出荷を間違えない実務2026.07.02 公開SK-05

代替品の対応|出してよいかを決める3つの確認

目次

注文の品が無い。似た物ならある。そのまま出してよいか、聞いてから出すか。現場で迷う場面です。良かれと思って出した代替品が、客先で使えずに返品になることがあります。判断の基準を決めておくと、その場で止まりません。

この記事では、代替品を、判断が難しい理由確認する3つ誰が決めるか伝え方記録の残し方の順に整理します。仕様や品質に関わる判断は、社内の技術や品質の担当と取引先に確かめてください。

代替品の対応の様式そのものを探している場合は、在庫板にそろっています。

結論:現場だけで決めない。ただし止まらない形にする

代替品の判断は、現場が単独で決められるものではありません。

理由は3つです。

1つ目は、使える条件が分からないからです。寸法が同じでも、材質や耐久が違うことがあります。

2つ目は、客先の都合が分からないからです。検査の基準、図面の指定。

3つ目は、責任の問題になるからです。違う物を出した事実が残ります。

判断が難しい3つの理由使える条件寸法が同じでも材質が違う客先の都合検査の基準や図面の指定責任違う物を出した事実が残る
使える条件・客先の都合・責任という3つの難しさを並べた層の図

だからといって、毎回止めていると納期が守れません。「聞かないと出せない」だけでは、担当が不在の日に止まります。現場で判断できる範囲を決めて、そこから外れるものだけ上げる形にしてください。

確認する3つ

代替品を出してよいかは、3つを確かめれば判断できます。

1つ目は、仕様が同じかです。寸法、材質、性能。カタログの品番が違っても中身が同じことがあります。

2つ目は、客先が指定しているかです。図面や注文書で品番が指定されていれば、勝手に変えられません。

3つ目は、過去に出した実績があるかです。同じ客先に、同じ代替で出したことがあるか。

確かめる3つ確かめること中身仕様寸法・材質・性能客先の指定図面や注文書に品番があるか過去の実績同じ組み合わせで出したか
仕様・客先の指定・過去の実績という3つの確認事項を並べた表

3つ目がいちばん速い判断材料です。「前にも同じ組み合わせで出して問題なかった」という記録があれば、その場で出せます。記録が無いと、毎回確かめることになります。

現場で判断できる範囲を決める

止まらないようにするには、線を引きます。

線の引き方は4つです。

1つ目は、品目で決めることです。消耗品や汎用品は現場の判断で可。

2つ目は、客先で決めることです。指定の厳しい客先は必ず確認。

3つ目は、金額で決めることです。一定の金額を超えたら確認。

4つ目は、実績で決めることです。過去に出したことのある組み合わせは可。

現場で判断できる線線の引き方中身品目消耗品や汎用品は可客先指定の厳しい客先は確認金額一定を超えたら確認実績過去に出した組み合わせは可
品目・客先・金額・実績という4つの線の引き方を並べた表

4つ目を一覧にしておくと、いちばん使えます。「この品番は、この代替品で出してよい」という対応表を作ってください。1回確かめた結果が、次から現場で使えるようになります。

誰が決めるか

現場で決められない場合、誰に上げるかを決めます。

決めるのは4つです。

1つ目は、社内の判断をする人です。技術か品質の担当。

2つ目は、客先に確認する人です。営業。

3つ目は、不在のときの代わりです。

4つ目は、決まるまでの時間の目安です。

上げるときの4つ1社内の判断技術か品質の担当2客先への確営業が聞く3不在時の代わり決めておく4時間の目安1時間以内に返事
社内の判断・客先への確認・不在時の代わり・時間の目安という4つの決めごとを並べたフロー
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4つ目を伝えておいてください。現場は「いつ返事が来るか」が分からないと、待つか出すかを決められません。「1時間以内に返事する」と決まっていれば、その間に他の準備を進められます。

客先への伝え方

代替品を出すときは、出す前に伝えるのが原則です。

伝えるのは4つです。

1つ目は、注文の品が無いことです。理由も簡単に。

2つ目は、代わりに出す品です。品番と、違いの説明。

3つ目は、使えるかどうかの判断材料です。仕様の比較。

4つ目は、注文の品がいつ入るかです。待つ選択もあるので。

4つ目を必ず添えてください。「代替品でよいか」だけを聞くと、待つという選択肢が見えません。「代替品なら今日、注文の品なら3日後」と示すと、客先が選べます。

出したあとにやること

代替品を出したら、そこで終わりにしません。

やるのは4つです。

1つ目は、記録に残すことです。いつ、誰に、何の代わりに何を出したか。

2つ目は、対応表に足すことです。次から現場で判断できます。

3つ目は、注文の品を手配することです。次の注文に備えます。

4つ目は、なぜ無かったかを見ることです。在庫の設定が合っていない可能性があります。

出したあとの4つやること中身記録いつ誰に何の代わりに何を対応表次から現場で判断できる手配注文の品を取り寄せる原因なぜ無かったかを見る
記録・対応表・手配・原因という4つのやることを並べた表

4つ目が本体です。代替品を出す場面が続くなら、在庫の持ち方に問題があります。安全在庫の数が少ない、発注のタイミングが遅い。代替品の記録を溜めると、どの品番で起きているかが見えます。

