在庫を合わせる実務2026.05.14 公開OK-05

不良品の隔離|置き場と表示、戻さない仕組み

目次

不良品を見つけたとき、どこに置くか。置き場が決まっていないと、良品の棚に戻ります。戻った不良品は、次の出荷でそのまま客先へ行きます。誤出荷の原因のうち、いちばん静かに起きるのがこの形です。

この記事では、不良品の隔離を、戻ってしまう理由置き場の作り方表示と記録処分か再生かの判断在庫の数との関係の順に整理します。取引先との取り決めがある場合は、その内容が優先されます。処分の方法は品目と契約で変わるので、社内の品質の担当と取引先に確かめてください。

不良品の隔離の様式そのものを探している場合は、在庫板にそろっています。

結論:置き場と表示が無いと、必ず良品に戻る

不良品は、見つけた瞬間から良品と混ざる危険があります。

混ざる理由は3つです。

1つ目は、置き場が無いことです。とりあえず作業台の脇に置く。次の人が「片づいていない」と思って棚に戻します。

2つ目は、見た目で分からないことです。キズや汚れが小さいと、並べてしまえば区別できません。

3つ目は、記録が無いことです。誰も不良品があることを知らないので、探されません。

良品に戻る3つの理由置き場が無いとりあえず作業台の脇へ見た目で分からない並べると区別できない記録が無い誰も探さない
置き場が無い・見た目で分からない・記録が無いという3つの戻る理由を並べた層の図

3つとも、仕組みで防げます。注意や教育ではなく、置き場・表示・記録の3点をそろえるだけで、良品に戻る経路が消えます。

置き場の作り方

隔離の置き場は、良品から物理的に離すことが基本です。

決めるのは4つです。

1つ目は、場所です。良品の棚から離れた一角。通路の途中や、出荷の動線の上に作らないこと。

2つ目は、区切りです。棚、かご、テープの線。見ただけで別の場所だと分かる形にします。

3つ目は、広さです。狭すぎると、あふれて外に置かれます。

4つ目は、鍵や制限です。勝手に持ち出せないようにするかどうか。

置き場の4つの決めごと決めること中身場所良品の棚から離す区切り見て別の場所と分かる形広さあふれたときの二次の置き場も制限勝手に持ち出せないように
場所・区切り・広さ・制限という4つの置き場の決めごとを並べた表

3つ目が見落とされます。月に数個の想定で作った置き場に、不具合が続いた月には数十個入ります。あふれた分が床に置かれ、そこから良品に戻ります。あふれたときの二次の置き場まで決めておいてください。

表示の作り方

置き場があっても、現物に表示が無いと移動した先で分からなくなります。

貼るのは4つです。

1つ目は、不良であることです。赤い札、赤いテープ。色を1色に決めます。

2つ目は、見つけた日です。古いものが残り続けるのを防ぎます。

3つ目は、見つけた人と工程です。誰に聞けばよいかが分かります。

4つ目は、不良の内容です。キズ、寸法、数量違い、汚れ。

札に書く4つ書くこと中身不良の表示色を1色に決める日付古いものが残るのを防ぐ見つけた人誰に聞けばよいか内容キズ・寸法・数量違い
不良の表示・日付・見つけた人・内容という4つの記載事項を並べた表

1つ目の色を統一してください。赤、黄、ピンクが混ざっていると、どれが不良品か分かりません。現場で使う札は1種類に絞ります。予備を置き場のそばに置いておくと、書かれるようになります。

記録に残すこと

隔離した事実は、紙かシステムに残します。

書くのは5つです。

1つ目は、日付です。

2つ目は、品番と数量です。

3つ目は、不良の内容です。

4つ目は、見つけた工程です。入荷検品、ピッキング、出荷検品。

5つ目は、その後の扱いです。返品、処分、再生、保留。

記録に書く5つ不良品の隔離記録日付見つけた日品番品番と数量内容不良の中身工程入荷か出荷か扱い返品・処分など工程を書くと原因の場所が分かる入荷なら仕入先、出荷なら自社
日付・品番と数量・内容・見つけた工程・扱いという5つの記載事項を並べた表
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不良品の隔離と在庫の記録をまとめて整えるなら、在庫板の様式が近道です。

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4つ目を書くと、原因の場所が分かります。入荷検品で見つかるなら仕入先の問題、出荷検品で見つかるなら自社の工程の問題です。集計すると、どこを直せばよいかが見えます。

