在庫を合わせる解説2026.06.16 公開OK-06

ロット管理とは?追える形にするための3点

目次

不具合の連絡が来たとき、同じロットの物がどこへ行ったかを追えるか。ロット管理は、そのための仕組みです。先入れ先出しと似て見えますが、目的が違います。先入れ先出しは古い物から出すため、ロット管理はどこへ出したかを追うためにあります。

この記事では、ロット管理を、先入れ先出しとの違い追える形にする3点記録の取り方問い合わせが来たときの動き始め方の順に整理します。業種によっては法令で記録が求められます。自分の扱う品目に何が適用されるかは、所轄の行政の窓口と取引先に確認してください。

ロットと期限の管理の様式そのものを探している場合は、在庫板にそろっています。

結論:どこから来て、どこへ行ったかを追うための仕組み

ロット管理は、同じ条件で作られたひとまとまりに番号を付けて、動きを追えるようにするものです。

追うのは3つです。

1つ目は、どこから来たかです。仕入先、製造の日、入荷の日。

2つ目は、どこにあるかです。どの棚に、いくつ。

3つ目は、どこへ行ったかです。どの客先へ、いつ、いくつ。

追うのは3つどこから来たか仕入先と製造の日どこにあるかどの棚にいくつどこへ行ったかどの客先へいくつ
どこから来たか・どこにあるか・どこへ行ったかという3つの追う対象を並べた層の図

3つ目がいちばん大事で、いちばん抜けます。入荷の記録は取っていても、出荷のときにロットを記録していない倉庫が多くあります。そうすると、不具合の連絡が来たときに追えません。

先入れ先出しとの違い

似ていますが、目的が違います。

先入れ先出しロット管理
目的古い物から出すどこへ出したかを追う
見るもの入荷の順番ロット番号
効く場面期限切れを防ぐ不具合が起きたとき
記録置き方で実現できる記録が必須
先入れ先出しとは目的が違う先入れ先出し古い物から出す置き方で実現できる期限切れを防ぐロット管理どこへ出したかを追う記録がないと成立しない不具合が起きたときに効く
先入れ先出しとロット管理で、目的と効く場面が違うことを並べた比較の図

両方が要ることが多くあります。先入れ先出しは置き方で実現できますが、ロット管理は記録がないと成立しません。置き方を工夫しても、記録が無ければ追えません。

追える形にする3点

ロットを追える状態にするには、3か所で記録を取ります。

取るのは3つです。

1つ目は、入荷のときです。品番、ロット番号、数量、仕入先、入荷日。

2つ目は、保管のときです。どの棚に、どのロットが、いくつあるか。

3つ目は、出荷のときです。どの客先へ、どのロットを、いくつ出したか。

記録は3か所で取る1入荷品番・ロット・数量・仕入先2保管どの棚にどのロットが3出荷どの客先へどのロットを
入荷・保管・出荷という3か所の記録を並べたフロー

3つ目が抜けると、全部が無駄になります。入荷と保管だけ記録していても、出した先が分からなければ追えません。出荷のときにロット番号を控える形を、必ず作ってください。

ロット番号の付け方

仕入れた物には、仕入先のロット番号が付いています。自社で付け直すかどうかを決めます。

考えるのは4つです。

1つ目は、仕入先の番号をそのまま使うことです。手間が少なく、仕入先に問い合わせやすくなります。

2つ目は、自社の番号を付けることです。仕入先ごとに形式がばらばらな場合に統一できます。

3つ目は、両方を記録することです。手間は増えますが、どちらからも追えます。

4つ目は、混ぜないことです。同じ品番で方式が混ざると、追えなくなります。

番号の4つの決め方決め方中身仕入先の番号手間が少なく問い合わせやすい自社の番号形式を統一できる両方を記録どちらからも追える混ぜない同じ品番で方式を変えない
仕入先の番号・自社の番号・両方・混ぜないという4つの決め方を並べた表
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ロットと期限の管理の様式を探しているなら、在庫板のものが近道です。

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1つ目から始めるのが現実的です。自社で番号を付け直すと、貼り替えの作業が増えます。まず仕入先の番号を記録するところから始めて、必要になったら自社の番号を検討してください。

混ざらないようにする置き方

記録があっても、現物が混ざると追えません。

工夫は4つです。

1つ目は、ロットごとに置き場を分けることです。同じ棚でも、区切って置きます。

2つ目は、補充のときに混ぜないことです。古いロットの上に新しいロットを足さない。

3つ目は、表示を残すことです。外装を開けても、ロット番号が分かる形に。

4つ目は、端数の扱いを決めることです。残った数個をどうするか。

4つ目がいちばん混ざります。箱から出した端数を別のかごにまとめると、そこでロットが混ざります。端数も、ロットごとに分けて置いてください。分けられないなら、そのかごは「ロット不明」として扱います。

