ロット管理とは?追える形にするための3点
目次
不具合の連絡が来たとき、同じロットの物がどこへ行ったかを追えるか。ロット管理は、そのための仕組みです。先入れ先出しと似て見えますが、目的が違います。先入れ先出しは古い物から出すため、ロット管理はどこへ出したかを追うためにあります。
この記事では、ロット管理を、先入れ先出しとの違い、追える形にする3点、記録の取り方、問い合わせが来たときの動き、始め方の順に整理します。業種によっては法令で記録が求められます。自分の扱う品目に何が適用されるかは、所轄の行政の窓口と取引先に確認してください。
結論:どこから来て、どこへ行ったかを追うための仕組み
ロット管理は、同じ条件で作られたひとまとまりに番号を付けて、動きを追えるようにするものです。
追うのは3つです。
1つ目は、どこから来たかです。仕入先、製造の日、入荷の日。
2つ目は、どこにあるかです。どの棚に、いくつ。
3つ目は、どこへ行ったかです。どの客先へ、いつ、いくつ。
3つ目がいちばん大事で、いちばん抜けます。入荷の記録は取っていても、出荷のときにロットを記録していない倉庫が多くあります。そうすると、不具合の連絡が来たときに追えません。
先入れ先出しとの違い
似ていますが、目的が違います。
| 先入れ先出し | ロット管理 | |
|---|---|---|
| 目的 | 古い物から出す | どこへ出したかを追う |
| 見るもの | 入荷の順番 | ロット番号 |
| 効く場面 | 期限切れを防ぐ | 不具合が起きたとき |
| 記録 | 置き方で実現できる | 記録が必須 |
両方が要ることが多くあります。先入れ先出しは置き方で実現できますが、ロット管理は記録がないと成立しません。置き方を工夫しても、記録が無ければ追えません。
追える形にする3点
ロットを追える状態にするには、3か所で記録を取ります。
取るのは3つです。
1つ目は、入荷のときです。品番、ロット番号、数量、仕入先、入荷日。
2つ目は、保管のときです。どの棚に、どのロットが、いくつあるか。
3つ目は、出荷のときです。どの客先へ、どのロットを、いくつ出したか。
3つ目が抜けると、全部が無駄になります。入荷と保管だけ記録していても、出した先が分からなければ追えません。出荷のときにロット番号を控える形を、必ず作ってください。
ロット番号の付け方
仕入れた物には、仕入先のロット番号が付いています。自社で付け直すかどうかを決めます。
考えるのは4つです。
1つ目は、仕入先の番号をそのまま使うことです。手間が少なく、仕入先に問い合わせやすくなります。
2つ目は、自社の番号を付けることです。仕入先ごとに形式がばらばらな場合に統一できます。
3つ目は、両方を記録することです。手間は増えますが、どちらからも追えます。
4つ目は、混ぜないことです。同じ品番で方式が混ざると、追えなくなります。
1つ目から始めるのが現実的です。自社で番号を付け直すと、貼り替えの作業が増えます。まず仕入先の番号を記録するところから始めて、必要になったら自社の番号を検討してください。
混ざらないようにする置き方
記録があっても、現物が混ざると追えません。
工夫は4つです。
1つ目は、ロットごとに置き場を分けることです。同じ棚でも、区切って置きます。
2つ目は、補充のときに混ぜないことです。古いロットの上に新しいロットを足さない。
3つ目は、表示を残すことです。外装を開けても、ロット番号が分かる形に。
4つ目は、端数の扱いを決めることです。残った数個をどうするか。
4つ目がいちばん混ざります。箱から出した端数を別のかごにまとめると、そこでロットが混ざります。端数も、ロットごとに分けて置いてください。分けられないなら、そのかごは「ロット不明」として扱います。
期限のある品目
食品、薬品、化学品など、期限のある品目ではロット管理が期限の管理とつながります。
見るのは4つです。
1つ目は、期限の日付です。消費期限、使用期限、有効期限。
2つ目は、出荷できる残りの期間です。客先が受け取る条件があることがあります。
3つ目は、期限が近いものの一覧です。
4つ目は、期限切れの処分です。
2つ目を知らずに出荷すると、返品になります。「残り3分の1以上」といった条件が取引先で決まっていることがあります。受け入れの条件を確かめて、出荷の前に見る仕組みにしてください。
問い合わせが来たときの動き
不具合の連絡が来たら、その日のうちに範囲を確かめます。
