出荷を間違えない実務2026.07.09 公開SA-07

緊急手配の記録|何度も起きる品番を見つける

目次

「今すぐ要る」という連絡が入る。その場をしのぐことに全力を使って、記録は残りません。同じ品番で何度も起きていても、誰も気づかないまま1年が過ぎます。緊急手配は、記録を取ると在庫の設定の問題が見えてきます。

この記事では、緊急手配を、記録を取る理由書く項目その場の動き方費用の扱い繰り返しを減らす方法の順に整理します。取引の条件や費用の負担は契約で決まります。社内の営業と、取引先に確かめてください。

緊急手配の記録の様式そのものを探している場合は、在庫板にそろっています。

結論:その場をしのぐだけでは、来月も起きる

緊急手配は、起きた原因が残ったままだと繰り返します。

原因は3つに分かれます。

1つ目は、在庫の設定です。安全在庫が少ない、発注点が低い。

2つ目は、需要の読み違いです。急に増えた、季節の波を見ていない。

3つ目は、情報の遅れです。注文の連絡が遅い、予定が伝わっていない。

原因は3つ在庫の設定安全在庫と発注点需要の読み違い急に増えた、季節の波情報の遅れ注文や予定が伝わらない
在庫の設定・需要の読み違い・情報の遅れという3つの原因を並べた層の図

1つ目は自社で直せます。記録を取って、どの品番で何回起きたかを数えると、設定を直す品番が決まります。数えていないと、「よく起きる」という感覚のまま何も変わりません。

記録を取る理由

その場では、記録を取る余裕がありません。それでも取る理由があります。

理由は4つです。

1つ目は、繰り返しを見つけるためです。同じ品番、同じ客先。

2つ目は、費用を把握するためです。急便、割増、残業。

3つ目は、原因に手を打つためです。

4つ目は、次に同じことが起きたときに速く動くためです。前回どうしたかが分かります。

記録を取る4つの理由理由中身繰り返し同じ品番と客先を見つける費用急便・割増・残業原因設定を直す品番が決まる次への備え前回どうしたかが分かる
繰り返し・費用・原因・次への備えという4つの理由を並べた表

2つ目が経営に効きます。緊急の手配には必ず追加の費用がかかります。年間でいくら使っているかを出すと、在庫を増やす判断の材料になります。

書く項目

その場で書けるよう、項目を絞ります。

書くのは5つです。

1つ目は、日付と時刻です。連絡を受けた時刻。

2つ目は、品番と数量です。

3つ目は、なぜ緊急かです。客先の都合、在庫切れ、破損。

4つ目は、どう手配したかです。在庫から、他の拠点から、仕入先から、急便で。

5つ目は、かかった費用です。分かる範囲で。

書く5つ緊急手配の記録日時連絡を受けた時刻品番品番と数量理由客先都合か欠品か手配在庫・他拠点・急便費用分かる範囲で理由を書かないと原因が分からない選択式にすると、その場でも書ける
日時・品番と数量・理由・手配の方法・費用という5つの記載事項を並べた表

3つ目を必ず書いてください。「客先が急に言ってきた」のか「うちの在庫が切れていた」のかで、手を打つ場所がまったく違います。理由を書かないと、集計しても原因が分かりません。

その場の動き方

緊急の連絡を受けたら、確かめる順番があります。

順番は4段です。

1つ目は、いつまでに要るかを確かめることです。今日中か、明日の朝か。「急ぎ」の中身を数字にします。

2つ目は、自社の在庫を探すことです。別の棚、別の拠点。

3つ目は、仕入先に聞くことです。在庫があるか、いつ出せるか。

4つ目は、代替品を検討することです。

その場の4段1期限の確認「急ぎ」の中身を数字2自社の在庫別の棚や拠3仕入先在庫といつ出せるか4代替品検討する
期限の確認・自社の在庫・仕入先・代替品という4段のフロー
点検表テンプレート
目録をひらく

