倉庫の火災対策|燃えやすい物と消火設備
目次
倉庫の火災は、積み上がった荷物が燃料になるという点で、他の建物と違います。高く積まれた段ボールに火が入ると、上へ向かって一気に広がります。スプリンクラーが付いていても、積み方によっては水が届きません。
この記事では、倉庫の火災対策を、燃えやすい条件、出火の原因、消火設備の効き方、日常でできること、避難と訓練の順に整理します。設備の設置基準や届出は、建物の用途と規模、扱う品目で変わります。所轄の消防署に確認してください。
結論:高く積まれた荷物が、そのまま燃料になる
倉庫が燃えやすいのは、建物ではなく中身が理由です。
条件は3つです。
1つ目は、可燃物の量です。段ボール、木製パレット、樹脂の梱包材。
2つ目は、積まれている高さです。上へ向かって燃え広がります。
3つ目は、すき間です。荷物の間に空気が通ると、燃焼が進みます。
3つ目が見落とされます。びっしり詰めるより、すき間のある積み方のほうが燃えやすいことがあります。空気が入るからです。積み方は作業のしやすさで決めますが、燃え方にも関わることを知っておいてください。
出火の原因
倉庫の火災の原因は、限られています。
多いのは4つです。
1つ目は、電気です。配線の劣化、たこ足配線、充電中の機器。
2つ目は、タバコです。喫煙の場所と、吸い殻の処理。
3つ目は、フォークリフトです。バッテリーの充電、エンジンの熱、燃料。
4つ目は、放火です。外から入れる場所に可燃物があると狙われます。
1つ目と3つ目は、充電の場所が重なります。フォークリフトの充電中に周りに段ボールが積まれているという形が、実際に多くあります。充電の場所は、可燃物から離してください。
消火設備の効き方
スプリンクラーが付いていても、積み方によって効き方が変わります。
押さえるのは4つです。
1つ目は、水が届くかです。天井のスプリンクラーは、上から水を落とします。
2つ目は、荷物の高さです。高く積みすぎると、天井との距離が足りなくなります。
3つ目は、遮るものです。ラックの棚板や覆いが、水を遮ることがあります。
4つ目は、設備の種類です。倉庫の用途によって、必要な設備が変わります。
2つ目に決まりがあります。スプリンクラーのヘッドから一定の距離を空けることが求められます。積みすぎると、その距離が確保できません。具体的な数値は所轄の消防署に確かめてください。
日常でできること
設備の工事をしなくても、日常の運用でできることがあります。
やることは4つです。
1つ目は、可燃物を減らすことです。空の段ボール、廃材、使わない梱包材。
2つ目は、通路を空けることです。消火と避難の両方に効きます。
3つ目は、消火器の周りを空けることです。
4つ目は、充電の場所を整えることです。
1つ目がいちばん効きます。倉庫の隅に空の段ボールが積まれているのは、よくある光景です。処分の頻度を決めて、溜めない運用にしてください。量が減るだけで、燃え広がり方が変わります。
電気まわりの点検
電気は、いちばん多い出火の原因です。
見るのは4つです。
1つ目は、配線の状態です。傷、ねじれ、被覆の劣化。
2つ目は、たこ足配線です。1つのコンセントに集中していないか。
3つ目は、ほこりです。コンセントの周りに溜まったほこりは出火の原因になります。
4つ目は、使っていない機器の電源です。
3つ目は倉庫で起きやすい形です。普段触らないコンセントにほこりが溜まり、湿気を含んで出火します。棚の裏や機械の陰のコンセントを、定期的に見てください。
フォークリフトの充電
充電の場所は、火災の危険が集中します。
決めるのは4つです。
1つ目は、場所です。可燃物から離す。
2つ目は、換気です。バッテリーの充電では気体が出ます。
3つ目は、充電中の表示です。近づかない、物を置かない。
4つ目は、終わったあとの確認です。
2つ目を知らない現場があります。鉛のバッテリーの充電では、可燃性の気体が出ます。閉め切った狭い場所で充電すると危険です。換気の要件は、機種とバッテリーによって違うので、メーカーに確かめてください。
喫煙の場所
タバコは、場所を決めるだけで大きく減ります。
決めるのは4つです。
1つ目は、喫煙してよい場所です。1か所に絞ります。
2つ目は、灰皿と消火の方法です。水を張る、砂を入れる。
3つ目は、吸い殻の処分です。可燃ごみに直接入れない。
4つ目は、表示です。他の場所は禁煙と示します。
