不良品の隔離|置き場と表示、戻さない仕組み
目次
不良品を見つけたとき、どこに置くか。置き場が決まっていないと、良品の棚に戻ります。戻った不良品は、次の出荷でそのまま客先へ行きます。誤出荷の原因のうち、いちばん静かに起きるのがこの形です。
この記事では、不良品の隔離を、戻ってしまう理由、置き場の作り方、表示と記録、処分か再生かの判断、在庫の数との関係の順に整理します。取引先との取り決めがある場合は、その内容が優先されます。処分の方法は品目と契約で変わるので、社内の品質の担当と取引先に確かめてください。
結論:置き場と表示が無いと、必ず良品に戻る
不良品は、見つけた瞬間から良品と混ざる危険があります。
混ざる理由は3つです。
1つ目は、置き場が無いことです。とりあえず作業台の脇に置く。次の人が「片づいていない」と思って棚に戻します。
2つ目は、見た目で分からないことです。キズや汚れが小さいと、並べてしまえば区別できません。
3つ目は、記録が無いことです。誰も不良品があることを知らないので、探されません。
3つとも、仕組みで防げます。注意や教育ではなく、置き場・表示・記録の3点をそろえるだけで、良品に戻る経路が消えます。
置き場の作り方
隔離の置き場は、良品から物理的に離すことが基本です。
決めるのは4つです。
1つ目は、場所です。良品の棚から離れた一角。通路の途中や、出荷の動線の上に作らないこと。
2つ目は、区切りです。棚、かご、テープの線。見ただけで別の場所だと分かる形にします。
3つ目は、広さです。狭すぎると、あふれて外に置かれます。
4つ目は、鍵や制限です。勝手に持ち出せないようにするかどうか。
3つ目が見落とされます。月に数個の想定で作った置き場に、不具合が続いた月には数十個入ります。あふれた分が床に置かれ、そこから良品に戻ります。あふれたときの二次の置き場まで決めておいてください。
表示の作り方
置き場があっても、現物に表示が無いと移動した先で分からなくなります。
貼るのは4つです。
1つ目は、不良であることです。赤い札、赤いテープ。色を1色に決めます。
2つ目は、見つけた日です。古いものが残り続けるのを防ぎます。
3つ目は、見つけた人と工程です。誰に聞けばよいかが分かります。
4つ目は、不良の内容です。キズ、寸法、数量違い、汚れ。
1つ目の色を統一してください。赤、黄、ピンクが混ざっていると、どれが不良品か分かりません。現場で使う札は1種類に絞ります。予備を置き場のそばに置いておくと、書かれるようになります。
記録に残すこと
隔離した事実は、紙かシステムに残します。
書くのは5つです。
1つ目は、日付です。
2つ目は、品番と数量です。
3つ目は、不良の内容です。
4つ目は、見つけた工程です。入荷検品、ピッキング、出荷検品。
5つ目は、その後の扱いです。返品、処分、再生、保留。
4つ目を書くと、原因の場所が分かります。入荷検品で見つかるなら仕入先の問題、出荷検品で見つかるなら自社の工程の問題です。集計すると、どこを直せばよいかが見えます。
処分か再生かを決める
隔離した物は、いつか決着をつけます。置きっぱなしにしないことです。
判断は4つに分かれます。
1つ目は、仕入先へ返すことです。入荷の時点の不良。
2つ目は、社内で直すことです。再生や手直しができる場合。
3つ目は、処分することです。直せない場合。
4つ目は、格下げして使うことです。検討品、社内用、部品取り。
判断する人と期限を決めてください。「あとで見る」のまま半年たつと、置き場が倉庫になります。月に1回、隔離の一覧を見て決める日を作ると溜まりません。
在庫の数との関係
隔離した物を、在庫として数えるかどうかは決めておく必要があります。
考えるのは4つです。
1つ目は、システム上の扱いです。良品在庫から外すか、別の状態にするか。
2つ目は、棚卸での扱いです。数えるのか、別に数えるのか。
3つ目は、引当ての可否です。受注に引き当てられないようにします。
4つ目は、資産としての扱いです。評価をどうするか。
3つ目が出荷事故に直結します。システム上、良品在庫のままだと受注に引き当てられて、出荷指示が出ます。隔離したら、その場でシステムの状態も変える。現物と情報をセットで動かすことが原則です。
見つけた人が言いやすくする
不良を見つけても、言わずに流すことがあります。言いやすくする工夫が要ります。
