テールゲートリフターの特別教育|4時間と2時間
目次
トラックの後ろに付いている昇降板。あれを操作するだけで、特別教育が要ります。令和6年2月1日からです。
しかも「教育をやりました」で終わりません。受講者と科目の記録を作って3年保存するところまでが義務です。
結論:学科4時間、実技2時間
厚生労働省のリーフレットは、こう示しています。
テールゲートリフターの操作者に対し、学科教育4時間、実技教育2時間の安全衛生に係る特別の教育を行うことが必要になります。
学科は3科目
テールゲートリフターに関する知識(種類、構造及び取扱い方法/点検及び整備の方法)が1.5時間。
テールゲートリフターによる作業に関する知識(荷の種類及び取扱い方法/台車の種類、構造及び取扱い方法/保護具の着用/災害防止)が2時間。
関係法令(労働安全衛生法令中の関係条項)が0.5時間。
合わせて4時間です。3科目とも時間が決まっているので、まとめて短くすることはできません。
実技は操作の方法で2時間
実技教育は「テールゲートリフターの操作の方法」で2時間です。実際の装置を使って動かす時間になります。
学科だけで済ませる形にはなりません。車を止められる場所と、動かしてよい装置が要ります。
対象になる「操作」の範囲が広い
リーフレットの注記です。「テールゲートリフターの操作」には、稼働スイッチの操作のほか、キャスターストッパー等を操作すること、昇降板の展開や格納の操作を行うこと等が含まれます。
スイッチを押す人だけではありません。板を出す、しまう、ストッパーを動かす。これらも操作に入ります。
現場では「運転者がやるもの」と思われがちですが、荷受け側が手伝う動作もここに入ります。
記録は3年
「特別教育を行ったときは、事業者において受講者、科目等の記録を作成し、3年間保存する必要があります」。
やった証拠が残っていないと、やっていないのと同じ扱いになります。教育の記録は倉庫の教育にまとめています。
根拠の条文
義務の出どころは労働安全衛生規則36条です。
安衛則36条は特別教育を要する業務を並べており、その5号の4がこれです。
テールゲートリフター(第百五十一条の二第七号の貨物自動車の荷台の後部に設置された動力により駆動されるリフトをいう。以下同じ。)の操作の業務(当該貨物自動車に荷を積む作業又は当該貨物自動車から荷を卸す作業を伴うものに限る。)
「荷を積む・卸す作業を伴うもの」に限られる
かっこ書きが範囲を絞っています。積み卸しを伴わない操作は、この号から外れます。
とはいえ、倉庫でテールゲートリフターを動かす場面は、ほぼ積み卸しです。実務上はほぼ全部が対象と考えるほうが安全です。
「うちは積み卸しを伴わないから外れる」と判断するなら、その根拠を書いておきます。
商品名では決まらない
リーフレットは「メーカー固有の商品名にかかわらず、労働安全衛生規則においては、貨物自動車の荷台の後部に設置された動力により駆動されるリフトが規制の対象になります」としています。
呼び名はいくつもありますが、条文の定義に当てはまれば対象です。「うちのはパワーゲートだから違う」という形にはなりません。
種類は4つ挙げられている
リーフレットが挙げているのはアーム式、垂直式、後部格納式、床下格納式です。
種類によって注意点が違います。床下格納式は、折り畳み部周辺のサイドストッパーに隙間が生じるので、隙間から車輪が脱輪しないよう注意するとされています。
省略できる人がいる
全員が6時間受けるわけではありません。3つのパターンが示されています。
施行日時点で6か月以上やっていた人
施行の日時点において6月以上の業務従事歴を有する者は、こうできます。
テールゲートリフターに関する知識は45分以上で可。作業に関する知識は省略不可。関係法令は省略不可。操作の方法は1時間以上で可。
学科1.5時間が45分に、実技2時間が1時間に縮みます。合わせて6時間が、3時間45分になります。
施行の日(令和6年2月1日)時点で判断するので、あとから入った人には使えません。
ガイドラインの教育を受けた人
「陸上貨物運送事業における荷役作業の安全対策ガイドライン」に基づく教育を実施した者は、テールゲートリフターに関する知識が省略可、作業に関する知識も省略可、関係法令は省略不可、操作の方法は省略不可です。
安全講習会を受けた人
