倉庫の高所作業|脚立とラックの上で起きること
目次
上の棚から荷物を取るために、脚立に乗る。フォークリフトのパレットに乗る。日常の作業に紛れているので、高所作業という意識がありません。倉庫の墜落の事故は、特別な作業ではなく普段の作業で起きています。
この記事では、倉庫の高所作業を、起きている場面、やってはいけない形、道具の選び方、保護具の使い方、手順の作り方の順に整理します。適用される法令上の措置は、作業の高さと内容で変わります。社内の安全の担当と、所轄の労働基準監督署に確認してください。
結論:特別な作業ではなく、普段の作業で起きる
倉庫の墜落は、高所作業をしているつもりが無いときに起きます。
起きる場面は3つです。
1つ目は、脚立です。上の棚から荷物を取る、表示を貼る、照明を替える。
2つ目は、ラックの上です。手が届かないので、棚に足を掛けて登ります。
3つ目は、フォークリフトです。パレットやツメの上に人が乗ります。
3つ目は、やってはいけない形です。フォークリフトは荷物を上げる機械で、人を上げる機械ではありません。それでも、届かないときの手段として使われています。
やってはいけない形
まず、やらないと決めることを並べます。
やめるのは4つです。
1つ目は、フォークリフトのツメやパレットに人が乗ることです。
2つ目は、ラックに足を掛けて登ることです。
3つ目は、脚立の天板に立つことです。
4つ目は、1人で高所作業をすることです。
2つ目が黙認されている現場が多くあります。「ちょっと上を見るだけ」で棚に足を掛ける。棚板は人が乗る前提で作られていません。外れたり、たわんだりします。
道具の選び方
高いところの物を取るには、適した道具があります。
選ぶのは4つです。
1つ目は、脚立です。低いところ向け。
2つ目は、作業台です。上に平らな面があり、手すりが付く物もあります。
3つ目は、高所作業車です。高いところ向け。
4つ目は、人が乗れる仕様のフォークリフトの装置です。専用の設備と条件があります。
2つ目が倉庫では使いやすい道具です。脚立より安定していて、両手が使えます。荷物を持って降りる場面が多い倉庫では、脚立より事故が減ります。
脚立の使い方
脚立は、いちばん身近で、いちばん事故が多い道具です。
守るのは4つです。
1つ目は、天板に立たないことです。
2つ目は、開き止めを掛けることです。
3つ目は、平らな場所に置くことです。
4つ目は、体を正面に向けることです。横向きで作業すると倒れます。
4つ目が見落とされます。脚立の横から手を伸ばすと、重心が外れて倒れます。正面を向いて、手が届かないなら脚立を動かす。動かす手間を惜しまないでください。
保護具の使い方
一定の高さの作業では、墜落を防ぐ保護具が求められます。
押さえるのは4つです。
1つ目は、どの高さから要るかです。法令で定められています。
2つ目は、種類です。フルハーネス型と胴ベルト型で、使える条件が違います。
3つ目は、掛ける場所です。掛ける先が無ければ使えません。
4つ目は、点検です。ベルトの傷、金具の変形。
3つ目が倉庫では問題になります。脚立や作業台では、掛ける場所がありません。保護具を使う前提の作業なら、掛けられる設備があるかを先に確かめてください。必要な措置は、作業の高さと内容で変わるので、所轄の労働基準監督署に確かめます。
資格と教育
高所の作業には、教育が求められるものがあります。
確かめるのは4つです。
1つ目は、フルハーネス型を使う作業の特別教育です。
2つ目は、高所作業車の運転の資格です。
3つ目は、作業指揮者を置く必要があるかです。
4つ目は、社内での教育の記録です。
1つ目と2つ目は、必要な場合が定められています。自分の作業が該当するかは、社内の安全の担当と所轄の労働基準監督署に確かめてください。該当するのに受けていないと、指摘の対象になります。
手順を作る
高所作業は、その場の判断でやらない形にします。
決めるのは4つです。
1つ目は、どの作業が高所作業にあたるかです。