期限のある品目

食品、薬品、化学品など、期限のある品目ではロット管理が期限の管理とつながります。

見るのは4つです。

1つ目は、期限の日付です。消費期限、使用期限、有効期限。

2つ目は、出荷できる残りの期間です。客先が受け取る条件があることがあります。

3つ目は、期限が近いものの一覧です。

4つ目は、期限切れの処分です。

2つ目を知らずに出荷すると、返品になります。「残り3分の1以上」といった条件が取引先で決まっていることがあります。受け入れの条件を確かめて、出荷の前に見る仕組みにしてください。

問い合わせが来たときの動き

不具合の連絡が来たら、その日のうちに範囲を確かめます。

動きは4段です。

1つ目は、ロット番号を聞くことです。客先が持っている現物から。

2つ目は、そのロットの入荷を確かめることです。いくつ入って、どこに置いたか。

3つ目は、出荷先を洗い出すことです。同じロットをどこへ出したか。

4つ目は、在庫を止めることです。まだ残っている分を出荷できないようにします。

問い合わせが来たら1ロット番号客先の現物から聞く2入荷の確認いくつ入りどこへ置いたか3出荷先同じロットの行き先4在庫の停止先にやってもよい
ロット番号・入荷の確認・出荷先の洗い出し・在庫の停止という4段のフロー

4つ目を先にやってもよいくらいです。調べているあいだに出荷されると、被害が広がります。連絡を受けた時点で、そのロットを引当てできない状態にしてください。

始め方

全品でロット管理を始めるのは大変です。絞って始めます。

絞り方は4つです。

1つ目は、法令で求められる品目からです。業種によっては記録が義務になります。

2つ目は、取引先から求められている品目からです。

3つ目は、不具合が起きたときの影響が大きい品目からです。

4つ目は、期限のある品目からです。

1つ目と2つ目は選べません。まずここを確かめてください。自分の扱う品目に記録の義務があるかどうかは、所轄の行政の窓口と取引先に確かめます。義務のない品目は、3つ目と4つ目から順に広げていきます。

記録の残し方

ロットの記録は、あとから引ける形でないと意味がありません。

決めるのは4つです。

1つ目は、どこに記録するかです。紙、表計算、システム。

2つ目は、引き方です。ロット番号から出荷先を引けるか。

3つ目は、保存の期間です。品目と契約によります。

4つ目は、誰が引けるかです。問い合わせが来たときに動ける人。

2つ目を試しておいてください。記録は取っているが、いざ引こうとすると1日かかるという状態があります。年に1回、実際に「このロットの出荷先を出す」という練習をすると、引けるかどうかが分かります。

誰が引けるかを決めておく

問い合わせは、決まった時間に来るとは限りません。引ける人を増やしておきます。

決めるのは4つです。

1つ目は、引ける人です。最低でも2人。1人だと休みの日に動けません。

2つ目は、引き方の手順です。どこを見て、どう絞るか。1枚に書きます。

3つ目は、連絡の順番です。誰が客先に答えるか。

4つ目は、止める権限です。在庫を出荷できないようにする操作を、誰ができるか。

4つの決めごと決めること中身引ける人最低2人手順どこを見てどう絞るか連絡の順番誰が客先に答えるか止める権限現場が持てる形に
引ける人・手順・連絡の順番・止める権限という4つの決めごとを並べた表

4つ目を現場が持てる形にしてください。上長の承認を待っているあいだに出荷されると、被害が広がります。「まず止める、判断は後」という順番を、あらかじめ認めておいてください。

記録の様式に入れる欄

ロットの記録は、既にある帳票に欄を足すのがいちばん続きます。

足すのは4つです。

1つ目は、入荷の記録にロット番号の欄です。

2つ目は、棚の表示にロット番号です。

3つ目は、出荷の伝票にロット番号の欄です。

4つ目は、加工の記録に使った材料のロット番号です。

3つ目を伝票に入れてください。出荷の伝票は必ず作るので、そこに欄があれば書かれます。別の紙を増やすと、書かれなくなります。控えを保存する仕組みがあるなら、それがそのままロットの記録になります。

バーコードを使うと手間が減る

ロット管理の手間は、読み取りの仕組みで大きく変わります。

考えるのは4つです。

1つ目は、仕入先のラベルを使えるかです。既にバーコードが付いていることがあります。

2つ目は、自社でラベルを貼るかです。入荷のときに貼ります。

3つ目は、読む場面です。入荷、棚入れ、ピッキング、出荷。

4つ目は、読めなかったときの手順です。ラベルが汚れる、剥がれる。

4つ目を決めておいてください。読めないときに手入力を許すか、止めるかです。手入力を許すと入力ミスが入り、止めると作業が進みません。手入力した記録に印を付ける形にすると、あとで確かめられます。