動きは4段です。
1つ目は、ロット番号を聞くことです。客先が持っている現物から。
2つ目は、そのロットの入荷を確かめることです。いくつ入って、どこに置いたか。
3つ目は、出荷先を洗い出すことです。同じロットをどこへ出したか。
4つ目は、在庫を止めることです。まだ残っている分を出荷できないようにします。
4つ目を先にやってもよいくらいです。調べているあいだに出荷されると、被害が広がります。連絡を受けた時点で、そのロットを引当てできない状態にしてください。
始め方
全品でロット管理を始めるのは大変です。絞って始めます。
絞り方は4つです。
1つ目は、法令で求められる品目からです。業種によっては記録が義務になります。
2つ目は、取引先から求められている品目からです。
3つ目は、不具合が起きたときの影響が大きい品目からです。
4つ目は、期限のある品目からです。
1つ目と2つ目は選べません。まずここを確かめてください。自分の扱う品目に記録の義務があるかどうかは、所轄の行政の窓口と取引先に確かめます。義務のない品目は、3つ目と4つ目から順に広げていきます。
記録の残し方
ロットの記録は、あとから引ける形でないと意味がありません。
決めるのは4つです。
1つ目は、どこに記録するかです。紙、表計算、システム。
2つ目は、引き方です。ロット番号から出荷先を引けるか。
3つ目は、保存の期間です。品目と契約によります。
4つ目は、誰が引けるかです。問い合わせが来たときに動ける人。
2つ目を試しておいてください。記録は取っているが、いざ引こうとすると1日かかるという状態があります。年に1回、実際に「このロットの出荷先を出す」という練習をすると、引けるかどうかが分かります。
誰が引けるかを決めておく
問い合わせは、決まった時間に来るとは限りません。引ける人を増やしておきます。
決めるのは4つです。
1つ目は、引ける人です。最低でも2人。1人だと休みの日に動けません。
2つ目は、引き方の手順です。どこを見て、どう絞るか。1枚に書きます。
3つ目は、連絡の順番です。誰が客先に答えるか。
4つ目は、止める権限です。在庫を出荷できないようにする操作を、誰ができるか。
4つ目を現場が持てる形にしてください。上長の承認を待っているあいだに出荷されると、被害が広がります。「まず止める、判断は後」という順番を、あらかじめ認めておいてください。
記録の様式に入れる欄
ロットの記録は、既にある帳票に欄を足すのがいちばん続きます。
足すのは4つです。
1つ目は、入荷の記録にロット番号の欄です。
2つ目は、棚の表示にロット番号です。
3つ目は、出荷の伝票にロット番号の欄です。
4つ目は、加工の記録に使った材料のロット番号です。
3つ目を伝票に入れてください。出荷の伝票は必ず作るので、そこに欄があれば書かれます。別の紙を増やすと、書かれなくなります。控えを保存する仕組みがあるなら、それがそのままロットの記録になります。
バーコードを使うと手間が減る
ロット管理の手間は、読み取りの仕組みで大きく変わります。
考えるのは4つです。
1つ目は、仕入先のラベルを使えるかです。既にバーコードが付いていることがあります。
2つ目は、自社でラベルを貼るかです。入荷のときに貼ります。
3つ目は、読む場面です。入荷、棚入れ、ピッキング、出荷。
4つ目は、読めなかったときの手順です。ラベルが汚れる、剥がれる。
4つ目を決めておいてください。読めないときに手入力を許すか、止めるかです。手入力を許すと入力ミスが入り、止めると作業が進みません。手入力した記録に印を付ける形にすると、あとで確かめられます。
仕入先に求めること
ロットを追える形にするには、仕入先の協力が要ります。
求めるのは4つです。
1つ目は、ロット番号の表示です。外装と、できれば個々の物に。
2つ目は、納品書への記載です。どのロットを何個納めたか。
3つ目は、1回の納品でロットを混ぜないことです。混ぜる場合は、それぞれの数量を書いてもらいます。
4つ目は、問い合わせへの対応です。こちらからロット番号で聞いたときに答えてもらえるか。
2つ目を頼むところから始めてください。納品書に書かれていれば、入荷の記録がそのまま作れます。現物のラベルを見て手で書き写す手間が消えます。取引を始めるときに頼んでおくと、あとから頼むより通ります。
まとめ
ロット管理は、どこから来て、どこへ行ったかを追うための仕組みです。