2つ目は、使う道具です。作業ごとに指定します。
3つ目は、1人でやらないことです。下で見る人を置きます。
4つ目は、始める前の確認です。道具の状態、周りの状況。
3つ目を必ず入れてください。下で見る人がいれば、倒れかけたときに支えられ、落ちたときに助けを呼べます。1人での作業を認めている限り、事故が起きたときに発見が遅れます。
そもそも高いところに置かない
いちばん確実な対策は、高いところに置かないことです。
考えるのは4つです。
1つ目は、よく出る物を下の段に置くことです。
2つ目は、重い物を下に置くことです。
3つ目は、上の段を長期の保管に使うことです。
4つ目は、上の段の出し入れをフォークリフトだけにすることです。
1つ目と4つ目の組み合わせが効きます。人が登る理由は、よく出る物が上にあるからです。配置を見直して、手で取る物を下の段に集めれば、登る機会そのものが消えます。
記録に残すこと
高所作業の記録は、やったことと点検の両方を残します。
書くのは4つです。
1つ目は、作業の日と内容です。
2つ目は、使った道具です。
3つ目は、作業した人と見ていた人です。
4つ目は、保護具の点検の記録です。
4つ目は別に管理してください。保護具は、傷や金具の変形で性能が落ちます。使う前の確認と、定期的な点検の記録を残します。使用の期限が定められている製品もあるので、メーカーに確かめてください。
脚立の点検も入れる
脚立は、傷んでも使い続けられてしまう道具です。
見るのは4つです。
1つ目は、開き止めです。壊れていないか、掛かるか。
2つ目は、脚のゴムです。すり減っていると滑ります。
3つ目は、天板と踏み板です。曲がり、割れ、滑り止めの摩耗。
4つ目は、ぐらつきです。開いて置いて、揺すってみます。
2つ目が見落とされます。ゴムがすり減った脚立は、床が滑りやすい場所で横に動きます。倉庫の床は水や油で滑ることがあるので、ゴムの状態は特に見てください。傷んだ脚立は、直すより替えます。
事故が起きたときに分かること
墜落の事故が起きたあと、調べられることがあります。
問われるのは4つです。
1つ目は、作業の手順が決まっていたかです。
2つ目は、適した道具を使っていたかです。
3つ目は、必要な措置を取っていたかです。保護具、手すり、下で見る人。
4つ目は、教育を行っていたかです。
1つ目と4つ目は、記録が無いと示せません。やっていても、書いていなければやっていないことになります。高所作業の手順書と、教育の記録を残してください。詳しくは所轄の労働基準監督署に確かめます。
作業台を入れる判断
脚立から作業台に替えると、事故が減ります。判断の材料を並べます。
見るのは4つです。
1つ目は、作業の頻度です。毎日やるなら替える価値があります。
2つ目は、必要な高さです。
3つ目は、通路の幅です。大きい作業台は通れないことがあります。
4つ目は、置き場所です。使わないときにどこへ置くか。
3つ目と4つ目で選べなくなることがあります。通路が狭い倉庫では、大きい作業台は使えません。折りたためる物、小型の物を探すか、そもそも登らない配置に変えるほうが現実的です。
教育で伝える3つ
高所作業の教育は、3つに絞ると伝わります。
伝えるのは3つです。
1つ目は、やってはいけない形です。フォークリフトに乗る、ラックに登る、脚立の天板に立つ。
2つ目は、使う道具です。この作業にはこれを使う、と具体で。
3つ目は、1人でやらないことです。
1つ目を写真で見せてください。言葉だけだと、自分がやっていることだと気づきません。実際の現場の写真に「これはだめ」と書くと、自分のことだと分かります。責める形にしないことが条件です。
まとめ
倉庫の高所作業は、普段の作業に紛れています。
- 起きるのは、脚立・ラックの上・フォークリフトの3つの場面
- フォークリフトのツメやパレットに人を乗せない
- 脚立は、天板に立たない、開き止めを掛ける、正面を向く
- 保護具は、掛ける場所が無ければ使えない