この業務の記事をまとめて読む

緊急手配の記録と在庫の様式を探しているなら、在庫板のものが近道です。

この様式をひらく

1つ目を飛ばさないでください。「急ぎ」と言われると、全部を最短で手配しようとします。実は明日の朝で間に合うなら、通常の便で送れます。確かめるだけで、費用が大きく変わります。

費用の扱い

緊急の手配には、費用がかかります。誰が持つかを決めます。

決めるのは4つです。

1つ目は、急便の費用です。

2つ目は、仕入先への割増です。

3つ目は、残業や休日出勤の費用です。

4つ目は、誰が負担するかです。自社か、客先か、仕入先か。

4つ目を原因で分けてください。客先の都合なら客先、自社の在庫切れなら自社、仕入先の遅れなら仕入先。原因ごとに決めておくと、その場で話せます。決めていないと、全部が自社の持ち出しになります。

繰り返しを減らす

記録が溜まったら、手を打つ品番を決めます。

見るのは4つです。

1つ目は、品番ごとの件数です。

2つ目は、理由ごとの件数です。在庫切れが多いのか、客先の都合が多いのか。

3つ目は、費用の合計です。

4つ目は、客先ごとの件数です。

1つ目と2つ目を掛け合わせてください。「この品番で、在庫切れによる緊急手配が年8回」なら、安全在庫を増やす判断ができます。増やす費用と、緊急手配の費用を比べれば、答えが出ます。

在庫の設定を直す

在庫切れが原因なら、設定を直します。

直すのは4つです。

1つ目は、安全在庫の数です。

2つ目は、発注点です。残りいくつで発注するか。

3つ目は、発注の量です。

4つ目は、見直しの頻度です。

2つ目がずれていることが多くあります。調達に2週間かかる品目の発注点が、1週間分しかないという形です。調達期間と使う量から計算し直してください。1品番につき5分で済みます。

客先と話す

客先の都合で緊急が続く場合、話す材料が要ります。

持っていくのは4つです。

1つ目は、件数です。この1年で何回あったか。

2つ目は、かかった費用です。

3つ目は、通常の納期です。何日前に注文をもらえれば通常の便で出せるか。

4つ目は、提案です。在庫を持つ、定期の注文にする、予定を早めに共有してもらう。

4つ目に「在庫を持つ」を入れてください。客先の分をあらかじめ持っておく代わりに、費用の一部を負担してもらうという形があります。緊急の費用より安く済むことがあります。

社内の連絡の形を決める

緊急の連絡が、担当者1人に入る形だと止まります。

決めるのは4つです。

1つ目は、受ける窓口です。電話が誰に入るか。

2つ目は、不在のときの流れです。

3つ目は、判断する人です。費用をかけてよいかを決める人。

4つ目は、共有の方法です。関係する人に速く伝える形。

3つ目を現場が持てる形にしてください。一定の金額までは現場の判断で急便を使ってよい、と決めておくと、承認を待つ時間が消えます。金額の線を1つ引くだけです。

他の拠点との融通

複数の拠点がある会社では、拠点間で回すことが緊急手配の第一手になります。

決めるのは4つです。

1つ目は、在庫が見える形にすることです。他の拠点の在庫を確かめられるか。

2つ目は、頼む手順です。誰に、どう連絡するか。

3つ目は、送る費用の扱いです。どちらの拠点が持つか。

4つ目は、記録です。回した側の在庫が減ります。

拠点間で回す4つの決めごと決めること中身在庫が見える他の拠点を確かめられるか頼む手順誰にどう連絡するか費用どちらの拠点が持つか記録送る側が残す
在庫が見える・頼む手順・費用・記録という4つの決めごとを並べた表

4つ目が抜けやすい部分です。緊急のときほど、送り出した記録が残りません。回した拠点で在庫が合わなくなり、棚卸の差異として出てきます。送る側が記録を残す形を、手順に入れてください。

