仕入先台帳の作り方|1社1行でそろえる項目
目次
急ぎで発注したいが、連絡先が担当者の頭の中にしかない。その人が休んだ日に止まります。仕入先台帳は、取引のある会社の情報を1か所にまとめたものです。作るのは半日ですが、そのあと何年も効きます。
この記事では、仕入先台帳を、何のために作るか、そろえる項目、最新に保つ方法、評価に使う方法、新しい仕入先を足すときの手順の順に整理します。取引の契約や与信に関わる判断は、社内の経理や法務の担当に確かめてください。
結論:担当者の頭の中を、1枚に出す
仕入先の情報は、担当者ごとに持っていることが多くあります。
困るのは3つの場面です。
1つ目は、担当が休んだときです。急ぎの発注ができません。
2つ目は、担当が替わるときです。引き継ぎに時間がかかります。
3つ目は、比べたいときです。同じ物を扱う会社が複数あるかが分かりません。
3つ目は、気づかれにくい損です。同じ品目を2社から買っていて、片方がずっと高いことがあります。台帳が無いと、そもそも比べようがありません。
そろえる項目
台帳は、1社1行にすると使いやすくなります。
入れるのは5つの塊です。
1つ目は、会社の情報です。名称、住所、電話、担当者、代わりの連絡先。
2つ目は、取引の情報です。扱う品目、支払いの条件、締めと支払いの日。
3つ目は、納期の情報です。通常の納期、最短の納期、休業日。
4つ目は、実績です。年間の取引額、納期遅れの回数、不良の件数。
5つ目は、書類です。基本契約書、秘密保持の契約、見積書の保管場所。
3つ目の休業日が意外に効きます。年末年始や盆の休みが会社ごとに違い、知らずに発注して納期が遅れることがあります。1行書いておくだけで防げます。
連絡先は複数持つ
担当者1人の番号だけだと、その人がつかまらないと止まります。
持つのは4つです。
1つ目は、担当者の直通です。
2つ目は、代わりの担当者です。
3つ目は、会社の代表番号です。
4つ目は、緊急のときの連絡先です。夜間や休日に連絡が要る取引なら。
2つ目を聞いておいてください。「担当が休みで分かりません」と言われるのは、こちらが代わりの人を知らないからでもあります。名刺をもらうときに、代わりの方の名前も聞いておくと違います。
最新に保つ方法
台帳は、作った日から古くなります。
保つ工夫は4つです。
1つ目は、更新の時期を決めることです。年に1回。
2つ目は、気づいたときに直すことです。担当が替わった、番号が変わった。
3つ目は、直す人を決めることです。誰でも直せる形にするか、1人に集めるか。
4つ目は、直した日を書くことです。いつの情報かが分かります。
4つ目を入れてください。「この電話番号はいつのものか」が分からないと、かける前に不安になります。更新の日が2年前なら、確かめてからかけることになります。
実績を記録する
台帳に実績を足すと、評価の材料になります。
記録するのは4つです。
1つ目は、納期を守った割合です。遅れた回数を数えるだけで足ります。
2つ目は、不良の件数です。入荷検品で見つかった数。
3つ目は、対応の速さです。問い合わせへの返事。
4つ目は、価格の推移です。
1つ目と2つ目を数えるところから始めてください。「あの会社はよく遅れる」という感覚を、回数にすると話せます。改善を求めるときも、取引を見直すときも、数字があると進みます。
新しい仕入先を足すとき
新しい取引先を足すときは、決まった手順で確かめます。
確かめるのは4つです。
1つ目は、扱える品目と納期です。
2つ目は、支払いの条件です。
3つ目は、必要な書類です。契約書、登録の情報。
4つ目は、社内の承認です。誰が決めるか。
4つ目を決めておいてください。現場が良かれと思って新しい会社から買い始めることがあります。支払いの条件も契約も無いまま取引が始まると、あとで整えるのが大変になります。
台帳から発注につなげる
台帳と発注は、つながっていると速く動けます。
つなげるのは4つです。
1つ目は、品目から仕入先を引けることです。この品番はどこから買うか。
2つ目は、複数の仕入先がある品目を分かるようにすることです。
3つ目は、納期を見て選べることです。急ぐときにどこへ頼むか。
4つ目は、過去の価格が見えることです。
2つ目が効きます。急な欠品のときに、「ほかにどこから買えるか」がすぐ分かると、対応が速くなります。品番ごとに、買える会社を2社以上書いておいてください。