工夫は4つです。
1つ目は、責めないことです。見つけた人ではなく、作った人でもなく、仕組みの話として扱います。
2つ目は、手間を減らすことです。札を書いて置き場に運ぶだけ。申請書を書かせない。
3つ目は、迷ったら出してよいと決めることです。不良かどうか分からないものも、いったん隔離してよい。
4つ目は、その後を伝えることです。「あの件はこうなりました」と返します。
3つ目が大事です。「不良と決まってから出す」という運用にすると、判断できない人は流します。迷ったら出す、判断は後で誰かがする。この形にしてください。
集計して原因に返す
隔離の記録は、溜めるとどこに手を打つかが見えます。
見るのは4つです。
1つ目は、品番ごとの件数です。特定の品番に集中していないか。
2つ目は、仕入先ごとの件数です。
3つ目は、見つけた工程です。どこで見つかっているか。
4つ目は、不良の内容です。キズが多いのか、数量違いが多いのか。
2つ目を仕入先に伝えてください。件数と内容を数字で示すと、改善の話ができます。「よく不良が出ます」では動きませんが、「3か月で12件、内容はすべて梱包の潰れ」なら、梱包の話になります。
棚卸のときに突き合わせる
棚卸は、隔離品を確かめるいちばん良い機会です。
やることは4つです。
1つ目は、隔離の置き場も数えることです。忘れられがちな場所です。
2つ目は、記録と現物を突き合わせることです。記録にあって現物が無い、逆もあります。
3つ目は、古いものを決着させることです。日付の古い順に。
4つ目は、置き場の広さを見直すことです。溜まっているなら、決着の頻度が足りていません。
2つ目でずれが出たら、経路を探してください。記録にあるのに現物が無いなら、誰かが良品に戻したか、処分したのに記録が消えていません。どちらも同じ仕組みの穴から出ます。
入荷のときに見つける
不良品は、入ってきた時点で止めるのがいちばん安く済みます。
やることは4つです。
1つ目は、入荷検品の項目に不良の確認を入れることです。数だけでなく、状態も見ます。
2つ目は、外装の潰れを見ることです。中身が無事でも、輸送中の扱いが分かります。
3つ目は、その場で写真を撮ることです。仕入先に伝えるときの材料になります。
4つ目は、受け入れを保留する判断を決めておくことです。誰が決めるか。
4つ目が無いと、現場が受け入れてしまいます。「受け取らないでよい」と言える人が決まっていないと、荷降ろしの場で断るのは難しいからです。保留の置き場と、連絡する相手を決めておいてください。
棚の作りで混ざりを防ぐ
置き場と表示のほかに、棚の作りでも混ざりを減らせます。
工夫は4つです。
1つ目は、良品の棚と離すことです。動線の上に置かない。
2つ目は、色を変えることです。かごや棚板の色を、良品と変えます。
3つ目は、高さを変えることです。手が届きにくい高さにすると、無意識に取られません。
4つ目は、看板を大きくすることです。遠くからでも分かる大きさに。
2つ目がいちばん効きます。赤いかごは不良品と決めておくと、他の場所に置かれても分かります。台車に載って移動しても、色で気づけます。札は剥がれますが、色は残ります。
取引先との取り決めを確かめる
不良品の扱いは、取引先との契約で決まっていることがあります。
確かめるのは4つです。
1つ目は、返品できる期間です。入荷から何日以内か。
2つ目は、返品の方法です。送り返すのか、引き取りに来るのか。
3つ目は、処分してよいかです。勝手に捨てられない品目があります。
4つ目は、費用の負担です。送料、処分の費用。
3つ目に注意してください。支給された材料や、金型、預かり品は、勝手に処分できません。不良になっても、報告して指示を待つ形になります。品目ごとに扱いが違うので、契約書を確かめてから決着させてください。
新しく入った人に伝える3つ
隔離の仕組みは、知らない人には見えません。入ったときに伝えます。
伝えるのは3つです。
1つ目は、置き場の場所です。実際に連れて行って見せます。
2つ目は、札の書き方です。書いた見本を1枚貼っておきます。
3つ目は、迷ったら出してよいことです。判断しなくてよいと伝えます。
3つ目を言葉にしてください。新しく入った人ほど、「自分の判断で不良と決めてよいのか」と迷います。迷ったら出す、判断は後で誰かがする。この一言で、流されるものが減ります。
