荷役と安全実務2026.08.14 公開AN-06

棚の移動とレイアウト変更|記録と手順の作り方

目次

棚を動かすと、そこにあった物の場所が変わります。システムの棚番地が古いままだと、ピッキングで探す時間が増え、在庫が合わなくなります。棚の移動は、荷物を運ぶ作業ではなく、情報を書き換える作業です。

この記事では、棚の移動を、起きる問題進め方の順番記録の残し方移動中の運用終わったあとの確認の順に整理します。ラックの解体や再設置には、製品ごとの手順があります。メーカーと、社内の安全の担当に確かめてください。

棚の移動と棚番地の記録の様式そのものを探している場合は、在庫板にそろっています。

結論:物より、情報のほうが遅れる

棚を動かしたあとに起きるのは、情報のずれです。

起きるのは3つです。

1つ目は、棚番地が古いままになることです。システムを見て行くと、物がありません。

2つ目は、探す時間が増えることです。移動を知らない人が、前の場所を探します。

3つ目は、在庫が合わなくなることです。見つからない物が、欠品として扱われます。

起きるのは情報のずれ棚番地システムを見ても物が無い探す時間移動を知らない人が前の場所へ在庫のずれ欠品として扱われる
棚番地・探す時間・在庫のずれという3つの問題を並べた層の図

荷物を動かすのは半日で終わっても、情報が追いつくのに1か月かかることがあります。動かす前に、情報をどう書き換えるかを決めてください。

進め方の順番

棚の移動は、順番を決めると事故が減ります。

順番は5段です。

1つ目は、新しい配置を決めることです。図面に書きます。

2つ目は、移動する物と移動しない物を分けることです。

3つ目は、移動の日と担当を決めることです。

4つ目は、実際に動かすことです。

5つ目は、情報を書き換えることです。

進め方の5段1配置を決め図面に書く2仕分け動かす物と動かさない3日程と担当区画ごとに分ける4移動と更新同じ日に情報も直す
配置の決定・仕分け・日程と担当・移動という4段の順番のフロー

5つ目を4つ目と同じ日にやってください。「動かしてから、あとで直す」と、そのあいだに出荷が入ります。動かした棚から順に、その場で情報を直す形にすると、ずれが生まれません。

新しい配置の決め方

せっかく動かすなら、良くなる配置にします。

見るのは4つです。

1つ目は、出る頻度です。よく出る物を、出荷口の近くに。

2つ目は、重さです。重い物を下の段に。

3つ目は、大きさです。大きい物は取り出しやすい場所に。

4つ目は、一緒に出る物です。同じ注文でよく一緒に出る物は、近くに置きます。

配置の4つの決め方見るもの中身出る頻度よく出る物を出荷口の近くに重さ重い物を下の段に大きさ大きい物は取り出しやすい場所一緒に出る物同じ注文の物を近くに
出る頻度・重さ・大きさ・一緒に出る物という4つの配置の決め方を並べた表

1つ目と4つ目が、ピッキングの時間を変えます。よく出る物が奥にあると、毎回歩く距離が増えます。出荷の記録から、よく出る品番の一覧を出して配置を決めてください。

移動の日をどう選ぶか

棚の移動は、出荷を止めるかどうかで難しさが変わります。

選び方は4つです。

1つ目は、休みの日にやることです。いちばん安全ですが、人件費がかかります。

2つ目は、出荷の少ない日を選ぶことです。

3つ目は、区画ごとに分けてやることです。一度に全部を動かさない。

4つ目は、出荷の時間帯を避けることです。

3つ目がいちばん現実的です。倉庫全体を一度に動かすのは、準備も体力も足りません。A列だけ、次の週にB列。区画ごとに分ければ、出荷を止めずに進められます。

記録の残し方

移動の記録は、あとから追えることが目的です。

書くのは5つです。

1つ目は、移動した日です。

2つ目は、移動した品番です。

3つ目は、元の棚番地です。

4つ目は、新しい棚番地です。

5つ目は、作業した人です。

記録する5つ棚の移動記録日付移動した日品番移動した品番前の棚番地新しい棚番地作業者動かした人元の棚番地を残す見つからない物を探すときに要る
日付・品番・元の場所・新しい場所・作業者という5つの記載事項を並べた表
点検表テンプレート
目録をひらく