処分か再生かを決める

隔離した物は、いつか決着をつけます。置きっぱなしにしないことです。

判断は4つに分かれます。

1つ目は、仕入先へ返すことです。入荷の時点の不良。

2つ目は、社内で直すことです。再生や手直しができる場合。

3つ目は、処分することです。直せない場合。

4つ目は、格下げして使うことです。検討品、社内用、部品取り。

決着のさせ方は4つ返品入荷の時点の不良再生社内で直せる場合処分直せない場合格下げ検討品や部品取り
返品・再生・処分・格下げという4つの決着のさせ方を並べた層の図

判断する人と期限を決めてください。「あとで見る」のまま半年たつと、置き場が倉庫になります。月に1回、隔離の一覧を見て決める日を作ると溜まりません。

在庫の数との関係

隔離した物を、在庫として数えるかどうかは決めておく必要があります。

考えるのは4つです。

1つ目は、システム上の扱いです。良品在庫から外すか、別の状態にするか。

2つ目は、棚卸での扱いです。数えるのか、別に数えるのか。

3つ目は、引当ての可否です。受注に引き当てられないようにします。

4つ目は、資産としての扱いです。評価をどうするか。

3つ目が出荷事故に直結します。システム上、良品在庫のままだと受注に引き当てられて、出荷指示が出ます。隔離したら、その場でシステムの状態も変える。現物と情報をセットで動かすことが原則です。

見つけた人が言いやすくする

不良を見つけても、言わずに流すことがあります。言いやすくする工夫が要ります。

工夫は4つです。

1つ目は、責めないことです。見つけた人ではなく、作った人でもなく、仕組みの話として扱います。

2つ目は、手間を減らすことです。札を書いて置き場に運ぶだけ。申請書を書かせない。

3つ目は、迷ったら出してよいと決めることです。不良かどうか分からないものも、いったん隔離してよい。

4つ目は、その後を伝えることです。「あの件はこうなりました」と返します。

3つ目が大事です。「不良と決まってから出す」という運用にすると、判断できない人は流します。迷ったら出す、判断は後で誰かがする。この形にしてください。

集計して原因に返す

隔離の記録は、溜めるとどこに手を打つかが見えます。

見るのは4つです。

1つ目は、品番ごとの件数です。特定の品番に集中していないか。

2つ目は、仕入先ごとの件数です。

3つ目は、見つけた工程です。どこで見つかっているか。

4つ目は、不良の内容です。キズが多いのか、数量違いが多いのか。

2つ目を仕入先に伝えてください。件数と内容を数字で示すと、改善の話ができます。「よく不良が出ます」では動きませんが、「3か月で12件、内容はすべて梱包の潰れ」なら、梱包の話になります。

棚卸のときに突き合わせる

棚卸は、隔離品を確かめるいちばん良い機会です。

やることは4つです。

1つ目は、隔離の置き場も数えることです。忘れられがちな場所です。

2つ目は、記録と現物を突き合わせることです。記録にあって現物が無い、逆もあります。

3つ目は、古いものを決着させることです。日付の古い順に。

4つ目は、置き場の広さを見直すことです。溜まっているなら、決着の頻度が足りていません。

2つ目でずれが出たら、経路を探してください。記録にあるのに現物が無いなら、誰かが良品に戻したか、処分したのに記録が消えていません。どちらも同じ仕組みの穴から出ます。

入荷のときに見つける

不良品は、入ってきた時点で止めるのがいちばん安く済みます。

やることは4つです。

1つ目は、入荷検品の項目に不良の確認を入れることです。数だけでなく、状態も見ます。

2つ目は、外装の潰れを見ることです。中身が無事でも、輸送中の扱いが分かります。

3つ目は、その場で写真を撮ることです。仕入先に伝えるときの材料になります。

4つ目は、受け入れを保留する判断を決めておくことです。誰が決めるか。

入荷のときの4つやること中身検品の項目数だけでなく状態も見る外装潰れから扱いが分かる写真仕入先に伝える材料保留の判断断ってよい人を決める
検品の項目・外装・写真・保留の判断という4つの入荷時の対応を並べた表

4つ目が無いと、現場が受け入れてしまいます。「受け取らないでよい」と言える人が決まっていないと、荷降ろしの場で断るのは難しいからです。保留の置き場と、連絡する相手を決めておいてください。

棚の作りで混ざりを防ぐ

置き場と表示のほかに、棚の作りでも混ざりを減らせます。

工夫は4つです。

1つ目は、良品の棚と離すことです。動線の上に置かない。

2つ目は、色を変えることです。かごや棚板の色を、良品と変えます。

3つ目は、高さを変えることです。手が届きにくい高さにすると、無意識に取られません。

4つ目は、看板を大きくすることです。遠くからでも分かる大きさに。

2つ目がいちばん効きます。赤いかごは不良品と決めておくと、他の場所に置かれても分かります。台車に載って移動しても、色で気づけます。札は剥がれますが、色は残ります。

取引先との取り決めを確かめる

不良品の扱いは、取引先との契約で決まっていることがあります。

確かめるのは4つです。

1つ目は、返品できる期間です。入荷から何日以内か。

2つ目は、返品の方法です。送り返すのか、引き取りに来るのか。

3つ目は、処分してよいかです。勝手に捨てられない品目があります。

4つ目は、費用の負担です。送料、処分の費用。

3つ目に注意してください。支給された材料や、金型、預かり品は、勝手に処分できません。不良になっても、報告して指示を待つ形になります。品目ごとに扱いが違うので、契約書を確かめてから決着させてください。