- いちばん確実なのは、よく出る物を下の段に置いて、登る機会をなくすこと
適用される法令上の措置は、作業の高さと内容で変わります。社内の安全の担当と、所轄の労働基準監督署に確認してください。
よくある質問
Q. フォークリフトのパレットに乗ってはいけませんか。 A. フォークリフトは荷物を上げる機械で、人を上げる機械ではありません。人を乗せる専用の装置には、設備と条件の定めがあります。社内の安全の担当に確かめてください。
Q. ラックに足を掛けて登るのはだめですか。 A. だめです。棚板は人が乗る前提で作られていません。外れたり、たわんだりします。「ちょっと上を見るだけ」でも、登らない形にしてください。
Q. 脚立でいちばん多い事故は。 A. 横向きで作業して倒れる形です。正面を向いて、手が届かないなら脚立を動かしてください。動かす手間を惜しまないことです。天板に立つのも事故のもとです。
Q. 作業台と脚立は、どちらがよいですか。 A. 倉庫では作業台のほうが使いやすいことが多くあります。上が平らで安定していて、両手が使えます。荷物を持って降りる場面が多い倉庫では、事故が減ります。
Q. 保護具はどの高さから要りますか。 A. 法令で定められています。作業の高さと内容で変わるので、社内の安全の担当と所轄の労働基準監督署に確かめてください。種類によって使える条件も違います。
Q. 保護具を掛ける場所がありません。 A. 掛ける場所が無ければ使えません。保護具を使う前提の作業なら、掛けられる設備があるかを先に確かめてください。無いなら、作業のやり方そのものを変えます。
Q. 特別教育は必要ですか。 A. 必要な場合が定められています。自分の作業が該当するかを、社内の安全の担当と所轄の労働基準監督署に確かめてください。該当するのに受けていないと指摘されます。
Q. 1人で作業してはいけませんか。 A. 下で見る人を置いてください。倒れかけたときに支えられ、落ちたときに助けを呼べます。1人での作業を認めていると、事故の発見が遅れます。
Q. 登る回数を減らすには。 A. よく出る物を下の段に置いてください。人が登る理由は、よく出る物が上にあるからです。配置を見直すと、登る機会そのものが消えます。
Q. 上の段はどう使いますか。 A. 長期の保管に使い、出し入れはフォークリフトだけにする形が安全です。人が手で取る物を上に置かないと決めるだけで、高所作業が大きく減ります。
Q. 保護具の点検はどうしますか。 A. 使う前の確認と、定期的な点検です。ベルトの傷、金具の変形を見ます。使用の期限が定められている製品もあるので、メーカーに確かめてください。
Q. 照明の交換など、たまにしかない作業は。 A. たまにしかないからこそ、手順を決めておいてください。慣れていない作業のほうが事故が起きます。道具、人数、時間帯を決めて、その場の判断でやらない形にします。
Q. 脚立の点検で、どこを見ますか。 A. 開き止め、脚のゴム、踏み板、ぐらつきの4つです。ゴムがすり減っていると、滑る床で横に動きます。倉庫の床は水や油で滑ることがあるので、特に見てください。
Q. 傷んだ脚立は直せますか。 A. 直すより替えてください。曲がりや割れは、見た目が戻っても強度が戻りません。開き止めが壊れた脚立は、使わない形にしてください。
Q. 作業台を入れたいのですが、通路が狭くて通りません。 A. 折りたためる物や小型の物を探すか、そもそも登らない配置に変えてください。よく出る物を下の段に集めれば、登る機会そのものが減ります。
Q. 高所作業の手順書は、どのくらいの分量ですか。 A. A4で1枚です。どの作業が対象か、使う道具、1人でやらないこと、始める前の確認。長くすると読まれません。現場に貼れる形にしてください。
Q. 教育では何を伝えますか。 A. やってはいけない形、使う道具、1人でやらないことの3つです。写真で見せると伝わります。言葉だけだと、自分がやっていることだと気づきません。