取引をやめるとき
取引を終えるときも、台帳に残します。
残すのは4つです。
1つ目は、終えた日です。
2つ目は、理由です。価格、品質、納期、先方の都合。
3つ目は、残っている取引です。補修部品の供給、預けている金型。
4つ目は、返す物と受け取る物です。
3つ目を確かめてください。取引をやめても、補修部品だけは続けてもらう必要があることがあります。金型や治具を預けている場合は、返してもらうか、そのまま置くかを決めます。終わった取引先の行を消さないでください。
見る人の範囲を決める
台帳には、取引の条件が入ります。見る人を決めます。
決めるのは4つです。
1つ目は、見てよい人です。購買、現場、経理。
2つ目は、価格を見せるかです。現場には品目と納期だけ、という分け方もあります。
3つ目は、置き場所です。共有のフォルダか、システムか。
4つ目は、持ち出しの扱いです。
2つ目を分けると、現場でも使えるようになります。価格が入っていると見せられませんが、連絡先と納期だけの版なら現場に置けます。1つの台帳から、2つの形を出す仕組みにしてください。
1枚から始める
台帳を最初から完璧に作ろうとすると、着手できません。
始め方は4段です。
1つ目は、4項目だけで作ることです。会社名、扱う品目、連絡先、通常の納期。
2つ目は、取引額の大きい順に並べることです。上位の20社で、取引の大半を占めることが多くあります。
3つ目は、使いながら足すことです。必要になった項目を書き足します。
4つ目は、半年後に見直すことです。使われていない欄は外します。
2つ目で作業量が決まります。取引先が100社でも、上位20社を作れば実用になります。残りは、注文が入ったときに1行ずつ足していけば、半年で埋まります。
支払いの条件をそろえて見る
台帳に支払いの条件を入れると、資金の流れが見えます。
書くのは4つです。
1つ目は、締め日です。月末か、20日か。
2つ目は、支払いの日です。翌月末、翌々月10日など。
3つ目は、支払いの方法です。振込、手形。
4つ目は、条件を変えた履歴です。
1つ目と2つ目がそろうと、月ごとの支払いが読めます。会社ごとに締めと支払いが違うと、その月にいくら出るかが分かりません。台帳で一覧にすると、経理の側でも使えるようになります。
品目から引ける形にする
台帳は会社ごとに作りますが、現場が引くのは品目からです。
作るのは4つです。
1つ目は、品番と仕入先の対応表です。この品番はどこから買うか。
2つ目は、複数の仕入先がある品目に印を付けることです。
3つ目は、通常の納期を並べることです。どこが速いか。
4つ目は、最低の発注の数量です。少量では買えない品目があります。
4つ目を書いておくと、無駄な相談が減ります。「10個だけ欲しい」と言われても、その品目の最低発注が100個なら、その場で答えられます。知らないと、聞いてから折り返すことになります。
見積もりの履歴を残す
台帳と一緒に、見積もりの履歴を持っておくと価格の話ができます。
残すのは4つです。
1つ目は、日付と品番です。
2つ目は、数量と単価です。
3つ目は、有効期限です。
4つ目は、比べた他社の金額です。
4つ目があると、次の交渉が速くなります。「前回はここが安かった」という事実が残ります。見積書そのものを綴じるだけでは、比べられません。1行の表に落としておいてください。
引き継ぎのときに渡す
担当が替わるとき、台帳があれば引き継ぎが短く済みます。
渡すのは4つです。
1つ目は、台帳そのものです。
2つ目は、品番と仕入先の対応表です。
3つ目は、取引の経緯が特殊な会社の一覧です。値引きの約束、支払いの例外。
4つ目は、直近の見積もりの履歴です。
3つ目が口伝えで消えます。「あそこは前の担当が特別な条件で話をつけている」という情報は、台帳の備考欄に1行書いておかないと引き継がれません。次の担当が普通の条件で話して、関係が崩れることがあります。
まとめ
仕入先台帳は、担当者の頭の中を1枚に出したものです。
- 困るのは、担当が休んだとき、替わるとき、比べたいとき
- 入れるのは、会社・取引・納期・実績・書類の5つの塊
- 連絡先は複数持つ。代わりの担当者の名前を聞いておく
- 納期遅れと不良の回数を数えると、感覚が数字になって話せる
- 取引をやめても行を消さない。補修部品や預けた金型が残る
取引の契約や与信に関わる判断は、社内の経理や法務の担当に確かめてください。