3つ目で火災が起きています。吸い殻を段ボールのごみ箱に入れるという形です。灰皿の中で確実に消えたことを確かめてから、専用の容器に捨てる形にしてください。
避難の経路
火災が起きたとき、逃げられるかどうかは日常の置き方で決まります。
確かめるのは4つです。
1つ目は、非常口が開くかです。普段使わない扉は、開かなくなります。
2つ目は、通路がふさがれていないかです。
3つ目は、誘導灯が点いているかです。
4つ目は、避難の経路を全員が知っているかです。
1つ目を毎月確かめてください。非常口の前に物を置く、鍵をかけたままにするという形が実際にあります。開くかどうかを、実際に開けて確かめる日を決めてください。
訓練でやること
訓練は、倉庫の条件に合わせます。
やるのは4つです。
1つ目は、通報の練習です。
2つ目は、消火器を使ってみることです。
3つ目は、避難の経路を歩くことです。
4つ目は、フォークリフトを止めて降りる練習です。
4つ目は倉庫ならではです。火災報知器が鳴ったとき、フォークリフトに乗っている人がどうするか。その場に置いて降りるのか、決められた場所へ移すのか。決めておかないと、通路をふさいだまま放置されます。
建物の側も見る
中身だけでなく、建物の側にも見るところがあります。
見るのは4つです。
1つ目は、防火のシャッターと扉です。下に物が置かれていないか。
2つ目は、防火の区画です。壁の穴、開けっ放しの扉。
3つ目は、自動火災報知設備です。感知器の周りに物を積んでいないか。
4つ目は、屋外の消火栓や連結送水管です。周りが物置になっていないか。
3つ目が倉庫で起きやすい形です。天井の感知器の近くまで荷物を積み上げると、煙や熱が届きにくくなります。感知器から一定の距離を空けることが求められるので、所轄の消防署に確かめてください。
保険と記録
火災が起きたあと、記録が保険の請求に関わります。
残すのは4つです。
1つ目は、在庫の記録です。何がいくつあったか。
2つ目は、価格の根拠です。仕入の記録。
3つ目は、預かり品の記録です。他社の物を預かっている場合。
4つ目は、記録の保管場所です。
4つ目がいちばん大事です。記録が倉庫の中にしか無いと、火災で一緒に燃えます。電子の記録を別の場所にも置く、紙なら写しを事務所や別の建物に置く。保管場所を分けることを、平常時に決めておいてください。
危険物や指定可燃物を扱う場合
扱う品目によって、別の決まりがあります。
確かめるのは4つです。
1つ目は、危険物にあたるかです。塗料、油、アルコールなど。
2つ目は、指定可燃物にあたるかです。紙、木材、樹脂などを大量に扱う場合。
3つ目は、数量の制限です。一定の量を超えると、届出や許可が要ります。
4つ目は、保管の方法です。専用の場所、容器、表示。
2つ目を知らない倉庫があります。段ボールや樹脂の梱包材を大量に保管している場合、指定可燃物として扱われることがあります。量が増えたときは、所轄の消防署に確かめてください。
訓練の記録を残す
訓練は、やったことを記録に残します。
書くのは4つです。
1つ目は、日時と参加者です。
2つ目は、想定です。どこから出火した想定か。
3つ目は、やったことです。通報、消火、避難。
4つ目は、気づいたことです。
4つ目がいちばん役に立ちます。「非常口が開かなかった」「消火器の場所を知らない人がいた」。次の訓練までに直すことが見つかります。書いていないと、翌年に同じことが起きます。
保管の高さを決める
積み上げる高さは、消火設備と作業の両方に関わります。
決めるのは4つです。
1つ目は、天井やスプリンクラーからの距離です。
2つ目は、ラックの段の高さです。
3つ目は、荷物の安定です。高く積むほど崩れやすくなります。
4つ目は、表示です。「ここまで」を線で示します。
4つ目が現場で効きます。壁や柱に「この線より上に積まない」という線を引いておくと、誰でも守れます。数字で言われても、現場では測れません。線があれば目で分かります。
まとめ
倉庫の火災対策は、中身が燃料になることを前提に考えます。
- 燃えやすいのは、可燃物の量・高さ・すき間の3つ
- 出火の原因は、電気・タバコ・フォークリフト・放火
- スプリンクラーのヘッドから一定の距離を空ける。積みすぎると効かない
- いちばん効くのは、空の段ボールなど可燃物を減らすこと
- フォークリフトを止めて降りる練習は、倉庫ならではの項目
