倉庫の運営書き方2026.09.05 公開ZS-06

使用実績の記録|発注の量を決める根拠になる

目次

いくつ発注するかを、前と同じ数で決めている。増やす理由も減らす理由も無いので、何年も同じです。使用実績を記録すると、実際に使っている量が分かり、持つ量と発注の量を数字で決められるようになります。

この記事では、使用実績を、記録する理由書く項目集計の仕方発注への使い方続ける工夫の順に整理します。帳簿や原価の扱いは、社内の経理の担当に確かめてください。

使用実績の記録の様式そのものを探している場合は、在庫板にそろっています。

結論:使った量が分からないと、持つ量も決まらない

在庫の量は、使う量から決まります。

分からないと起きるのは3つです。

1つ目は、持ちすぎです。念のため多めに持ちます。

2つ目は、足りないことです。切らしてから慌てます。

3つ目は、判断できないことです。増やすか減らすかを決める根拠がありません。

分からないと起きる3つ持ちすぎ念のため多めに持つ足りない切らしてから慌てる判断できない増やすか減らすか決まらない
持ちすぎ・足りない・判断できないという3つの問題を並べた層の図

3つ目がいちばん大きい問題です。「いま持っている量が適切かどうか」を、誰も判断できない状態が続きます。記録を取ると、はじめて議論ができるようになります。

何を記録するか

すべての品目を記録する必要はありません。絞ります。

絞るのは4つです。

1つ目は、金額の大きい品目です。持ちすぎの影響が大きい。

2つ目は、よく使う品目です。

3つ目は、切らすと困る品目です。

4つ目は、調達に時間がかかる品目です。

絞る4つの軸中身金額持ちすぎの影響が大きい頻度よく使う品目切らすと困る止まる品目調達期間長い品目
金額・頻度・切らすと困る・調達期間という4つの絞る軸を並べた表

1つ目と3つ目から始めてください。この2つに当てはまる品目は、多くても20か30品番です。全品を記録しようとすると続きません。

書く項目

記録は、使った都度書くか、定期的に在庫を数えるかで方法が変わります。

書くのは5つです。

1つ目は、日付です。

2つ目は、品番です。

3つ目は、使った数量です。

4つ目は、使った場所か目的です。

5つ目は、使った人です。

書く5つ使用実績の記録日付使った日品番品番数量使った数目的場所か案件使った人目的を書くと原価につながる項目を増やすと続かない
日付・品番・数量・場所か目的・使った人という5つの記載事項を並べた表

4つ目があると、使い道が分かります。同じ品目でも、どの工程で、どの案件で使ったかが分かると、原価の話にもつながります。ただし項目が増えると続かないので、必要な品目に絞ってください。

出庫の記録から出す方法

新しく記録を始めなくても、既にある記録から出せることがあります。

見るのは4つです。

1つ目は、出庫の記録です。在庫から出した数量。

2つ目は、発注の記録です。買った数量。

3つ目は、棚卸の結果です。期首と期末の在庫。

4つ目は、計算です。期首 + 仕入 − 期末 = 使った量。

既にある記録から出す使う記録中身出庫在庫から出した数量発注買った数量棚卸期首と期末の在庫計算期首+仕入−期末=使った量
出庫・発注・棚卸・計算という4つの出し方を並べた表
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4つ目の計算で、おおよその量が出ます。新しい記録を始めなくても、棚卸と発注の記録があれば計算できます。まずこれで年間の使用量を出して、細かく追う品目を決めるという順番もあります。

集計の仕方

記録が溜まったら、期間ごとにまとめます。

まとめるのは4つです。

1つ目は、月ごとの使用量です。

2つ目は、年間の合計です。

3つ目は、月ごとのばらつきです。多い月と少ない月。

4つ目は、前の年との比較です。

3つ目が発注の量を決めます。平均だけ見ると、多い月に足りなくなります。いちばん多い月の量を見て、そこに耐えられる持ち方にするか、多い月の前に発注を増やすかを決めてください。

発注への使い方

使用実績が分かると、発注の3つの数字が決まります。

決まるのは4つです。

1つ目は、発注点です。残りいくつで発注するか。調達期間 × 1日あたりの使用量が目安です。

2つ目は、発注の量です。次の発注までに使う量。

3つ目は、安全在庫です。ばらつきに備える分。

4つ目は、発注の頻度です。

1つ目がいちばん効きます。「調達に10日かかり、1日に5個使う」なら、50個を切ったら発注です。これに安全在庫を足した数が、実際の発注点になります。計算は1品番5分です。

続ける工夫

記録は、手間があると続きません。

工夫は4つです。

1つ目は、品目を絞ることです。20品番まで。

2つ目は、既にある記録を使うことです。新しく書かせない。

3つ目は、集計を自動にすることです。表計算の式で。

4つ目は、使う場面を作ることです。発注のときに必ず見る。

4つ目が続くかどうかを決めます。記録を取っても誰も見ないと、そのうち止まります。発注のときに使用実績を見る手順にすれば、記録が生きます。見ない記録は、いずれ書かれなくなります。