陸上貨物運送事業労働災害防止協会による「ロールボックスパレット及びテールゲートリフター等による荷役作業安全講習会」を受講した者は、知識は省略不可、作業に関する知識が省略可、関係法令は省略不可、操作の方法は省略不可です。
どのパターンでも関係法令は残る
3つとも関係法令(0.5時間)だけは省略できません。
法令の部分は、誰であっても受けることになります。0.5時間なので短いですが、ここだけの講習を探すより、まとめて受けるほうが早いことが多くなります。
同時に変わった2つ
特別教育と同じ改正で、別の義務も広がっています。
昇降設備は2トン以上に拡大
安衛則151条の67関係です。荷を積み卸す作業を行うときの昇降設備の設置義務が、最大積載量5トン以上に加えて、2トン以上5トン未満にも広がりました(令和5年10月1日施行)。
「昇降設備」には踏み台等の可搬式のもののほか、貨物自動車に設置されている昇降用のステップ等が含まれます。
リーフレットは、ステップについてできるだけ乗降グリップ等による三点支持等により安全に昇降できる形式のものとするよう求めています。上から見てステップが見えないような突出していないものは、墜落・転落のリスクが高いとされています。
保護帽も2トン以上に拡大
安衛則151条の74関係です。5トン以上に加えて、次のものが追加されました。
最大積載量が2トン以上5トン未満の貨物自動車であって、荷台の側面が構造上開放されているもの又は構造上開閉できるもの(平ボディ車、ウイング車等)。最大積載量が2トン以上5トン未満の貨物自動車であって、テールゲートリフターが設置されているもの。
保護帽は型式検定に合格した「墜落時保護用」のものを使う必要があります。保護具は保護具の管理にまとめています。
運転位置を離れるときの扱いが変わった
走行のための運転位置とテールゲートリフター等の操作位置が異なる貨物自動車で、テールゲートリフター等を操作し、または操作しようとしている場合は、原動機の停止義務の適用が除外されます。
ただし「ブレーキを確実にかける等の貨物自動車の逸走防止措置については、引き続き義務付けられる」とされています。エンジンを切らなくてよくなっただけで、逸走を止める措置は残ります。リーフレットも「逸走防止の観点から、可能な範囲で原動機も停止するようにしてください」としています。
作業開始前の点検
教育とは別に、点検の義務もあります。
リーフレットは「テールゲートリフターについては、安衛則第151条の75に基づき作業開始前に点検を行ってください」としています。
点検項目の例
挙げられているのは4つです。正常に動作するか、異音がないか。部材に亀裂、損傷、変形等がないか。油圧系統に接手のゆるみや油漏れ等がないか。スイッチは正常に動作するか、電気系統に異常はないか。
作業開始前なので毎日
「作業開始前」です。月に1回ではありません。使う日は毎回見ることになります。
4項目なら1分で終わります。紙に欄を作っておけば、記録も同時に残ります。
油圧の漏れは早く出る
4つのうち、油圧系統は動かさなくても漏れます。車の下にシミがないかを見るだけでも、気づける形になります。
昇降板をステップに使うとき
リーフレットは「テールゲートリフターを昇降設備として使用する場合は、中間位置で停止させてステップとして使用してください」とし、「原則として、テールゲートリフターの昇降時には、労働者を搭乗させてはいけません」としています。
乗ったまま上下させない。ここが事故の多い形です。楽だからと続けているうちに、荷物と一緒に落ちます。
倉庫側でやること
トラックの装置ですが、荷を受ける倉庫の側も関わります。
自社の人が操作するかを決める
配送業者の運転者だけが操作するのか、倉庫の作業者も触るのか。触るなら、その人にも特別教育が要ります。
「手伝いでスイッチを押しただけ」も操作に入ります。触らせない運用にするか、教育を受けさせるかの二択になります。
受講の記録をどこに置くか
3年保存です。個人ごとのファイルに入れるか、教育の記録としてまとめるかを決めます。
決めていないと、監督署に聞かれたときに出てきません。3年たったら落とす形も、あわせて決めておきます。
ロールボックスパレットの不具合
リーフレットは「ロールボックスパレットの不具合を確認した場合は、速やかに所有者又は荷主に報告し、対応を協議してください」としています。