- 先入れ先出しとは目的が違う。両方が要ることが多い
- 記録を取るのは、入荷・保管・出荷の3か所。出荷が抜けると全部が無駄になる
- 番号は仕入先のものをそのまま使うところから始める
- 端数をまとめたかごで混ざる。分けられないなら「ロット不明」として扱う
- 問い合わせが来たら、調べる前に在庫を止める
業種によっては法令で記録が求められます。自分の扱う品目に何が適用されるかは、所轄の行政の窓口と取引先に確認してください。
よくある質問
Q. 先入れ先出しをやっていれば、ロット管理も要りませんか。 A. 別のものです。先入れ先出しは古い物から出すため、ロット管理はどこへ出したかを追うためにあります。不具合の連絡が来たときに効くのはロット管理です。
Q. 出荷のときにロット番号を控えるのが手間です。 A. 手間ですが、ここが抜けると全部が無駄になります。バーコードを読む形にすると手間が減ります。手書きなら、伝票に欄を作って番号だけ書く形にしてください。
Q. ロット番号は自社で付け直しますか。 A. まず仕入先の番号をそのまま記録するところから始めてください。付け直すと貼り替えの作業が増えます。形式がばらばらで困るようになってから、自社の番号を検討します。
Q. 端数が混ざってしまいます。 A. 端数もロットごとに分けて置いてください。別のかごにまとめると、そこで混ざります。分けられない場合は、そのかごを「ロット不明」として扱い、追える品目とは別にします。
Q. 期限のある品目で気をつけることは。 A. 出荷できる残りの期間です。「残り3分の1以上」といった条件が取引先で決まっていることがあります。受け入れの条件を確かめて、出荷の前に見る仕組みにしてください。
Q. 不具合の連絡が来ました。何から始めますか。 A. 在庫を止めてください。調べているあいだに出荷されると被害が広がります。そのロットを引当てできない状態にしてから、出荷先を洗い出します。
Q. 全品でロット管理を始めるべきですか。 A. 絞って始めてください。法令で求められる品目、取引先から求められている品目が先です。義務のないものは、影響の大きいものと期限のあるものから広げます。
Q. 記録はどこに残しますか。 A. 引ける形なら紙でも構いません。ただしロット番号から出荷先を引けることが条件です。品番順に並んでいるだけの記録では、問い合わせに答えられません。
Q. 引けるかどうか、どう確かめますか。 A. 年に1回、実際に「このロットの出荷先を出す」という練習をしてください。記録は取っているが、引くのに1日かかるという状態があります。やってみないと分かりません。
Q. 保存期間はどのくらいですか。 A. 品目と契約によります。法令で定められている品目もあります。所轄の行政の窓口と取引先に確かめてください。迷ったら長いほうに合わせます。
Q. 社内で加工した物のロットはどうしますか。 A. 使った材料のロットと、できた製品のロットをつなぐ記録が要ります。加工の記録に、使った材料のロット番号を書く形にしてください。ここが切れると、材料までさかのぼれません。
Q. システムが無いとできませんか。 A. できます。紙と表計算でも追えます。大事なのは3か所で記録を取ることと、引ける形にしておくことです。件数が増えて手作業が回らなくなってから、仕組みを考えてください。
Q. 問い合わせに答えられる人が1人しかいません。 A. 最低2人にしてください。1人だと休みの日に動けません。引き方の手順を1枚に書いて、もう1人に渡すところから始められます。
Q. 記録の紙を増やすと書かれません。 A. 既にある帳票に欄を足してください。出荷の伝票にロット番号の欄を入れるのがいちばん続きます。必ず作る帳票なので、書く機会が確実にあります。
Q. バーコードの仕組みを入れるべきですか。 A. 件数が多いなら効きます。入荷、棚入れ、ピッキング、出荷のどこで読むかを決めてから選んでください。読めなかったときの手順も、あわせて決めます。
Q. ラベルが汚れて読めません。 A. 手入力を許すかどうかを決めてください。許すなら、手入力した記録に印を付ける形にします。あとでまとめて確かめられます。
Q. 仕入先に何を頼めばよいですか。 A. 納品書へのロット番号の記載です。書かれていれば、入荷の記録がそのまま作れます。現物を見て書き写す手間が消えます。取引を始めるときに頼むと通りやすくなります。