補修部品の在庫|持つ量と、やめる時期の決め方
目次
補修部品は、出るかどうか分からないのに持っておく在庫です。年に1回しか出ないが、無いと客先の機械が止まる。だから捨てられず、棚の奥に増えていきます。持つ量とやめる時期を決めておかないと、倉庫の一角が動かない在庫で埋まります。
この記事では、補修部品の在庫を、普通の在庫との違い、持つ量の決め方、やめる時期、代替品への切り替え、棚と記録の作り方の順に整理します。保有の義務や期間が契約で決まっている場合は、その内容が優先されます。取引先との取り決めを確かめてください。
結論:出ないことを前提に持つ在庫
補修部品は、回転しないことが正常な在庫です。
普通の在庫と違うのは3つです。
1つ目は、需要が読めないことです。壊れたときにしか出ません。
2つ目は、無いときの損害が大きいことです。客先の機械や設備が止まります。
3つ目は、古くなっても価値が下がりにくいことです。その機種が動いている限り、必要とされます。
だから普通の在庫の指標で判断できません。回転率で見ると、補修部品はすべて「不動在庫」になります。別の基準で管理する必要があります。
持つ量の決め方
「念のため」で決めると、増える一方になります。基準を作ります。
見るのは4つです。
1つ目は、過去の出荷の実績です。年に何個出たか。3年分を見ます。
2つ目は、調達にかかる期間です。発注してから届くまで。長いものほど持つ理由があります。
3つ目は、無かったときの影響です。客先の設備が止まるか、代わりがあるか。
4つ目は、金額です。1個の単価と、置き場の広さ。
2つ目と3つ目の組み合わせで決まります。調達に3か月かかって、無いと設備が止まる部品は持つ理由があります。調達が1週間で、代わりがある部品は持たなくてよい。この2つの軸で並べると、判断が速くなります。
4つに分けて考える
全部を同じ基準で見ると決まりません。分けます。
分けるのは4つです。
1つ目は、必ず持つものです。止まると影響が大きく、調達が長い。
2つ目は、少しだけ持つものです。影響はあるが、調達が短い。
3つ目は、持たないものです。代わりがある、調達が短い。
4つ目は、やめるものです。対象の機種が無くなった。
4つ目を決める仕組みが無いと、増え続けます。新しい部品は足されますが、古い部品は誰も外しません。年に1回、4つ目を決める日を作ってください。
やめる時期を決める
補修部品をやめる判断は、誰かが決めないと永遠に来ません。
見るのは4つです。
1つ目は、対象の機種が市場に残っているかです。まだ使われているか。
2つ目は、最後に出荷した日です。5年出ていないなら、次も出ない可能性が高くなります。
3つ目は、保有の義務があるかです。契約で期間が決まっていることがあります。
4つ目は、メーカーの供給が続いているかです。供給が終わっているなら、逆に持ち続ける理由になることもあります。
3つ目を先に確かめてください。契約で「生産終了後◯年」と決まっている場合、期間内は捨てられません。取引先との取り決めを確かめてから判断します。
代替品への切り替え
部品が供給されなくなったとき、代わりの物を探すことになります。
進め方は4段です。
1つ目は、供給が終わる連絡を受けることです。メーカーからの案内。
2つ目は、残りを買うかを決めることです。最終の発注をかけるか。
3つ目は、代替品を探すことです。互換のある物、後継の品番。
4つ目は、客先に伝えることです。いつから代替品になるか。
2つ目でよく失敗します。「念のため多めに」買った部品が、そのまま不動在庫になります。過去の出荷の実績から、あと何年分が要るかを計算して決めてください。実績が無いなら、買わない判断もあります。
棚の作り方
補修部品は、探す時間がかかる在庫です。置き方で差が出ます。
工夫は4つです。
1つ目は、機種ごとにまとめることです。問い合わせは機種から来ます。
2つ目は、動かない場所に置くことです。通路の近くを、よく出る物に使います。
3つ目は、表示を大きくすることです。年に1回しか行かない棚は、覚えていません。
4つ目は、一覧を作ることです。棚に行く前に、あるかどうかが分かる形に。
4つ目がいちばん時間を節約します。「あるかどうか」を確かめるために棚まで見に行く運用だと、問い合わせのたびに時間がかかります。一覧を端末か紙で見られる形にしてください。
記録に残すこと