仕入先に求めること

ロットを追える形にするには、仕入先の協力が要ります。

求めるのは4つです。

1つ目は、ロット番号の表示です。外装と、できれば個々の物に。

2つ目は、納品書への記載です。どのロットを何個納めたか。

3つ目は、1回の納品でロットを混ぜないことです。混ぜる場合は、それぞれの数量を書いてもらいます。

4つ目は、問い合わせへの対応です。こちらからロット番号で聞いたときに答えてもらえるか。

2つ目を頼むところから始めてください。納品書に書かれていれば、入荷の記録がそのまま作れます。現物のラベルを見て手で書き写す手間が消えます。取引を始めるときに頼んでおくと、あとから頼むより通ります。

まとめ

ロット管理は、どこから来て、どこへ行ったかを追うための仕組みです。

  • 先入れ先出しとは目的が違う。両方が要ることが多い
  • 記録を取るのは、入荷・保管・出荷の3か所。出荷が抜けると全部が無駄になる
  • 番号は仕入先のものをそのまま使うところから始める
  • 端数をまとめたかごで混ざる。分けられないなら「ロット不明」として扱う
  • 問い合わせが来たら、調べる前に在庫を止める

業種によっては法令で記録が求められます。自分の扱う品目に何が適用されるかは、所轄の行政の窓口と取引先に確認してください。

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ロットと期限の管理の様式をまとめて整えるなら、在庫板が近道です。

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よくある質問

Q. 先入れ先出しをやっていれば、ロット管理も要りませんか。 A. 別のものです。先入れ先出しは古い物から出すため、ロット管理はどこへ出したかを追うためにあります。不具合の連絡が来たときに効くのはロット管理です。

Q. 出荷のときにロット番号を控えるのが手間です。 A. 手間ですが、ここが抜けると全部が無駄になります。バーコードを読む形にすると手間が減ります。手書きなら、伝票に欄を作って番号だけ書く形にしてください。

Q. ロット番号は自社で付け直しますか。 A. まず仕入先の番号をそのまま記録するところから始めてください。付け直すと貼り替えの作業が増えます。形式がばらばらで困るようになってから、自社の番号を検討します。

Q. 端数が混ざってしまいます。 A. 端数もロットごとに分けて置いてください。別のかごにまとめると、そこで混ざります。分けられない場合は、そのかごを「ロット不明」として扱い、追える品目とは別にします。

Q. 期限のある品目で気をつけることは。 A. 出荷できる残りの期間です。「残り3分の1以上」といった条件が取引先で決まっていることがあります。受け入れの条件を確かめて、出荷の前に見る仕組みにしてください。

Q. 不具合の連絡が来ました。何から始めますか。 A. 在庫を止めてください。調べているあいだに出荷されると被害が広がります。そのロットを引当てできない状態にしてから、出荷先を洗い出します。

Q. 全品でロット管理を始めるべきですか。 A. 絞って始めてください。法令で求められる品目、取引先から求められている品目が先です。義務のないものは、影響の大きいものと期限のあるものから広げます。

Q. 記録はどこに残しますか。 A. 引ける形なら紙でも構いません。ただしロット番号から出荷先を引けることが条件です。品番順に並んでいるだけの記録では、問い合わせに答えられません。

Q. 引けるかどうか、どう確かめますか。 A. 年に1回、実際に「このロットの出荷先を出す」という練習をしてください。記録は取っているが、引くのに1日かかるという状態があります。やってみないと分かりません。

Q. 保存期間はどのくらいですか。 A. 品目と契約によります。法令で定められている品目もあります。所轄の行政の窓口と取引先に確かめてください。迷ったら長いほうに合わせます。

Q. 社内で加工した物のロットはどうしますか。 A. 使った材料のロットと、できた製品のロットをつなぐ記録が要ります。加工の記録に、使った材料のロット番号を書く形にしてください。ここが切れると、材料までさかのぼれません。

Q. システムが無いとできませんか。 A. できます。紙と表計算でも追えます。大事なのは3か所で記録を取ることと、引ける形にしておくことです。件数が増えて手作業が回らなくなってから、仕組みを考えてください。

Q. 問い合わせに答えられる人が1人しかいません。 A. 最低2人にしてください。1人だと休みの日に動けません。引き方の手順を1枚に書いて、もう1人に渡すところから始められます。

Q. 記録の紙を増やすと書かれません。 A. 既にある帳票に欄を足してください。出荷の伝票にロット番号の欄を入れるのがいちばん続きます。必ず作る帳票なので、書く機会が確実にあります。

Q. バーコードの仕組みを入れるべきですか。 A. 件数が多いなら効きます。入荷、棚入れ、ピッキング、出荷のどこで読むかを決めてから選んでください。読めなかったときの手順も、あわせて決めます。

Q. ラベルが汚れて読めません。 A. 手入力を許すかどうかを決めてください。許すなら、手入力した記録に印を付ける形にします。あとでまとめて確かめられます。

Q. 仕入先に何を頼めばよいですか。 A. 納品書へのロット番号の記載です。書かれていれば、入荷の記録がそのまま作れます。現物を見て書き写す手間が消えます。取引を始めるときに頼むと通りやすくなります。