在庫を合わせる解説2026.06.17 公開OK-07

補修部品の在庫|持つ量と、やめる時期の決め方

目次

補修部品は、出るかどうか分からないのに持っておく在庫です。年に1回しか出ないが、無いと客先の機械が止まる。だから捨てられず、棚の奥に増えていきます。持つ量とやめる時期を決めておかないと、倉庫の一角が動かない在庫で埋まります。

この記事では、補修部品の在庫を、普通の在庫との違い持つ量の決め方やめる時期代替品への切り替え棚と記録の作り方の順に整理します。保有の義務や期間が契約で決まっている場合は、その内容が優先されます。取引先との取り決めを確かめてください。

補修部品の在庫の様式そのものを探している場合は、在庫板にそろっています。

結論:出ないことを前提に持つ在庫

補修部品は、回転しないことが正常な在庫です。

普通の在庫と違うのは3つです。

1つ目は、需要が読めないことです。壊れたときにしか出ません。

2つ目は、無いときの損害が大きいことです。客先の機械や設備が止まります。

3つ目は、古くなっても価値が下がりにくいことです。その機種が動いている限り、必要とされます。

普通の在庫と違う3つ需要が読めない壊れたときしか出ない止まる損害客先の設備が止まる価値が落ちにくい機種が動く限り要る
需要が読めない・止まる損害・価値が下がりにくいという3つの違いを並べた層の図

だから普通の在庫の指標で判断できません。回転率で見ると、補修部品はすべて「不動在庫」になります。別の基準で管理する必要があります。

持つ量の決め方

「念のため」で決めると、増える一方になります。基準を作ります。

見るのは4つです。

1つ目は、過去の出荷の実績です。年に何個出たか。3年分を見ます。

2つ目は、調達にかかる期間です。発注してから届くまで。長いものほど持つ理由があります。

3つ目は、無かったときの影響です。客先の設備が止まるか、代わりがあるか。

4つ目は、金額です。1個の単価と、置き場の広さ。

持つ量の4つの材料見るもの中身出荷の実績3年分を見る調達の期間長いほど持つ理由がある無いときの影響設備が止まるか金額単価と置き場の広さ
出荷実績・調達期間・無いときの影響・金額という4つの判断材料を並べた表

2つ目と3つ目の組み合わせで決まります。調達に3か月かかって、無いと設備が止まる部品は持つ理由があります。調達が1週間で、代わりがある部品は持たなくてよい。この2つの軸で並べると、判断が速くなります。

4つに分けて考える

全部を同じ基準で見ると決まりません。分けます。

分けるのは4つです。

1つ目は、必ず持つものです。止まると影響が大きく、調達が長い。

2つ目は、少しだけ持つものです。影響はあるが、調達が短い。

3つ目は、持たないものです。代わりがある、調達が短い。

4つ目は、やめるものです。対象の機種が無くなった。

4つに分ける区分条件必ず持つ影響が大きく調達が長い少し持つ影響はあるが調達が短い持たない代わりがあり調達が短いやめる対象の機種が無くなった
必ず持つ・少し持つ・持たない・やめるという4つの区分を並べた表

4つ目を決める仕組みが無いと、増え続けます。新しい部品は足されますが、古い部品は誰も外しません。年に1回、4つ目を決める日を作ってください。

やめる時期を決める

補修部品をやめる判断は、誰かが決めないと永遠に来ません。

見るのは4つです。

1つ目は、対象の機種が市場に残っているかです。まだ使われているか。

2つ目は、最後に出荷した日です。5年出ていないなら、次も出ない可能性が高くなります。

3つ目は、保有の義務があるかです。契約で期間が決まっていることがあります。

4つ目は、メーカーの供給が続いているかです。供給が終わっているなら、逆に持ち続ける理由になることもあります。

やめる判断の4つ見るもの中身機種の状況まだ使われているか最後の出荷日5年出ていないか保有の義務契約で期間が決まっているか供給の継続終わっているなら持つ理由に
機種の状況・最後の出荷日・保有の義務・供給の継続という4つの判断材料を並べた表
点検表テンプレート
目録をひらく

この業務の記事をまとめて読む

補修部品と不動在庫の管理をまとめて整えるなら、在庫板の様式が近道です。

この様式をひらく

3つ目を先に確かめてください。契約で「生産終了後◯年」と決まっている場合、期間内は捨てられません。取引先との取り決めを確かめてから判断します。

代替品への切り替え

部品が供給されなくなったとき、代わりの物を探すことになります。

進め方は4段です。

1つ目は、供給が終わる連絡を受けることです。メーカーからの案内。

2つ目は、残りを買うかを決めることです。最終の発注をかけるか。

3つ目は、代替品を探すことです。互換のある物、後継の品番。

4つ目は、客先に伝えることです。いつから代替品になるか。

供給が終わるときの4段1連絡を受けメーカーからの案内2最終発注実績から年数分を計算3代替品互換や後継の品番4客先へ連絡いつから代替品か
供給終了の連絡・最終発注・代替品の検討・客先への連絡という4段のフロー