補修部品の記録は、普通の在庫とは別の項目が要ります。
書くのは5つです。
1つ目は、品番と対象の機種です。
2つ目は、数量と置き場です。
3つ目は、最後に出荷した日です。
4つ目は、調達にかかる期間です。
5つ目は、保有の義務と期限です。
3つ目と5つ目が、やめる判断の材料になります。最後の出荷から何年たったか、契約上いつまで持つ必要があるか。この2つが分かれば、年に1回の見直しが30分で終わります。
客先と話しておく
補修部品の負担は、自社だけで抱えると重くなります。
話すのは4つです。
1つ目は、どの部品を持っておくかです。客先の希望を聞きます。
2つ目は、持つ費用の負担です。保管料か、価格に含めるか。
3つ目は、やめる時期です。いつまで持つか。
4つ目は、供給が終わったときの扱いです。
3つ目を書面にしておいてください。「いつまで持つ」が決まっていないと、やめるときに揉めます。取引を始めるときに決めておけば、5年後に「まだ持っていますか」と聞かれても答えられます。
年に1回の見直し
補修部品は、年に1回の見直しで回ります。
やることは4つです。
1つ目は、一覧を出すことです。品番、数量、最後の出荷日。
2つ目は、5年出ていないものを抜き出すことです。
3つ目は、保有の義務を確かめることです。
4つ目は、やめるものを決めることです。
4つ目を決める人を、先に決めてください。現場だけでは決められません。営業か経営の判断が要ります。決める人がいないと、一覧を作っても何も変わりません。
不動在庫の一覧から分ける
不動在庫を減らす取り組みをするとき、補修部品を混ぜないでください。
分けるのは4つです。
1つ目は、補修部品として持っているものです。意図して持っています。
2つ目は、売れ残りです。持つ理由がありません。
3つ目は、仕様変更で使えなくなったものです。
4つ目は、理由が分からないものです。なぜあるか誰も知らない。
4つ目がいちばん多いことがあります。「昔からある」という在庫です。補修部品と混ざっていると、手を付けられません。まず4つに分けて、2つ目と4つ目から処分の検討を始めてください。
保管の費用を数字で出す
補修部品を持つかどうかは、費用を数字にすると判断しやすくなります。
出すのは4つです。
1つ目は、部品の金額です。
2つ目は、占める面積です。
3つ目は、その面積の年間の費用です。倉庫の賃料か、自社倉庫なら面積あたりの費用。
4つ目は、何年持つかです。
2つ目から4つ目の掛け算が、見落とされる費用です。単価の安い部品を大量に持つと、部品代より保管の費用が大きくなることがあります。一度計算してみると、持ち方の判断が変わります。
客先の設備の情報を持っておく
補修部品を持つ判断は、客先にどの機種があるかで決まります。
持つのは4つです。
1つ目は、納めた機種と台数です。
2つ目は、納めた時期です。古いほど部品が要ります。
3つ目は、稼働しているかです。止めた設備の部品は要りません。
4つ目は、更新の予定です。入れ替えが決まっているなら、部品を減らせます。
4つ目を営業から聞いてください。設備の入れ替えが決まっているのに、部品を買い足していることがあります。年に1回、営業に「更新の予定がある客先はどこか」を聞くだけで、買う量が変わります。
発注のタイミングを決めておく
補修部品は、出たときに補充するか、決めた数を切ったら補充するかで運用が変わります。
考えるのは4つです。
1つ目は、出たら補充する形です。1個出たら1個買う。常に同じ数を保ちます。
2つ目は、下限を決める形です。残りが決めた数を切ったら発注します。
3つ目は、補充しない形です。持っている分が無くなったら終わり。
4つ目は、まとめて買う形です。供給が終わる前の最終発注。
3つ目を選べる品目があります。対象の機種が減っている部品は、無くなった時点でやめるという判断ができます。補充しないと決めた品目の一覧を作っておくと、うっかり買い足すことが無くなります。
まとめ
補修部品は、出ないことを前提に持つ在庫です。
- 回転率で見ると全部が不動在庫になる。別の基準で管理する
- 持つかどうかは、調達期間と、無いときの影響の2つの軸で決まる
- 必ず持つ・少し持つ・持たない・やめる、の4つに分ける
- やめる判断は誰かが決めないと永遠に来ない。年に1回の日を作る
- 客先と「いつまで持つか」を書面で決めておく