緊急の連絡をいつ受けるか

緊急の連絡は、時間帯を問わず入ります。受ける形を決めます。

決めるのは4つです。

1つ目は、受ける時間帯です。営業時間内か、時間外も受けるか。

2つ目は、時間外の連絡先です。携帯か、留守番電話か。

3つ目は、時間外に動ける範囲です。在庫を出せるか、出荷までできるか。

4つ目は、客先に伝えておくことです。

4つ目を先に伝えておいてください。「18時以降の連絡は翌日の対応になります」とあらかじめ伝えておくと、そのつもりで連絡が来ます。伝えていないと、夜に連絡して返事が無いことが不満になります。

起きた日の振り返りを1行残す

緊急手配が終わったあと、1行だけ振り返りを書きます。

書くのは4つです。

1つ目は、うまくいったことです。どの手が効いたか。

2つ目は、時間がかかったところです。

3つ目は、次に同じことが起きたらどうするかです。

4つ目は、直すべき仕組みです。

3つ目が次回の速さを決めます。「あの拠点に在庫があった」「あの仕入先は即日出せる」という情報が残ると、次は最初からそこへ当たれます。1行で足ります。記録の備考欄に書いてください。

予防に回す時間を作る

緊急手配の対応に追われると、予防に手が回りません。

作るのは4つです。

1つ目は、月に1回の集計の時間です。30分。

2つ目は、直す品番を1つ決める時間です。

3つ目は、直したあとに効果を見る時間です。

4つ目は、それを繰り返すことです。

1品番ずつで構いません。毎月1品番の設定を直せば、1年で12品番が改善します。全部を一度に直そうとすると着手できず、結果として何も変わりません。

出荷の優先順位を決めておく

緊急の案件が入ると、通常の出荷が押し出されます。優先の考え方を決めておきます。

決めるのは4つです。

1つ目は、当日の締め切りがあるものです。便の時刻が決まっている出荷。

2つ目は、緊急の案件です。

3つ目は、通常の出荷です。

4つ目は、押し出したものの扱いです。翌日に回すなら、客先に伝えます。

出荷の優先の考え方優先中身締め切り便の時刻が決まっている出荷緊急今日中に要るもの通常通常の出荷押し出したもの客先へ連絡する
締め切り・緊急・通常・押し出したものという4つの優先の考え方を並べた表

4つ目を忘れないでください。緊急に対応したせいで、別の客先の出荷が翌日になったことを誰も伝えないと、そちらで問題になります。押し出したものを一覧にして、連絡する担当を決めてください。

まとめ

緊急手配は、記録を取ると在庫の設定の問題が見えます。

  • 原因は、在庫の設定・需要の読み違い・情報の遅れの3つ。1つ目は自社で直せる
  • 書くのは、日時・品番と数量・理由・手配の方法・費用の5つ
  • 「急ぎ」の中身を数字にする。明日の朝で間に合うなら通常の便で送れる
  • 費用の負担は原因ごとに決める。決めていないと全部が自社の持ち出しになる
  • 調達期間と発注点がずれていることが多い。1品番5分で計算し直せる

