倉庫の教育|新しい人が1人で動けるまでの順番
目次
新しい人が入ったが、教える人が忙しくて、見て覚えてもらうしかない。そのまま3か月が過ぎ、間違いが出るたびに直します。教える順番を決めておくと、同じ時間で身につく量が変わります。安全に関わる教育は、記録も求められます。
この記事では、倉庫の教育を、順番の決め方、最初の1日、1週間で覚えること、記録の残し方、続ける工夫の順に整理します。法令で求められる教育の範囲は、作業の内容で変わります。社内の安全の担当と、所轄の労働基準監督署に確認してください。
結論:安全が先、作業はそのあと
教える順番は、安全が先です。
理由は3つです。
1つ目は、けがが取り返しがつかないからです。作業の間違いは直せます。
2つ目は、最初に伝えたことが残るからです。
3つ目は、法令で求められる教育があるからです。雇い入れのときの教育。
3つ目は、記録が求められます。雇い入れのときや、作業の内容が変わったときの教育について、何を伝えたかを記録に残す必要があります。詳しくは所轄の労働基準監督署に確かめてください。
最初の1日に伝えること
初日は、多くを詰め込まないことです。
伝えるのは5つです。
1つ目は、危ない場所です。フォークリフトの通る場所、高いところ、段差。
2つ目は、けがをしたときの連絡先です。
3つ目は、非常口と避難の経路です。
4つ目は、トイレと休憩の場所です。
5つ目は、分からないときに聞く相手です。
5つ目がいちばん効きます。「分からないことは、この人に聞いてください」と名前で伝えるだけで、新しい人が動けるようになります。誰に聞けばよいか分からないと、自分で判断して間違えます。
1週間で覚えること
1週間で、1つの作業を1人でできるところまでを目指します。
進め方は4段です。
1つ目は、見せることです。やって見せます。
2つ目は、一緒にやることです。横で見ながら。
3つ目は、1人でやってもらうことです。近くで見ています。
4つ目は、確かめることです。できているかを見ます。
3つ目を早めにやってください。見ているだけでは覚えません。間違えてもよい場面で、1人でやってもらう。そこで出た間違いが、いちばん身につきます。
作業の順番を決める
覚えてもらう作業には、順番があります。
順番は4段です。
1つ目は、危なくない作業からです。梱包、仕分け、表示。
2つ目は、覚えることの少ない作業です。
3つ目は、失敗しても戻せる作業です。
4つ目は、資格や教育が要る作業は最後です。フォークリフト、高所。
4つ目を飛ばさないでください。人手が足りないからと、資格の無い人にフォークリフトを運転させることはできません。必要な資格と教育は、作業の内容で定められています。所轄の労働基準監督署に確かめてください。
教える人を決める
教える人が毎回違うと、教わる側が混乱します。
決めるのは4つです。
1つ目は、主に教える人です。1人。
2つ目は、その人が不在のときの代わりです。
3つ目は、教える時間です。忙しい時間帯を避けます。
4つ目は、教える人の負担への配慮です。
4つ目を忘れないでください。教える人は、自分の作業をやりながら教えています。その分だけ作業が遅れます。教える期間は、その人の担当を減らす形にしないと、どちらも中途半端になります。
1枚の手順書を作る
口で教えるだけだと、残りません。
作るのは4つです。
1つ目は、作業ごとに1枚にすることです。
2つ目は、写真を入れることです。言葉より速く伝わります。
3つ目は、間違えやすいところを書くことです。
4つ目は、現場に置くことです。
3つ目を入れてください。「ここを間違える人が多い」という一言があると、教わる側が注意します。教える人が毎回言っていることを、1行書いておくだけです。
記録の残し方
教育の記録は、あとから示せる形にします。
書くのは5つです。
1つ目は、日付です。
2つ目は、受けた人です。
3つ目は、教えた人です。
4つ目は、内容です。何を伝えたか。
5つ目は、時間です。
4つ目を具体で書いてください。「安全教育」ではなく、「フォークリフトの通行区分、非常口の位置、けがの連絡先」と書きます。何を伝えたかが分からない記録は、示す材料になりません。
続けて教える
最初の教育で終わりにしない形にします。
やることは4つです。
1つ目は、1か月後に困っていることを聞くことです。
2つ目は、作業を増やす時期を決めることです。