設備の設置基準や届出は、建物の用途と規模、扱う品目で変わります。所轄の消防署に確認してください。
よくある質問
Q. スプリンクラーがあれば安心ですか。 A. 積み方によって効き方が変わります。ヘッドから一定の距離を空けることが求められます。積みすぎると水が届きません。具体的な数値は所轄の消防署に確かめてください。
Q. いちばん効く対策は何ですか。 A. 可燃物を減らすことです。空の段ボールや廃材が倉庫の隅に積まれているのは、よくある光景です。処分の頻度を決めて溜めない運用にすると、燃え広がり方が変わります。
Q. フォークリフトの充電で気をつけることは。 A. 可燃物から離すこと、換気することです。鉛のバッテリーの充電では可燃性の気体が出ます。閉め切った狭い場所での充電は危険です。要件はメーカーに確かめてください。
Q. コンセントのほこりが原因になりますか。 A. なります。普段触らないコンセントにほこりが溜まり、湿気を含んで出火します。棚の裏や機械の陰のコンセントを、定期的に見てください。
Q. 吸い殻の処分で気をつけることは。 A. 可燃ごみに直接入れないでください。段ボールのごみ箱に入れて火災になっています。灰皿の中で確実に消えたことを確かめてから、専用の容器に捨てます。
Q. 非常口はどのくらいの頻度で確かめますか。 A. 月に1回、実際に開けてください。普段使わない扉は開かなくなります。前に物を置く、鍵をかけたままにするという形も実際にあります。
Q. 訓練では何をやりますか。 A. 通報、消火器を使う、避難の経路を歩く、フォークリフトを止めて降りるの4つです。最後の1つは倉庫ならではで、決めておかないと通路をふさいだまま放置されます。
Q. すき間があるほうが燃えやすいのですか。 A. 空気が通るので、燃焼が進みやすくなります。びっしり詰めるより燃えやすいことがあります。積み方は作業のしやすさで決めますが、燃え方にも関わります。
Q. 扱う品目によって設備が変わりますか。 A. 変わります。危険物や指定可燃物にあたる品目を扱う場合、別の基準が適用されます。扱う品目について、所轄の消防署に確かめてください。
Q. 放火への備えはありますか。 A. 外から入れる場所に可燃物を置かないこと、施錠、照明です。建物の周りに段ボールや廃材を置いていると狙われます。夜間に人がいない倉庫ほど注意してください。
Q. 消火器はどこに置きますか。 A. 設置の基準があります。周りを空けておくことも大事で、荷物で隠れていると使えません。置き場所と本数は所轄の消防署に確かめてください。
Q. 倉庫の面積が増えたら、設備も変わりますか。 A. 変わることがあります。増築や用途の変更の前に、所轄の消防署に相談してください。工事が終わってから設備の追加が必要と分かると、手戻りになります。
Q. 感知器の近くまで積んでよいですか。 A. 一定の距離を空けることが求められます。近くまで積むと、煙や熱が届きにくくなります。具体的な数値は所轄の消防署に確かめてください。
Q. 記録はどこに保管しますか。 A. 倉庫の中だけに置かないでください。火災で一緒に燃えます。電子の記録を別の場所にも置くか、紙なら写しを事務所や別の建物に置いてください。
Q. 段ボールを大量に保管していますが、届出は要りますか。 A. 指定可燃物として扱われることがあります。数量によって届出や基準が変わります。量が増えたときは、所轄の消防署に確かめてください。
Q. 訓練の記録には何を書きますか。 A. 日時と参加者、想定、やったこと、気づいたことです。4つ目がいちばん役に立ちます。「非常口が開かなかった」という事実が、次の訓練までの宿題になります。
Q. 積み上げの高さは、どう守らせますか。 A. 壁や柱に線を引いてください。「この線より上に積まない」と示せば、誰でも守れます。数字で言われても現場では測れません。
Q. 消火器の使い方を知らない人がいます。 A. 訓練で実際に使ってみてください。説明を聞くだけでは、いざというときに使えません。訓練用の水消火器を借りられることがあるので、所轄の消防署に相談してください。
Q. 訓練は年に何回やりますか。 A. 建物の用途と規模によって、求められる回数が違います。所轄の消防署に確かめてください。回数を満たしたうえで、想定を変えて続けることが効きます。