まとめ
不良品の隔離は、置き場・表示・記録の3点で決まります。
- 良品に戻るのは、置き場が無い・見た目で分からない・記録が無いから
- 置き場は良品から離し、あふれたときの二次の置き場まで決める
- 札の色は1色に絞る。日付と見つけた人と内容を書く
- 隔離したら、その場でシステムの状態も変える。引き当てられると出荷指示が出る
- 迷ったら出してよいと決める。判断は後で誰かがする
取引先との取り決めがある場合は、その内容が優先されます。処分の方法は品目と契約で変わるので、社内の品質の担当と取引先に確かめてください。
よくある質問
Q. 不良品の置き場は、どこに作りますか。 A. 良品の棚から離れた一角です。通路の途中や、出荷の動線の上に作らないでください。そこに置くと、作業のたびに触れることになり、良品に紛れます。
Q. 札の色は決めたほうがよいですか。 A. 1色に絞ってください。赤、黄、ピンクが混ざっていると、どれが不良品か分かりません。予備の札を置き場のそばに置いておくと、書かれるようになります。
Q. 隔離した物は在庫に数えますか。 A. 社内で決めてください。ただし受注に引き当てられない状態にすることは必須です。良品在庫のままだと、出荷指示が出て客先へ行きます。
Q. 不良かどうか判断できません。 A. 迷ったら隔離してください。「不良と決まってから出す」という運用にすると、判断できない人は流します。判断は後で品質の担当がすれば足ります。
Q. 隔離品が溜まっていきます。 A. 決着させる日を決めてください。月に1回、隔離の一覧を見て、返品・再生・処分・格下げのどれかを決めます。判断する人と期限を決めないと、置き場が倉庫になります。
Q. 仕入先に返す場合、何を伝えますか。 A. 日付、品番、数量、不良の内容、写真です。件数を集計して伝えると改善の話になります。「よく不良が出ます」では動きませんが、数字と内容があれば動きます。
Q. 見つけた人を責めないようにするには。 A. 仕組みの話として扱ってください。手間を減らすことも効きます。札を書いて置き場に運ぶだけにして、申請書を書かせないでください。
Q. 処分するときに記録は要りますか。 A. 残してください。数量、日付、処分の方法、承認した人。在庫の数が減る理由になるので、棚卸で差異が出たときの説明にもなります。
Q. 隔離の記録は、何を集計しますか。 A. 品番ごと、仕入先ごと、見つけた工程ごと、不良の内容ごとです。見つけた工程を見ると、原因の場所が分かります。入荷検品なら仕入先、出荷検品なら自社の工程です。
Q. 棚卸のとき、隔離品はどう扱いますか。 A. 置き場も数えてください。忘れられがちな場所です。記録と現物を突き合わせて、ずれがあれば経路を探します。古いものを決着させる機会にもなります。
Q. 置き場があふれました。 A. 二次の置き場を使い、決着の頻度を上げてください。あふれた分が床に置かれると、そこから良品に戻ります。広さを見直すか、決着を早める必要があります。
Q. 客先から返ってきた品も同じ置き場ですか。 A. 分けたほうが管理しやすくなります。返品は経緯の確認が要り、良品として戻せることもあります。返品の置き場と、社内で見つけた不良の置き場を分けてください。
Q. 入荷の場で受け取りを断れません。 A. 断ってよい人と、保留の置き場を決めておいてください。現場の判断だけでは断れません。保留にして連絡する形なら、荷降ろしの場でも動けます。
Q. 札が剥がれてしまいます。 A. かごや棚板の色を変えてください。赤いかごは不良品と決めておけば、他の場所に置かれても分かります。台車で移動しても、色は残ります。
Q. 支給された材料が不良でした。処分できますか。 A. 勝手に処分できないことがあります。支給品や預かり品は、報告して指示を待つ形になります。契約書で扱いを確かめてから決着させてください。
Q. 返品できる期間を過ぎてしまいました。 A. 取引先に相談してください。過ぎた理由も伝えます。期間を管理する仕組みが無いと繰り返します。隔離の記録に、返品の期限を書く欄を作ってください。
Q. 新しい人に何を伝えますか。 A. 置き場の場所、札の書き方、迷ったら出してよいこと。3つだけです。実際に置き場へ連れて行って、書いた見本を見せてください。5分で終わります。