取引の条件や費用の負担は契約で決まります。社内の営業と、取引先に確かめてください。

点検表テンプレート
目録をひらく

この業務の記事をまとめて読む

緊急手配の記録と在庫の様式をまとめて整えるなら、在庫板が近道です。

この様式をひらく

よくある質問

Q. その場で記録を取る余裕がありません。 A. 項目を5つに絞ってください。日時、品番と数量、理由、手配の方法、費用。その場で書けなければ、当日中に書く形にします。翌日になると理由が曖昧になります。

Q. 「急ぎ」と言われたら、最短で手配しますか。 A. まず「いつまでに要るか」を確かめてください。明日の朝で間に合うなら、通常の便で送れます。確かめるだけで費用が大きく変わります。

Q. 費用は誰が持ちますか。 A. 原因ごとに決めてください。客先の都合なら客先、自社の在庫切れなら自社、仕入先の遅れなら仕入先。決めていないと、全部が自社の持ち出しになります。

Q. 承認を待つあいだに時間が過ぎます。 A. 金額の線を引いてください。一定の金額までは現場の判断で急便を使ってよいと決めておけば、待つ時間が消えます。線を超えるものだけ上げる形にします。

Q. 同じ品番で何度も起きます。 A. 在庫の設定を直してください。発注点が調達期間に合っていないことが多くあります。調達に2週間かかるのに、発注点が1週間分しかないという形です。

Q. 安全在庫を増やす判断は、どうしますか。 A. 増やす費用と、緊急手配の費用を比べてください。「この品番で年8回、費用は合計いくら」という数字が出れば、判断できます。記録が無いと比べられません。

Q. 客先の都合で緊急が続きます。 A. 件数と費用、通常の納期、提案を持って話してください。「何日前に注文をもらえれば通常の便で出せる」という具体が効きます。在庫を持つ代わりに費用を分担する形もあります。

Q. 理由を書く欄は、選択式でもよいですか。 A. 選択式のほうが書かれます。客先の都合、在庫切れ、破損、仕入先の遅れ、その他。丸を付けるだけなら、その場でも書けます。その他だけ一言添えてもらいます。

Q. 他の拠点から回す場合の記録は。 A. 拠点間の移動として記録してください。回した側の在庫が減ります。記録が無いと、回した拠点で在庫が合わなくなります。緊急のときほど、ここが抜けます。

Q. 集計はどのくらいの頻度でやりますか。 A. 月に1回で足ります。品番ごと、理由ごとの件数を数えるだけです。30分で終わります。半年分たまると、手を打つ品番がはっきりします。

Q. 緊急手配が減ったかどうか、どう見ますか。 A. 件数と費用の両方を見てください。件数が減っても、1件あたりの費用が上がっていることがあります。2つの数字を並べると、状態が分かります。

Q. 仕入先に無理を言い続けています。 A. 件数を数えて、仕入先と話してください。継続的に無理を頼む関係は、いつか断られます。通常の発注を早める、定期の発注に変えるといった提案を一緒に出すと、関係が続きます。

Q. 他の拠点から回したとき、記録が残りません。 A. 送る側が記録を残す形を手順に入れてください。緊急のときほど抜けます。回した拠点で在庫が合わなくなり、棚卸の差異として出てきます。

Q. 時間外の緊急連絡をどうしますか。 A. 受ける時間帯と、時間外に動ける範囲を決めて、客先に先に伝えてください。「18時以降は翌日の対応」と伝えておけば、そのつもりで連絡が来ます。

Q. 振り返りに時間をかけられません。 A. 1行で足ります。「次に同じことが起きたらどうするか」だけ書いてください。「あの拠点に在庫があった」という情報が残ると、次は最初からそこへ当たれます。

Q. 予防に手が回りません。 A. 月に30分だけ取ってください。集計して、直す品番を1つ決める。毎月1品番でも、1年で12品番が改善します。全部を一度に直そうとすると、何も変わりません。

Q. 緊急手配の記録が続きません。 A. 選択式にして、項目を5つに絞ってください。その場で丸を付けるだけなら書けます。費用は分かる範囲で、あとから足す形でも構いません。

Q. 集計した結果を、誰に見せますか。 A. 在庫の設定を決める人と、経営です。年間の費用の合計は、在庫を増やす判断の材料になります。件数だけでは動きませんが、金額が出ると動きます。

Q. 緊急に対応すると、通常の出荷が遅れます。 A. 押し出したものを一覧にして、客先へ連絡してください。黙って翌日に回すと、そちらで問題になります。優先の考え方を決めておくと、その場で判断できます。