自社の持ち物でないことが多いので、直すのではなく報告する形になります。勝手に直すと、次に壊れたときの責任があいまいになります。
U字型は置き方に注意
「短辺側をストッパーに当てると斜め配置になり、転倒や荷崩れにつながるおそれがありますので、逸走防止措置を確実に講じてください」とされています。
荷崩れは荷崩れの防止にまとめています。
まとめ
テールゲートリフターの操作は、労働安全衛生規則36条5号の4により特別教育が必要な業務です。対象は「貨物自動車の荷台の後部に設置された動力により駆動されるリフト」の操作で、荷を積む作業又は荷を卸す作業を伴うものに限られます。令和6年2月1日から義務化されました。
教育は学科4時間、実技2時間です。学科はテールゲートリフターに関する知識1.5時間、作業に関する知識2時間、関係法令0.5時間。実技は操作の方法2時間です。
「操作」には稼働スイッチの操作のほか、キャスターストッパー等の操作、昇降板の展開や格納の操作が含まれます。スイッチを押す人だけではありません。
特別教育を行ったときは、受講者、科目等の記録を作成し、3年間保存します。
省略できるのは3パターンです。施行日時点で6月以上の業務従事歴がある者(知識45分以上・実技1時間以上に短縮)、荷役作業の安全対策ガイドラインに基づく教育を受けた者(知識2科目が省略可)、陸上貨物運送事業労働災害防止協会の安全講習会を受講した者(作業に関する知識が省略可)。どれも関係法令0.5時間は省略できません。
同じ改正で、昇降設備(151条の67関係)と保護帽(151条の74関係)の義務が、5トン以上に加えて2トン以上5トン未満にも広がりました(令和5年10月1日施行)。保護帽は型式検定に合格した「墜落時保護用」が必要です。
作業開始前の点検は安衛則151条の75にもとづきます。動作と異音、部材の亀裂・損傷・変形、油圧系統のゆるみや油漏れ、スイッチと電気系統の4つが例として挙げられています。
まず手を付けるなら、自社の誰がテールゲートリフターに触っているかを書き出すところからです。触る人が決まれば、受講が要る人数が出ます。
なお、省略の可否や個別の当てはめは、最寄りの労働基準監督署にご確認ください。
この改正がおもしろいのは、「操作」の定義を広く取ったところです。スイッチだけでなく、板を出す、しまう、ストッパーを動かす。現場では「ちょっと手伝った」で済んでいた動作が、全部そこに入りました。
だから、教育が要る人数を数えるときにつまずきます。運転者だけだと思っていたら、荷受けのパートが板を戻していた、というような話です。まず誰が触っているかを見に行く。そこからしか始まりません。
よくある質問
テールゲートリフターの特別教育はいつから義務ですか。
令和6年2月1日からです。昇降設備と保護帽の規定は令和5年10月1日からです。
何時間かかりますか。
学科教育4時間、実技教育2時間です。
学科の内訳は。
テールゲートリフターに関する知識1.5時間、テールゲートリフターによる作業に関する知識2時間、関係法令0.5時間です。
どこまでが「操作」ですか。
稼働スイッチの操作のほか、キャスターストッパー等を操作すること、昇降板の展開や格納の操作を行うこと等が含まれます。
記録は何年残しますか。
3年間です。受講者、科目等の記録を作成して保存します。
省略できる人はいますか。
3パターンあります。施行日時点で6月以上の業務従事歴がある者、荷役作業の安全対策ガイドラインに基づく教育を受けた者、陸上貨物運送事業労働災害防止協会の安全講習会を受講した者です。いずれも関係法令は省略できません。
保護帽はどのトラックで要りますか。
最大積載量5トン以上に加え、2トン以上5トン未満で荷台の側面が構造上開放されているものまたは開閉できるもの、およびテールゲートリフターが設置されているものです。
どんな保護帽ですか。
型式検定に合格した「墜落時保護用」のものを使用する必要があります。
点検はいつしますか。
安衛則151条の75にもとづき、作業開始前に行います。動作と異音、部材の亀裂・損傷・変形、油圧系統のゆるみや油漏れ、スイッチと電気系統が点検項目の例として挙げられています。
昇降板に乗って上下してよいですか。
原則として、テールゲートリフターの昇降時には労働者を搭乗させてはいけないとされています。昇降設備として使う場合は、中間位置で停止させてステップとして使用します。