新しく入った人に伝える3つ

隔離の仕組みは、知らない人には見えません。入ったときに伝えます。

伝えるのは3つです。

1つ目は、置き場の場所です。実際に連れて行って見せます。

2つ目は、札の書き方です。書いた見本を1枚貼っておきます。

3つ目は、迷ったら出してよいことです。判断しなくてよいと伝えます。

3つ目を言葉にしてください。新しく入った人ほど、「自分の判断で不良と決めてよいのか」と迷います。迷ったら出す、判断は後で誰かがする。この一言で、流されるものが減ります。

まとめ

不良品の隔離は、置き場・表示・記録の3点で決まります。

  • 良品に戻るのは、置き場が無い・見た目で分からない・記録が無いから
  • 置き場は良品から離し、あふれたときの二次の置き場まで決める
  • 札の色は1色に絞る。日付と見つけた人と内容を書く
  • 隔離したら、その場でシステムの状態も変える。引き当てられると出荷指示が出る
  • 迷ったら出してよいと決める。判断は後で誰かがする

取引先との取り決めがある場合は、その内容が優先されます。処分の方法は品目と契約で変わるので、社内の品質の担当と取引先に確かめてください。

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不良品の隔離と在庫の記録をまとめて整えるなら、在庫板の様式が近道です。

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よくある質問

Q. 不良品の置き場は、どこに作りますか。 A. 良品の棚から離れた一角です。通路の途中や、出荷の動線の上に作らないでください。そこに置くと、作業のたびに触れることになり、良品に紛れます。

Q. 札の色は決めたほうがよいですか。 A. 1色に絞ってください。赤、黄、ピンクが混ざっていると、どれが不良品か分かりません。予備の札を置き場のそばに置いておくと、書かれるようになります。

Q. 隔離した物は在庫に数えますか。 A. 社内で決めてください。ただし受注に引き当てられない状態にすることは必須です。良品在庫のままだと、出荷指示が出て客先へ行きます。

Q. 不良かどうか判断できません。 A. 迷ったら隔離してください。「不良と決まってから出す」という運用にすると、判断できない人は流します。判断は後で品質の担当がすれば足ります。

Q. 隔離品が溜まっていきます。 A. 決着させる日を決めてください。月に1回、隔離の一覧を見て、返品・再生・処分・格下げのどれかを決めます。判断する人と期限を決めないと、置き場が倉庫になります。

Q. 仕入先に返す場合、何を伝えますか。 A. 日付、品番、数量、不良の内容、写真です。件数を集計して伝えると改善の話になります。「よく不良が出ます」では動きませんが、数字と内容があれば動きます。

Q. 見つけた人を責めないようにするには。 A. 仕組みの話として扱ってください。手間を減らすことも効きます。札を書いて置き場に運ぶだけにして、申請書を書かせないでください。

Q. 処分するときに記録は要りますか。 A. 残してください。数量、日付、処分の方法、承認した人。在庫の数が減る理由になるので、棚卸で差異が出たときの説明にもなります。

Q. 隔離の記録は、何を集計しますか。 A. 品番ごと、仕入先ごと、見つけた工程ごと、不良の内容ごとです。見つけた工程を見ると、原因の場所が分かります。入荷検品なら仕入先、出荷検品なら自社の工程です。

Q. 棚卸のとき、隔離品はどう扱いますか。 A. 置き場も数えてください。忘れられがちな場所です。記録と現物を突き合わせて、ずれがあれば経路を探します。古いものを決着させる機会にもなります。

Q. 置き場があふれました。 A. 二次の置き場を使い、決着の頻度を上げてください。あふれた分が床に置かれると、そこから良品に戻ります。広さを見直すか、決着を早める必要があります。

Q. 客先から返ってきた品も同じ置き場ですか。 A. 分けたほうが管理しやすくなります。返品は経緯の確認が要り、良品として戻せることもあります。返品の置き場と、社内で見つけた不良の置き場を分けてください。

Q. 入荷の場で受け取りを断れません。 A. 断ってよい人と、保留の置き場を決めておいてください。現場の判断だけでは断れません。保留にして連絡する形なら、荷降ろしの場でも動けます。

Q. 札が剥がれてしまいます。 A. かごや棚板の色を変えてください。赤いかごは不良品と決めておけば、他の場所に置かれても分かります。台車で移動しても、色は残ります。

Q. 支給された材料が不良でした。処分できますか。 A. 勝手に処分できないことがあります。支給品や預かり品は、報告して指示を待つ形になります。契約書で扱いを確かめてから決着させてください。

Q. 返品できる期間を過ぎてしまいました。 A. 取引先に相談してください。過ぎた理由も伝えます。期間を管理する仕組みが無いと繰り返します。隔離の記録に、返品の期限を書く欄を作ってください。

Q. 新しい人に何を伝えますか。 A. 置き場の場所、札の書き方、迷ったら出してよいこと。3つだけです。実際に置き場へ連れて行って、書いた見本を見せてください。5分で終わります。