この業務の記事をまとめて読む

棚の移動と棚番地の記録の様式を探しているなら、在庫板のものが近道です。

この様式をひらく

3つ目を残してください。新しい場所だけ書いていると、「あの品番は前どこにあったか」を確かめられません。移動のあとで見つからない物が出たとき、元の場所を探せます。

移動中の運用

移動の最中は、在庫の場所が不確かな状態になります。

決めるのは4つです。

1つ目は、その区画の出荷を止めるかです。

2つ目は、止めない場合の探し方です。元と新のどちらを見るか。

3つ目は、仮の表示です。「移動中」と貼ります。

4つ目は、終わったことを知らせる方法です。

3つ目を必ずやってください。移動中の棚に「◯◯へ移動中」と貼っておくと、探しに来た人が新しい場所へ行けます。貼り紙1枚で、聞いて回る時間が消えます。

システムの書き換え

棚番地の情報は、一括で書き換えられることがあります。

確かめるのは4つです。

1つ目は、一括で変更できるかです。1件ずつだと時間がかかります。

2つ目は、変更の履歴が残るかです。

3つ目は、変更のタイミングです。動かす前か、動かしたあとか。

4つ目は、間違えたときの戻し方です。

3つ目は「動かしたあと」が原則です。先に情報を変えると、まだ動かしていない物を新しい場所へ探しに行きます。動かした区画から順に、その場で変える形にしてください。

終わったあとの確認

移動が終わったら、合っているかを確かめます。

やることは4つです。

1つ目は、棚番地の表示を確かめることです。棚に貼ってある番地と、システムが合っているか。

2つ目は、抜き出して数えることです。いくつかの品番で、場所と数を確かめます。

3つ目は、ピッキングを1回やってみることです。実際に探せるか。

4つ目は、古い表示を剥がすことです。

4つ目が残ります。古い棚番地のシールが貼られたままだと、次の人が混乱します。移動の作業の最後に、古い表示を剥がす手順を入れてください。

図面を更新する

倉庫のレイアウト図は、移動のたびに古くなります。

やることは4つです。

1つ目は、図面を更新することです。

2つ目は、掲示している図面を差し替えることです。

3つ目は、更新した日を書くことです。

4つ目は、古い図面を回収することです。

2つ目と4つ目が抜けます。新しい図面を作っても、事務所や現場に古い図面が貼られたままになります。掲示している場所を一覧にしておくと、差し替えの漏れが防げます。

移動を減らす考え方

そもそも、移動しなくて済む配置にできると楽になります。

考えるのは4つです。

1つ目は、余裕を持った配置にすることです。品目が増えても入る形に。

2つ目は、固定しない棚を使うことです。可動の棚板、移動できるラック。

3つ目は、置き場を品目で固定しないことです。空いた場所に置くフリーロケーション。

4つ目は、出る頻度で区画を分けることです。

3つ目は、システムが対応していれば有力です。品目ごとに場所を固定しないので、品目が増えても棚を動かす必要がありません。ただし記録が命になるので、システムと運用が伴っている必要があります。

作業の前に人を集める

棚の移動は、複数の人が同時に動きます。始める前に集まります。

伝えるのは4つです。

1つ目は、今日やる範囲です。どの列からどの列まで。

2つ目は、役割です。降ろす人、運ぶ人、記録する人。

3つ目は、安全の注意です。通路、機械、荷物の高さ。

4つ目は、終わりの時刻です。

2つ目に記録する人を入れてください。全員が体を動かしていると、記録が後回しになります。1人を記録の担当にして、動かした都度その場で書く形にすると、あとの作業が消えます。

品目を絞って動かす日を作る

全部を動かさなくても、よく出る品目だけを動かすことで効果が出ます。

やり方は4つです。

1つ目は、出荷の記録から上位の品番を出すことです。

2つ目は、その品番が今どこにあるかを見ることです。

3つ目は、出荷口に近い場所へ移すことです。

4つ目は、移した前後で歩く距離を比べることです。

4つ目を測ってみてください。上位20品番を出荷口の近くに集めるだけで、1日の歩く距離が目に見えて減ることがあります。棚をすべて動かす前に、これだけ試す価値があります。

棚番地の付け方を決める

移動を機に、棚番地の付け方を見直すと効きます。

決めるのは4つです。

1つ目は、列・連・段の順番です。「A-03-2」のように。

2つ目は、番号の向きです。入口から奥へ増える、左から右へ増える。

3つ目は、桁数をそろえることです。「A-3」と「A-03」が混ざらないように。

4つ目は、表示の位置です。通路から見える高さ。

棚番地の4つの決めごと決めること中身列・連・段「A-03-2」のように番号の向き入口から奥へ増やす桁数「A-3」と「A-03」を混ぜない表示の位置通路から見える高さ
列連段・番号の向き・桁数・表示の位置という4つの決めごとを並べた表

2つ目がピッキングの速さを変えます。番号の向きがばらばらだと、リストの順に回れません。入口から順に増える形にすると、リストの上から順に歩くだけで済みます。

移動のあとに教える

配置が変わったら、働く人に伝えます。

伝えるのは4つです。

1つ目は、変わった範囲です。どの列が変わったか。

2つ目は、新しい図面です。掲示と、手元の1枚。

3つ目は、よく出る品番がどこへ移ったかです。

4つ目は、分からないときの聞き先です。

移動のあとに伝える4つ伝えること中身変わった範囲どの列が変わったか新しい図面掲示と手元の1枚主要品番の場所よく出る物がどこへ移ったか聞き先分からないときの相手
変わった範囲・新しい図面・主要品番の場所・聞き先という4つの伝えることを並べた表

3つ目だけでも伝えてください。毎日触る品番が10も20もあるわけではありません。よく出る上位の品番がどこへ移ったかが分かれば、当面は動けます。残りは図面で探せます。