保有の義務や期間が契約で決まっている場合は、その内容が優先されます。取引先との取り決めを確かめてください。
よくある質問
Q. 回転率で見ると、補修部品は全部が不動在庫になります。 A. なります。普通の在庫の指標では判断できません。調達期間と、無いときの影響の2つで見てください。不動在庫の一覧から、補修部品は分けて扱います。
Q. 持つ量はどう決めますか。 A. 過去3年の出荷実績、調達にかかる期間、無いときの影響、金額の4つです。調達が長く、止まると影響が大きい部品から持ってください。
Q. 5年出ていない部品があります。 A. 対象の機種がまだ使われているか、保有の義務があるかを確かめてください。契約で期間が決まっていると捨てられません。両方を確かめてから判断します。
Q. 供給が終わると連絡が来ました。 A. 最終の発注をかけるかを決めます。「念のため多めに」が、そのまま不動在庫になります。過去の実績からあと何年分が要るかを計算してください。実績が無いなら買わない判断もあります。
Q. 探すのに時間がかかります。 A. 一覧を作ってください。棚まで見に行かなくても、あるかどうかが分かる形にします。置き方は機種ごとにまとめると、問い合わせの順番と合います。
Q. 客先と何を決めておきますか。 A. どの部品を持つか、持つ費用の負担、いつまで持つか、供給が終わったときの扱いです。「いつまで持つ」を書面にしておくと、やめるときに揉めません。
Q. 保管の費用はどう見ますか。 A. 置き場の広さと、その面積の費用です。金額の小さい部品を大量に持つと、部品代より保管料が大きくなることがあります。一度計算してみてください。
Q. やめると決めた部品はどうしますか。 A. 客先に伝えてから処分します。引き取ってもらえることもあります。処分の記録を残して、在庫から落とす手続きも忘れないでください。
Q. 代替品に切り替えるとき、何を伝えますか。 A. いつから代替品になるか、仕様の違い、価格の違いです。切り替えの前に伝えることが大事で、出荷してから伝えると信用に関わります。
Q. 見直しは誰がやりますか。 A. 一覧は現場が作れますが、やめる判断は営業か経営です。決める人を先に決めてください。決める人がいないと、一覧を作っても何も変わりません。
Q. 記録に何を書きますか。 A. 品番と対象の機種、数量と置き場、最後の出荷日、調達にかかる期間、保有の義務と期限です。最後の出荷日と保有の義務があれば、見直しが30分で終わります。
Q. 新しく補修部品を持つかどうか、誰が決めますか。 A. 持つ基準を先に作っておくと、現場でも判断できます。調達期間と影響の2つの軸で線を引いておけば、その都度の相談が減ります。線を超えるものだけ、上に上げる形にしてください。
Q. 不動在庫を減らせと言われました。 A. まず4つに分けてください。補修部品、売れ残り、仕様変更で使えなくなったもの、理由が分からないもの。補修部品と混ざっていると手を付けられません。
Q. 保管の費用はどう計算しますか。 A. 占める面積 × 面積あたりの年間費用 × 持つ年数です。単価の安い部品を大量に持つと、部品代より保管の費用が大きくなることがあります。一度計算してみてください。
Q. 客先の設備の情報は、どこから取りますか。 A. 営業か、納品の記録です。納めた機種と台数、時期、稼働しているか、更新の予定の4つです。年に1回聞くだけで、持つ量の判断が変わります。
Q. 更新の予定を知らずに部品を買っていました。 A. よくある形です。年に1回、営業に「更新の予定がある客先はどこか」を聞いてください。その1回で、買う量が変わります。
Q. 補充のやり方はどう決めますか。 A. 出たら補充する、下限を切ったら発注する、補充しない、まとめて買う。対象の機種が減っている部品は「補充しない」を選べます。一覧にしておくと、うっかり買い足しません。
Q. 補修部品の棚卸はどうしますか。 A. 年に1回でも構いませんが、金額の大きいものは循環棚卸に入れてください。動かない在庫ほど、無くなっていても気づきません。持ち出しの記録が無いまま消えることがあります。
Q. 部品の品番が変わりました。 A. 旧品番と新品番の対応表を作ってください。客先からは旧品番で問い合わせが来ます。対応表が無いと、あるのに「無い」と答えることになります。