3つ目は、資格を取る計画を立てることです。
4つ目は、全員への教育の機会に混ぜることです。
1つ目を必ずやってください。1か月たつと、最初は聞けなかったことが溜まっています。15分でよいので、時間を取って聞いてください。ここで出てくる質問は、次の人への教育の材料にもなります。
全員への教育も回す
新しい人だけでなく、全員への教育も要ります。
やるのは4つです。
1つ目は、作業が変わったときです。新しい機械、新しい手順。
2つ目は、事故やヒヤリがあったときです。
3つ目は、法令や制度が変わったときです。
4つ目は、定期の教育です。
2つ目がいちばん伝わります。実際に起きたことは、自分に関わる話として聞かれます。起きたことを責める形ではなく、「同じことが起きないように」という形で共有してください。記録も残します。
教える内容を1枚にする
教育の内容は、紙にしておくと誰でも教えられます。
作るのは4つです。
1つ目は、初日に伝える5つです。
2つ目は、1週間で覚えることの一覧です。
3つ目は、1か月で覚えることの一覧です。
4つ目は、確かめる項目です。できるようになったかの印を付ける欄。
4つ目の印がいちばん効きます。「この作業はできる」という印が本人にも教える人にも見えると、次に何を教えるかが分かります。抜けも防げます。1枚の紙に印を付けていくだけです。
教わる側の負担も見る
新しい人は、覚えることが多くて疲れます。
見るのは4つです。
1つ目は、1日に教える量です。多すぎないか。
2つ目は、体力です。倉庫の作業は体を使います。
3つ目は、人間関係です。聞ける相手がいるか。
4つ目は、辞めそうな兆しです。
1つ目を抑えてください。初日に全部を伝えようとすると、何も残りません。5つに絞って、翌日にまた5つ。この積み重ねのほうが身につきます。焦らせないことが、結果として早く戦力になります。
教える人を育てる
教える人が1人だけだと、その人が辞めると教育が止まります。
やることは4つです。
1つ目は、教える人を2人以上にすることです。
2つ目は、教わった人が次の人に教える形にすることです。
3つ目は、教え方をそろえることです。手順書を使います。
4つ目は、教えることを評価に入れることです。
2つ目が効きます。教わってから半年ほどの人は、どこでつまずくかを覚えています。ベテランが忘れていることを、その人は説明できます。教えることで、自分の理解も深まります。
教育の記録を年間でまとめる
教育の記録は、年に1回まとめて見ます。
見るのは4つです。
1つ目は、誰が何の教育を受けたかです。一覧にします。
2つ目は、受けていない人がいないかです。
3つ目は、資格の期限が近い人です。
4つ目は、次の年に受けてもらう教育です。
2つ目がいちばん大事です。中途で入った人や、作業が変わった人が抜けやすくあります。一覧にして空欄を探すだけで見つかります。年に1回、30分で終わります。
教育と手順書をつなげる
教育の内容と、現場の手順書がずれていることがあります。
そろえるのは4つです。
1つ目は、教える内容を手順書から取ることです。
2つ目は、手順書が古くなっていないかを見ることです。
3つ目は、教えながら気づいた点を手順書に反映することです。
4つ目は、更新の担当を決めることです。
3つ目が手順書を育てます。新しい人に教えていると、「ここが分かりにくい」という場所が見つかります。ベテランには見えない部分です。教育のたびに1か所直すだけで、手順書の質が上がります。
まとめ
倉庫の教育は、安全が先、作業はそのあとです。
- 初日に伝えるのは5つ。とくに「分からないときに聞く相手」を名前で
- 1週間で、見せる・一緒にやる・1人でやる・確かめるの4段を回す
- 覚える作業の順番は、危なくないものから。資格が要るものは最後
- 教える期間は、教える人の担当を減らす
- 記録には、何を伝えたかを具体で書く
法令で求められる教育の範囲は、作業の内容で変わります。社内の安全の担当と、所轄の労働基準監督署に確認してください。
よくある質問
Q. 初日に何を伝えますか。 A. 危ない場所、けがの連絡先、非常口、休憩の場所、分からないときに聞く相手の5つです。多くを詰め込まないでください。5つ目を名前で伝えるのがいちばん効きます。