増減の理由を見る

使用量が変わったときは、理由を確かめます。

見るのは4つです。

1つ目は、生産や出荷の量が変わったかです。

2つ目は、作り方や梱包が変わったかです。

3つ目は、無駄が増えていないかです。不良、やり直し。

4つ目は、記録の漏れです。

3つ目を疑ってください。出荷の量が変わっていないのに使用量だけ増えているなら、どこかで無駄が出ています。梱包の材料なら、包み方が変わったか、やり直しが増えたか。記録が原因を教えてくれます。

原価との関係

使用実績は、原価の計算にも使われます。

つながるのは4つです。

1つ目は、案件ごとの材料費です。

2つ目は、製品ごとの原価です。

3つ目は、期間ごとの費用です。

4つ目は、見積もりの根拠です。

4つ目に効きます。「この仕事には、この材料をこれだけ使う」という実績があると、見積もりの精度が上がります。感覚で見積もっていた部分が、数字になります。詳しい扱いは社内の経理の担当に確かめてください。

ABC分析とつなげる

使用実績が出ると、品目を金額と量で分けることができます。

やり方は4つです。

1つ目は、年間の使用金額を出すことです。単価 × 使用量。

2つ目は、大きい順に並べることです。

3つ目は、上位から順にA・B・Cに分けることです。

4つ目は、区分ごとに管理の仕方を変えることです。

ABC分析の4段1金額の算出単価 × 使用量2並べ替え大きい順に3区分上位からA・B・Cに4管理の変更区分ごとにやり方を変える
金額の算出・並べ替え・区分・管理の変更という4段のフロー

4つ目が本体です。Aの品目は細かく追い、Cの品目はまとめて持つ。全品を同じ手間で管理するのは無理なので、手間をかける場所を決めるための分け方です。

現場に数字を返す

使用実績は、現場にも見せると効きます。

見せるのは4つです。

1つ目は、月ごとの使用量です。

2つ目は、前の月との差です。

3つ目は、増えている品目です。

4つ目は、金額です。

3つ目を見せると、現場から理由が出てきます。「今月テープの使用が2割増えた」と示すと、「梱包が変わったから」「やり直しが多かった」という答えが返ってきます。数字だけを見ていても、理由は分かりません。

棚卸とあわせて確かめる

使用実績の数字は、棚卸で確かめられます。

やることは4つです。

1つ目は、計算した使用量を出すことです。期首+仕入−期末。

2つ目は、記録から集計した使用量と比べることです。

3つ目は、差が出たら理由を探すことです。

4つ目は、次から精度を上げることです。

棚卸で確かめる4段1計算期首+仕入−期末2記録との比集計した使用量と3差の原因たいてい記録の漏れ4精度の改善次から合うようにする
計算・記録との比較・差の原因・精度の改善という4段のフロー

3つ目で見つかるのは、たいてい記録の漏れです。持ち出しが記録されていない、返却が入力されていない。差の大きい品目から確かめると、仕組みの穴が見つかります。

使う人が書く形にしない工夫

記録を現場に書かせると、続かないことがあります。

考えるのは4つです。

1つ目は、出庫の記録から自動で出すことです。

2つ目は、定期的に在庫を数える形にすることです。

3つ目は、補充の記録から逆算することです。

4つ目は、書く品目を絞ることです。

2つ目が現実的です。使うたびに書くのではなく、週に1回か月に1回、残りを数える。その差が使用量です。数える手間はかかりますが、毎回書かせるより続きます。

数字を見る会議を短くする

実績の数字は、見る場を作ると使われます。

作るのは4つです。

1つ目は、時間です。月に1回、30分。

2つ目は、見る項目です。使用量の増減、発注の予定、切らした件数。

3つ目は、出る人です。発注をする人と、現場の責任者。

4つ目は、決めることを1つに絞ることです。

4つ目を守ってください。30分で全部を決めようとすると、何も決まりません。「今月はこの品目の発注点を直す」と1つ決めて、翌月に効果を見る。この繰り返しのほうが進みます。

まとめ

使用実績の記録は、発注の量を決める根拠になります。

  • 記録が無いと、持ちすぎと不足の両方が起きて、判断ができない
  • 絞るのは、金額の大きい品目と切らすと困る品目。20から30品番で足りる
  • 棚卸と発注の記録があれば計算できる。新しく書かせなくてもよい
  • 発注点は、調達期間 × 1日あたりの使用量 + 安全在庫
  • 見ない記録は書かれなくなる。発注のときに必ず見る手順にする