2つ目でよく失敗します。「念のため多めに」買った部品が、そのまま不動在庫になります。過去の出荷の実績から、あと何年分が要るかを計算して決めてください。実績が無いなら、買わない判断もあります。

棚の作り方

補修部品は、探す時間がかかる在庫です。置き方で差が出ます。

工夫は4つです。

1つ目は、機種ごとにまとめることです。問い合わせは機種から来ます。

2つ目は、動かない場所に置くことです。通路の近くを、よく出る物に使います。

3つ目は、表示を大きくすることです。年に1回しか行かない棚は、覚えていません。

4つ目は、一覧を作ることです。棚に行く前に、あるかどうかが分かる形に。

4つ目がいちばん時間を節約します。「あるかどうか」を確かめるために棚まで見に行く運用だと、問い合わせのたびに時間がかかります。一覧を端末か紙で見られる形にしてください。

記録に残すこと

補修部品の記録は、普通の在庫とは別の項目が要ります。

書くのは5つです。

1つ目は、品番と対象の機種です。

2つ目は、数量と置き場です。

3つ目は、最後に出荷した日です。

4つ目は、調達にかかる期間です。

5つ目は、保有の義務と期限です。

3つ目と5つ目が、やめる判断の材料になります。最後の出荷から何年たったか、契約上いつまで持つ必要があるか。この2つが分かれば、年に1回の見直しが30分で終わります。

客先と話しておく

補修部品の負担は、自社だけで抱えると重くなります。

話すのは4つです。

1つ目は、どの部品を持っておくかです。客先の希望を聞きます。

2つ目は、持つ費用の負担です。保管料か、価格に含めるか。

3つ目は、やめる時期です。いつまで持つか。

4つ目は、供給が終わったときの扱いです。

3つ目を書面にしておいてください。「いつまで持つ」が決まっていないと、やめるときに揉めます。取引を始めるときに決めておけば、5年後に「まだ持っていますか」と聞かれても答えられます。

年に1回の見直し

補修部品は、年に1回の見直しで回ります。

やることは4つです。

1つ目は、一覧を出すことです。品番、数量、最後の出荷日。

2つ目は、5年出ていないものを抜き出すことです。

3つ目は、保有の義務を確かめることです。

4つ目は、やめるものを決めることです。

4つ目を決める人を、先に決めてください。現場だけでは決められません。営業か経営の判断が要ります。決める人がいないと、一覧を作っても何も変わりません。

不動在庫の一覧から分ける

不動在庫を減らす取り組みをするとき、補修部品を混ぜないでください。

分けるのは4つです。

1つ目は、補修部品として持っているものです。意図して持っています。

2つ目は、売れ残りです。持つ理由がありません。

3つ目は、仕様変更で使えなくなったものです。

4つ目は、理由が分からないものです。なぜあるか誰も知らない。

不動在庫を4つに分ける区分扱い補修部品意図して持っている売れ残り持つ理由がない仕様変更使えなくなった理由不明なぜあるか誰も知らない
補修部品・売れ残り・仕様変更・理由不明という4つの区分を並べた表

4つ目がいちばん多いことがあります。「昔からある」という在庫です。補修部品と混ざっていると、手を付けられません。まず4つに分けて、2つ目と4つ目から処分の検討を始めてください。

保管の費用を数字で出す

補修部品を持つかどうかは、費用を数字にすると判断しやすくなります。

出すのは4つです。

1つ目は、部品の金額です。

2つ目は、占める面積です。

3つ目は、その面積の年間の費用です。倉庫の賃料か、自社倉庫なら面積あたりの費用。

4つ目は、何年持つかです。

2つ目から4つ目の掛け算が、見落とされる費用です。単価の安い部品を大量に持つと、部品代より保管の費用が大きくなることがあります。一度計算してみると、持ち方の判断が変わります。

客先の設備の情報を持っておく

補修部品を持つ判断は、客先にどの機種があるかで決まります。

持つのは4つです。

1つ目は、納めた機種と台数です。

2つ目は、納めた時期です。古いほど部品が要ります。

3つ目は、稼働しているかです。止めた設備の部品は要りません。

4つ目は、更新の予定です。入れ替えが決まっているなら、部品を減らせます。

4つ目を営業から聞いてください。設備の入れ替えが決まっているのに、部品を買い足していることがあります。年に1回、営業に「更新の予定がある客先はどこか」を聞くだけで、買う量が変わります。

発注のタイミングを決めておく

補修部品は、出たときに補充するか、決めた数を切ったら補充するかで運用が変わります。

考えるのは4つです。

1つ目は、出たら補充する形です。1個出たら1個買う。常に同じ数を保ちます。

2つ目は、下限を決める形です。残りが決めた数を切ったら発注します。

3つ目は、補充しない形です。持っている分が無くなったら終わり。

4つ目は、まとめて買う形です。供給が終わる前の最終発注。

3つ目を選べる品目があります。対象の機種が減っている部品は、無くなった時点でやめるという判断ができます。補充しないと決めた品目の一覧を作っておくと、うっかり買い足すことが無くなります。