Q. 見て覚えてもらうだけでは、だめですか。 A. 覚えません。間違えてもよい場面で、早めに1人でやってもらってください。そこで出た間違いが、いちばん身につきます。見ているだけの時間を長くしないことです。
Q. 教える人が忙しくて時間が取れません。 A. 教える期間は、その人の担当を減らしてください。自分の作業をやりながら教えると、どちらも中途半端になります。教えることも仕事として時間を割り当てます。
Q. フォークリフトはいつから運転させますか。 A. 必要な資格と教育を受けてからです。人手が足りなくても、資格の無い人には運転させられません。要件は所轄の労働基準監督署に確かめてください。
Q. 手順書は必要ですか。 A. 作業ごとに1枚あると、口で教える回数が減ります。写真を入れて、間違えやすいところを書いてください。教える人が毎回言っていることを、1行書くだけです。
Q. 記録には何を書きますか。 A. 日付、受けた人、教えた人、内容、時間です。内容を具体で書いてください。「安全教育」ではなく、何を伝えたかが分かる形にします。
Q. 雇い入れのときの教育には、決まりがありますか。 A. 法令で求められる項目があります。作業の内容によって変わります。社内の安全の担当と、所轄の労働基準監督署に確かめてください。記録も残します。
Q. 1か月後に何を聞きますか。 A. 困っていることです。最初は聞けなかったことが溜まっています。15分でよいので時間を取ってください。出てくる質問は、次の人への教育の材料にもなります。
Q. 全員への教育は、いつやりますか。 A. 作業が変わったとき、事故やヒヤリがあったとき、制度が変わったとき、定期のときです。実際に起きたことがいちばん伝わります。責める形にせず、共有してください。
Q. 教える内容が人によって違います。 A. 手順書を作って、それに沿って教える形にしてください。教える人が替わっても、同じことが伝わります。初日に伝える5つも、紙にしておくと抜けません。
Q. 外国語を話す人が入りました。 A. 写真と図を中心にした手順書が効きます。危ない場所の表示も、文字だけでなく色と記号で示してください。必要な言語での資料を用意している会社もあります。
Q. 教育の効果は、どう測りますか。 A. 1人でできる作業の数と、間違いの件数です。1か月後、3か月後に見てください。間違いが減らないなら、教え方か手順書に問題があります。
Q. 教える内容を紙にする意味はありますか。 A. あります。誰でも教えられるようになり、抜けも防げます。初日、1週間、1か月の一覧と、できるようになった印を付ける欄。1枚で足ります。
Q. 新しい人がすぐ辞めてしまいます。 A. 1日に教える量が多すぎないか、聞ける相手がいるかを見てください。初日に全部を伝えようとすると、何も残りません。5つに絞って積み重ねるほうが身につきます。
Q. 教える人が1人しかいません。 A. 教わった人が次の人に教える形にしてください。半年ほどの人は、どこでつまずくかを覚えています。ベテランが忘れていることを説明できます。教えることで自分の理解も深まります。
Q. 教えることを評価に入れますか。 A. 入れると続きます。教えることは時間のかかる仕事です。自分の作業量だけで評価されると、教える人が損をする形になります。
Q. 教育の記録は年に1回何を見ますか。 A. 誰が何を受けたかの一覧、受けていない人、資格の期限、次の年の計画です。中途で入った人や作業が変わった人が抜けやすくあります。空欄を探すだけで見つかります。
Q. 手順書が古くなっています。 A. 教えながら気づいた点を反映してください。新しい人に教えていると、分かりにくい場所が見つかります。ベテランには見えない部分です。教育のたびに1か所直すだけで質が上がります。
Q. 教育に時間をかける余裕がありません。 A. 初日の30分と、1週間の各日15分で足ります。間違いを直す時間と比べてください。教えなかったことで出る手戻りのほうが、長くかかります。
Q. 教育の記録は何年残しますか。 A. 法令で保存が求められる教育があります。所轄の労働基準監督署に確かめてください。それ以外も、在籍しているあいだは残すと、資格や受講の状況が分かります。
Q. 派遣や短期の人にも教育しますか。 A. します。作業に就く人には、その作業に必要な教育が要ります。期間の長短ではありません。範囲は社内の安全の担当と、所轄の労働基準監督署に確かめてください。