よくある質問
Q. 台帳を作るのに、どのくらいかかりますか。 A. 取引先が数十社なら半日です。まず会社名、品目、連絡先、納期の4項目だけで1枚にしてください。実績や書類の欄は、あとから足せます。
Q. 誰が作りますか。 A. 購買か、発注をしている人です。担当者ごとに持っている情報を集めるところから始まります。集めるときに、代わりの担当者の名前も聞いておいてください。
Q. 更新が続きません。 A. 更新の時期を1年に1回決めて、直す人を1人にしてください。気づいた人が直す形だと、誰も直しません。直した日を書く欄を作ると、古さが見えます。
Q. 納期遅れの回数を数えるのは手間です。 A. 遅れたときだけ、台帳に「正」の字を足す形で足ります。毎回記録する必要はありません。遅れた事実だけを数えれば、傾向は分かります。
Q. 同じ品目を複数の会社から買っています。 A. 品番ごとに、買える会社を2社以上書いておいてください。急な欠品のときに、すぐ次の手が打てます。価格の比較の材料にもなります。
Q. 現場に台帳を置きたいのですが、価格が入っています。 A. 価格を抜いた版を作ってください。連絡先と納期だけの版なら現場に置けます。1つの台帳から2つの形を出す仕組みにすると、更新も1回で済みます。
Q. 新しい仕入先を現場が勝手に増やしています。 A. 承認の手順を決めてください。支払いの条件も契約も無いまま取引が始まると、あとで整えるのが大変になります。誰が決めるかを1行決めるだけで防げます。
Q. 取引をやめた会社の行はどうしますか。 A. 消さないでください。補修部品の供給や、預けている金型が残っていることがあります。終えた日と理由、残っている取引を書いて、区別が付く形にしてください。
Q. 休業日を書く意味はありますか。 A. あります。年末年始や盆の休みは会社ごとに違い、知らずに発注して納期が遅れます。1行書いておくだけで防げます。
Q. 秘密保持の契約は、どこに書きますか。 A. 書類の欄に、締結の有無と保管場所を書いてください。契約書そのものは別に保管します。台帳には「ある/無い」と、どこにあるかだけが分かれば足ります。
Q. 与信の情報も入れますか。 A. 入れる場合は、見る人の範囲を絞ってください。判断は社内の経理や法務の担当が行います。台帳には、確認した日と結果だけを書く形にしている会社があります。
Q. システムに入れるべきですか。 A. 表計算で足ります。件数が増えて、発注や在庫とつなげたくなってから考えてください。まず1枚にまとめることが先で、道具はそのあとです。
Q. 取引先が多すぎて作れません。 A. 取引額の大きい順に、上位20社から作ってください。それで取引の大半を占めることが多くあります。残りは注文が入ったときに1行ずつ足していけば、半年で埋まります。
Q. 支払いの条件も入れますか。 A. 入れると資金の流れが見えます。締め日、支払いの日、方法。会社ごとに違うと、その月にいくら出るかが分かりません。経理の側でも使えるようになります。
Q. 現場は品番から引きたがります。 A. 品番と仕入先の対応表を別に作ってください。通常の納期と最低の発注数量も入れておくと、その場で答えられるようになります。会社ごとの台帳とセットで持ちます。
Q. 見積書を綴じているだけです。 A. 1行の表に落としてください。日付、品番、数量、単価、有効期限、他社の金額。綴じただけでは比べられません。次の交渉のときに効きます。
Q. 引き継ぎで何を渡しますか。 A. 台帳、品番と仕入先の対応表、取引の経緯が特殊な会社の一覧、直近の見積もりの履歴です。特殊な条件は備考欄に1行書いておかないと消えます。
Q. 台帳はどこに置きますか。 A. 共有のフォルダか、社内のシステムです。個人の端末に置かないでください。休みの日に見られません。価格を抜いた版を現場用に別に置く形が使いやすくなります。
Q. 年に1回の更新で、何を確かめますか。 A. 連絡先、担当者、休業日、支払いの条件の4つです。担当者と連絡先は変わります。取引額と納期遅れの回数も、その機会に入れておくと評価に使えます。
Q. 仕入先の評価は、どう伝えますか。 A. 数字で伝えてください。「3か月で納期遅れが5回」という事実は、感覚の話になりません。改善を求めるときも、取引を見直すときも、同じ数字を使えます。