理状況を聞かれることがあります。台帳が1枚あれば、そこで話が終わります。無ければ、口頭で説明することになり、印象も変わります。

事故が起きたときにも、記録が効きます。適切な保護具を配り、点検し、交換していたことを示せるかどうかで、そのあとの話の進み方が変わります。配った日と点検の記録があれば、事実として示せます。

営業倉庫では、労働災害の防止が倉庫管理主任者の業務に含まれています。保護具の管理は、その仕事の一部になります。役割と記録の持ち方は倉庫管理主任者の仕事にまとめています。

記録は、他の安全の記録とまとめて保管します。危険予知、ヒヤリハット、教育の記録、点検の記録。1つのファイルにまとめておくと、求められたときに1回で出せます。

費用の見積り方

保護具は消耗品なので、毎年費用がかかります。年間でいくらかかるかを、台帳から出しておくと、予算を取りやすくなります。

人数、種類ごとの単価、交換の周期。この3つを掛ければ、年間の見込みが出ます。交換の周期が分からない場合は、1年ぶんの購入の記録から逆算します。実際に何個買ったかを数えれば、周期の実績が分かります。

金額を見て高いと感じたら、単価を下げる前に、合っていない保護具で消耗が早くなっていないかを見ます。作業に合わない手袋は、すぐに穴が空きます。合うものに替えたら、消耗が減って費用も下がった、という形はよくあります。

安全にかかる費用は、削りにくい代わりに、効果も見えにくいものです。怪我が1件起きたときの費用と比べると、判断の材料になります。休業が出れば、その人の作業を誰かが埋めることになります。

よくある質問

保護具は会社が用意するものですか

作業によって、事業者に備え付けや使用させることが法令で定められているものがあります。自社の作業に何が該当するかは、所轄の労働基準監督署に確認してください。法令上の扱いとは別に、支給の範囲や費用の負担は社内の取り決めで決まります。決めが無いと、そのつど揉めます。

ヘルメットの交換はどのくらいですか

素材やメーカーによって、使用の目安となる期間が示されています。製品の説明やメーカーの案内を確認してください。見た目に傷が無くても、時間とともに性能が落ちるとされています。衝撃を受けたものは、期間にかかわらず交換します。

手袋を着けない人がいます

機械の近くでは、巻き込まれを避けるために着けないほうがよい場面もあるので、まず作業ごとに要るかどうかを整理します。そのうえで、必要な場面で着けていないなら、理由を聞きます。作業がしにくいなら、薄手のものや、指先の感覚が残るものを試します。

台帳を作る時間がありません

人数ぶんの行と、6つの列だけで足ります。いま配っているものを1回書き出せば、あとは配ったときと交換したときに1行足すだけです。最初の書き出しは、点検を兼ねて全員分を見る日に行うと、二度手間になりません。

来客や業者の人の保護具はどうしますか

入口に予備を置いておき、入る人に渡します。サイズを数種類そろえておくと、合わないという理由で着けないことが減ります。使ったあとに戻してもらう場所も、同じところに作ります。共用のものは、月に1回の点検の対象に入れます。

洗濯や清掃はどうしますか

繰り返し使うものは、汚れたまま使うと性能が落ちることがあります。手袋や作業着は、洗う頻度と方法を決めておきます。ヘルメットの内装も、汗を吸うので定期的に洗うか交換します。洗い方を間違えると素材が傷むので、製品の案内に従います。共用のものは、使うたびに拭く形にしておくと衛生の面でも安心できます。

個人で買ったものを使ってよいですか

規格を満たしているかどうかが判断の分かれ目になります。作業によっては、定められた規格に適合したものを使う必要があります。持ち込みを認めるかどうかは社内で決めて、認める場合も、規格の確認と台帳への記載を行います。

台帳は紙と表計算のどちらがよいですか

人数が少なければ紙でも回りますが、交換の目安で並べ替えたいなら表計算が向きます。次に交換が来る人を順に出せると、まとめて手配できます。どちらの場合も、点検のときに持ち歩ける形にしておくことが大事です。事務所にしかない台帳は、点検の場で更新されません。

安全靴は毎日履くので消耗が早いです

消耗が早いのは正常です。靴底のすり減りと、つま先の芯の変形を見て交換します。滑りやすくなった靴は、転倒のもとになります。交換の周期を人ごとに記録しておくと、次の手配の時期が読めます。屋外や水を使う場所で使う人は、周期が短くなるので、別に見ます。

まとめ

保護具は、配って終わりにすると、いつ取り替えたかも、まだ使えるかも分からなくなります。壊れた保護具は、着けていても守ってくれません。

点検は、使う前の本人の確認と、決めた周期の全数点検の2つです。ヘルメットのように、見た目が無事でも期間で交換するものがあります。衝撃を受けたものは、その場で交換します。

そして、着けてもらうには、置き場所を作業の動線に置くこと、合うものを選ぶこと、場所で決めることです。「気をつけて」ではなく、「この線から中は着ける」という形にすると守られます。

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実際に使える様式が必要な方へ

保護具の点検・管理台帳が、点検板で配られています。交換の目安と点検の記録を1枚で残せます。

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