まとめ

補修部品は、出ないことを前提に持つ在庫です。

  • 回転率で見ると全部が不動在庫になる。別の基準で管理する
  • 持つかどうかは、調達期間と、無いときの影響の2つの軸で決まる
  • 必ず持つ・少し持つ・持たない・やめる、の4つに分ける
  • やめる判断は誰かが決めないと永遠に来ない。年に1回の日を作る
  • 客先と「いつまで持つか」を書面で決めておく

保有の義務や期間が契約で決まっている場合は、その内容が優先されます。取引先との取り決めを確かめてください。

点検表テンプレート
目録をひらく

この業務の記事をまとめて読む

補修部品と不動在庫の管理をまとめて整えるなら、在庫板の様式が近道です。

この様式をひらく

よくある質問

Q. 回転率で見ると、補修部品は全部が不動在庫になります。 A. なります。普通の在庫の指標では判断できません。調達期間と、無いときの影響の2つで見てください。不動在庫の一覧から、補修部品は分けて扱います。

Q. 持つ量はどう決めますか。 A. 過去3年の出荷実績、調達にかかる期間、無いときの影響、金額の4つです。調達が長く、止まると影響が大きい部品から持ってください。

Q. 5年出ていない部品があります。 A. 対象の機種がまだ使われているか、保有の義務があるかを確かめてください。契約で期間が決まっていると捨てられません。両方を確かめてから判断します。

Q. 供給が終わると連絡が来ました。 A. 最終の発注をかけるかを決めます。「念のため多めに」が、そのまま不動在庫になります。過去の実績からあと何年分が要るかを計算してください。実績が無いなら買わない判断もあります。

Q. 探すのに時間がかかります。 A. 一覧を作ってください。棚まで見に行かなくても、あるかどうかが分かる形にします。置き方は機種ごとにまとめると、問い合わせの順番と合います。

Q. 客先と何を決めておきますか。 A. どの部品を持つか、持つ費用の負担、いつまで持つか、供給が終わったときの扱いです。「いつまで持つ」を書面にしておくと、やめるときに揉めません。

Q. 保管の費用はどう見ますか。 A. 置き場の広さと、その面積の費用です。金額の小さい部品を大量に持つと、部品代より保管料が大きくなることがあります。一度計算してみてください。

Q. やめると決めた部品はどうしますか。 A. 客先に伝えてから処分します。引き取ってもらえることもあります。処分の記録を残して、在庫から落とす手続きも忘れないでください。

Q. 代替品に切り替えるとき、何を伝えますか。 A. いつから代替品になるか、仕様の違い、価格の違いです。切り替えの前に伝えることが大事で、出荷してから伝えると信用に関わります。

Q. 見直しは誰がやりますか。 A. 一覧は現場が作れますが、やめる判断は営業か経営です。決める人を先に決めてください。決める人がいないと、一覧を作っても何も変わりません。

Q. 記録に何を書きますか。 A. 品番と対象の機種、数量と置き場、最後の出荷日、調達にかかる期間、保有の義務と期限です。最後の出荷日と保有の義務があれば、見直しが30分で終わります。

Q. 新しく補修部品を持つかどうか、誰が決めますか。 A. 持つ基準を先に作っておくと、現場でも判断できます。調達期間と影響の2つの軸で線を引いておけば、その都度の相談が減ります。線を超えるものだけ、上に上げる形にしてください。

Q. 不動在庫を減らせと言われました。 A. まず4つに分けてください。補修部品、売れ残り、仕様変更で使えなくなったもの、理由が分からないもの。補修部品と混ざっていると手を付けられません。

Q. 保管の費用はどう計算しますか。 A. 占める面積 × 面積あたりの年間費用 × 持つ年数です。単価の安い部品を大量に持つと、部品代より保管の費用が大きくなることがあります。一度計算してみてください。

Q. 客先の設備の情報は、どこから取りますか。 A. 営業か、納品の記録です。納めた機種と台数、時期、稼働しているか、更新の予定の4つです。年に1回聞くだけで、持つ量の判断が変わります。

Q. 更新の予定を知らずに部品を買っていました。 A. よくある形です。年に1回、営業に「更新の予定がある客先はどこか」を聞いてください。その1回で、買う量が変わります。

Q. 補充のやり方はどう決めますか。 A. 出たら補充する、下限を切ったら発注する、補充しない、まとめて買う。対象の機種が減っている部品は「補充しない」を選べます。一覧にしておくと、うっかり買い足しません。

Q. 補修部品の棚卸はどうしますか。 A. 年に1回でも構いませんが、金額の大きいものは循環棚卸に入れてください。動かない在庫ほど、無くなっていても気づきません。持ち出しの記録が無いまま消えることがあります。

Q. 部品の品番が変わりました。 A. 旧品番と新品番の対応表を作ってください。客先からは旧品番で問い合わせが来ます。対応表が無いと、あるのに「無い」と答えることになります。