帳簿や原価の扱いは、社内の経理の担当に確かめてください。

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よくある質問

Q. 全品目を記録する必要がありますか。 A. ありません。金額の大きい品目と、切らすと困る品目に絞ってください。多くても20から30品番です。全品を記録しようとすると続きません。

Q. 新しく記録を始めるのが大変です。 A. 既にある記録から計算できます。期首の在庫 + 仕入 − 期末の在庫 = 使った量。棚卸と発注の記録があれば出せます。まずこれで年間の量を出してください。

Q. 発注点はどう計算しますか。 A. 調達期間 × 1日あたりの使用量、これに安全在庫を足します。「調達に10日、1日に5個使う」なら50個+安全在庫です。1品番5分で計算できます。

Q. 月によって使う量が違います。 A. 平均だけ見ないでください。いちばん多い月の量を見て、そこに耐えられる持ち方にするか、多い月の前に発注を増やすかを決めます。

Q. 記録が続きません。 A. 発注のときに必ず見る手順にしてください。見ない記録は、そのうち書かれなくなります。使う場面があると続きます。品目を絞ることも効きます。

Q. 使用量が急に増えました。 A. 出荷の量が変わったか、作り方が変わったか、無駄が増えていないかを見てください。出荷が変わっていないのに増えているなら、どこかで無駄が出ています。

Q. 案件ごとに記録する必要はありますか。 A. 原価を案件ごとに出したいなら必要です。項目が増えると続かないので、必要な品目に絞ってください。すべての消耗品を案件に紐づける必要はありません。

Q. 集計は誰がやりますか。 A. 発注をする人です。月に1回、30分で足ります。表計算の式で自動に出るようにしておくと、入力だけで済みます。

Q. 安全在庫はどう決めますか。 A. 使用量のばらつきと、切らしたときの影響から決めます。多い月と平均の差が目安になります。切らすと止まる品目は、多めに持ってください。

Q. 見積もりに使えますか。 A. 使えます。「この仕事には、この材料をこれだけ使う」という実績があると、見積もりの精度が上がります。詳しい扱いは社内の経理の担当に確かめてください。

Q. 記録は何年残しますか。 A. 月ごとの集計は数年残してください。季節の波と、年ごとの傾向が見えます。日ごとの明細は1年で足りることが多くあります。

Q. 使っていない品目が見つかりました。 A. 不動在庫です。使わなくなった理由を確かめてください。仕様が変わった、取引が終わった。理由が分かれば、処分するか、まだ持つかを決められます。

Q. ABC分析とはどう違いますか。 A. 使用実績は、ABC分析の材料です。年間の使用金額(単価 × 使用量)で並べ替えて区分します。手間をかける品目を決めるための分け方です。

Q. 現場に数字を見せる意味はありますか。 A. あります。「今月テープの使用が2割増えた」と示すと、「梱包が変わったから」という理由が現場から出てきます。数字だけを見ていても理由は分かりません。

Q. 計算した使用量と、記録の使用量が合いません。 A. たいてい記録の漏れです。持ち出しが記録されていない、返却が入力されていない。差の大きい品目から確かめると、仕組みの穴が見つかります。

Q. 使うたびに書かせるのが難しいです。 A. 週に1回か月に1回、残りを数える形にしてください。その差が使用量です。毎回書かせるより続きます。数える手間はかかりますが、確実です。

Q. 数字を見る会議は、どのくらいの時間ですか。 A. 月に1回、30分です。決めることを1つに絞ってください。全部を決めようとすると何も決まりません。1つ決めて、翌月に効果を見る繰り返しが進みます。

Q. 記録の様式は紙と表計算のどちらがよいですか。 A. 集計する形なら表計算です。紙で書いて、月に1回だけ入力する形でも構いません。集計が自動で出るようにしておくと、見る会議の準備が要りません。

Q. 使用実績と在庫管理表は、別に作りますか。 A. 1枚にまとめられます。在庫の数と、月ごとの使用量を同じ表に並べると、発注の判断がその場でできます。列を足すだけで済みます。

Q. 前の年と比べると、使用量が減っていました。 A. 出荷が減ったのか、無駄が減ったのかを確かめてください。出荷が同じで使用量が減っているなら、改善の成果です。現場に伝えると、次の取り組みにつながります。

Q. 単価が変わると、金額での比較ができません。 A. 数量と金額の両方を並べてください。数量は変わらないのに金額が増えているなら、値上がりです。発注先を見直す判断の材料になります。

Q. 使用実績を取り始めて、最初に何が分かりますか。 A. 持ちすぎている品目です。「1年分の在庫がある」という品目が必ず出てきます。そこから発注を止めるだけで、置き場と資金に余裕ができます。

Q. 誰が記録を取りますか。 A. 出庫や補充をする人です。新しい作業を増やさないことが条件です。既にやっている作業に、数字を1つ足す形にしてください。