まとめ

棚の移動は、荷物を運ぶ作業ではなく、情報を書き換える作業です。

  • 起きるのは、棚番地のずれ・探す時間の増加・在庫のずれ
  • 情報の書き換えは、動かしたその日に、動かした区画から順に
  • 記録には、元の棚番地も残す。見つからない物を探すときに要る
  • 移動中の棚に「◯◯へ移動中」と貼る。聞いて回る時間が消える
  • 終わったら古い表示を剥がす。手順の最後に入れる

ラックの解体や再設置には、製品ごとの手順があります。メーカーと、社内の安全の担当に確かめてください。

点検表テンプレート
目録をひらく

この業務の記事をまとめて読む

棚の移動と棚番地の記録の様式をまとめて整えるなら、在庫板が近道です。

この様式をひらく

よくある質問

Q. 情報の書き換えは、いつやりますか。 A. 動かしたあと、その日のうちです。先に情報を変えると、まだ動かしていない物を新しい場所へ探しに行きます。動かした区画から順に、その場で変えてください。

Q. 倉庫全体を一度に動かせません。 A. 区画ごとに分けてください。A列だけ、次の週にB列。一度に全部を動かすのは、準備も体力も足りません。出荷を止めずに進められます。

Q. 移動中に出荷が入ったらどうしますか。 A. 移動中の棚に「◯◯へ移動中」と貼ってください。探しに来た人が新しい場所へ行けます。貼り紙1枚で、聞いて回る時間が消えます。

Q. 元の棚番地を記録する意味はありますか。 A. あります。移動のあとで見つからない物が出たとき、元の場所を探せます。新しい場所だけ書いていると、「前どこにあったか」を確かめられません。

Q. 新しい配置は、どう決めますか。 A. 出る頻度、重さ、大きさ、一緒に出る物の4つです。出荷の記録から、よく出る品番の一覧を出して決めてください。よく出る物が奥にあると、毎回歩く距離が増えます。

Q. 古い棚番地のシールが残ります。 A. 剥がす手順を、作業の最後に入れてください。貼られたままだと、次の人が混乱します。新しいシールを貼るときに、古いものを剥がす形にします。

Q. レイアウト図が古いままです。 A. 掲示している場所を一覧にしておいてください。新しい図面を作っても、事務所や現場に古い図面が貼られたままになります。差し替えの漏れが防げます。

Q. 移動が終わったら、何を確かめますか。 A. 棚番地の表示とシステムが合っているか、抜き出して数えるか、実際にピッキングできるか、古い表示を剥がしたか。ピッキングを1回やってみるのがいちばん確実です。

Q. フリーロケーションにすれば、移動が減りますか。 A. 減ります。品目ごとに場所を固定しないので、品目が増えても棚を動かす必要がありません。ただし記録が命になります。システムと運用が伴っている必要があります。

Q. ラックの解体は自分たちでできますか。 A. 製品ごとに手順があります。倒れる危険があるので、メーカーか専門の業者に確かめてください。解体と再設置で、部材が使えなくなることもあります。

Q. 移動の作業で気をつけることは。 A. 荷物を降ろしてから動かすこと、通路を確保すること、人と機械の動きを分けることです。詳しくは社内の安全の担当に確かめてください。作業の前に手順を共有します。

Q. 移動のあと、在庫が合いません。 A. 移動の記録と突き合わせてください。元の場所と新しい場所の両方が記録されていれば、たどれます。記録が無いと、探す場所が絞れません。

Q. 作業の前に何を伝えますか。 A. 今日やる範囲、役割、安全の注意、終わりの時刻の4つです。役割に「記録する人」を入れてください。全員が体を動かしていると、記録が後回しになります。

Q. 全部は動かせません。 A. よく出る上位の品番だけを、出荷口の近くに集めてください。それだけで1日の歩く距離が目に見えて減ることがあります。棚をすべて動かす前に試せます。

Q. 棚番地の付け方に決まりはありますか。 A. 社内で決めれば構いませんが、番号の向きをそろえてください。入口から順に増える形にすると、ピッキングのリストの上から順に歩くだけで済みます。

Q. 配置が変わったことを、どう伝えますか。 A. 変わった範囲、新しい図面、よく出る品番がどこへ移ったか、聞き先の4つです。よく出る上位の品番の場所だけでも伝えれば、当面は動けます。

Q. 移動の日は、どのくらいの人数が要りますか。 A. 範囲と荷物の量によります。前回の実績を記録しておくと、次の見込みが立ちます。降ろす人、運ぶ人、記録する人の3つの役割が回る人数が最低です。

Q. 移動の途中で人手が足りなくなりました。 A. 動かした範囲までで区切って、情報の更新まで終わらせてから止めてください。中途半端な状態で終わると、どこまで動かしたか分からなくなります。

Q. 移動の記録はどのくらい残しますか。 A. 次の棚卸が終わるまでは残してください。差異が出たときに、移動が原因かどうかを確かめられます。それ以降は、レイアウト図があれば足ります。

Q. 移動のあと、歩く距離が減ったか測れますか。 A. 測れます。ピッキング1件あたりの時間を、移動の前後で比べてください。距離そのものを測らなくても、時間で差が出ます。