記録に残すこと

代替品の記録は、あとから引ける形にします。

書くのは5つです。

1つ目は、日付と客先です。

2つ目は、注文の品番と数量です。

3つ目は、出した品番と数量です。

4つ目は、承認した人です。社内の誰が、客先の誰が。

5つ目は、その後の結果です。問題なく使えたか。

記録する5つ代替品の対応日付日付と客先注文品番と数量出した品品番と数量承認社内と客先の誰結果使えたかどうか結果まで書く。出したところで終わらな1か月後に1行足すだ
日付と客先・注文の品・出した品・承認・結果という5つの記載事項を並べた表

5つ目まで書いてください。出したところで記録が終わっていると、使えたかどうかが分かりません。次に同じ判断をするときの材料になりません。1か月後に1行足すだけで足ります。

対応表の作り方

判断を速くするのは、対応表です。

入れるのは4つです。

1つ目は、注文の品番です。

2つ目は、代替として出せる品番です。複数あれば全部。

3つ目は、条件です。「この客先を除く」「この用途のみ」。

4つ目は、確かめた日と確かめた人です。

3つ目が無いと使えません。「代替可」とだけ書いてあると、条件のある場合に間違えます。客先や用途の条件を1行添えてください。条件が複雑なら、その組み合わせは対応表に入れず、毎回確認にします。

断る判断も持っておく

代替品を出さないほうがよい場面もあります。断る判断を持っておきます。

断るのは4つです。

1つ目は、図面で品番が指定されている場合です。

2つ目は、安全に関わる部品の場合です。

3つ目は、検査の基準が決まっている場合です。

4つ目は、過去に問題が起きた組み合わせの場合です。

4つ目を記録から引けるようにしてください。一度問題が起きた組み合わせは、次も起きます。対応表に「不可」と書いて残すと、同じ間違いが防げます。うまくいった記録だけでなく、だめだった記録のほうが役に立ちます。

現場に置く1枚を作る

判断の基準は、現場で見られる形にしないと使われません。

作るのは4つです。

1つ目は、確かめる3つです。仕様、客先の指定、過去の実績。

2つ目は、現場で判断してよい範囲です。品目、客先、金額。

3つ目は、上げる相手と連絡先です。名前と内線。

4つ目は、返事が来るまでの目安です。

この4つをA4で1枚にして、出荷の場所に貼ってください。対応表は別に置きます。1枚を見れば、判断するか上げるかが決まる形にすると、迷う時間が消えます。

出荷の直前に気づく形にする

代替品の判断は、梱包の前に決めるのが理想です。

作るのは4つです。

1つ目は、ピッキングの時点で欠品が分かる形です。リストに無い物を探す時間をかけない。

2つ目は、欠品が出たらすぐ連絡する流れです。

3つ目は、他の品物の梱包を止めない形です。1品目の欠品で、出荷全部が止まらないように。

4つ目は、分納の判断です。あるものだけ先に出すか。

4つ目を決めておいてください。代替品を待つあいだ、他の品物も止まることがあります。客先が分納を受け入れるなら、先に出せます。客先ごとに分納の可否を台帳に書いておくと、その場で判断できます。

客先ごとの傾向を持っておく

代替品の受け入れ方は、客先によって大きく違います。

持っておくのは4つです。

1つ目は、代替を受け入れるかどうかです。原則として受ける客先と、受けない客先。

2つ目は、確認の相手です。現場の担当か、購買か、技術か。

3つ目は、返事が来るまでの時間です。その日のうちか、数日か。

4つ目は、過去の実績です。

3つ目を知っていると、判断が変わります。返事に3日かかる客先なら、確認を待つより注文の品を取り寄せたほうが速いことがあります。台帳に1行書いておくだけで、選び方が変わります。

代替品の在庫を持つかどうか

代替として使える品目を、あらかじめ持っておくという考え方があります。

見るのは4つです。

1つ目は、代替として使える範囲の広さです。多くの品番の代わりになるか。

2つ目は、過去に代替として出した回数です。

3つ目は、単価と保管の場所です。

4つ目は、注文の品の入りやすさです。すぐ入るなら、持つ必要は薄くなります。

1つ目が大きい品目は、持つ価値があります。1つで10品番の代わりになる汎用品なら、その1品目を持つだけで欠品の場面が減ります。代替品の記録を集計すると、そういう品目が見つかります。

まとめ

代替品の判断は、現場だけで決めず、ただし止まらない形にします。

  • 確かめるのは、仕様・客先の指定・過去の実績の3つ
  • 現場で判断できる範囲を線引きする。過去の実績を対応表にするのがいちばん効く
  • 客先には「代替品なら今日、注文の品なら3日後」と選べる形で伝える
  • 出したら記録し、対応表に足し、なぜ無かったかを見る
  • だめだった記録のほうが役に立つ。対応表に「不可」を残す

仕様や品質に関わる判断は、社内の技術や品質の担当と取引先に確かめてください。

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よくある質問

Q. 現場の判断で代替品を出してよいですか。 A. 範囲を決めてください。消耗品や汎用品、過去に実績のある組み合わせは現場の判断でよい、という形が使われます。図面で指定されているものは必ず確認します。

Q. 判断する人が不在です。 A. 代わりの人を決めておいてください。「聞かないと出せない」だけでは、不在の日に止まります。代わりの人と、決まるまでの時間の目安を決めます。

Q. 客先に何を伝えますか。 A. 注文の品が無いこと、代わりに出す品と違い、判断の材料、注文の品がいつ入るかの4つです。待つ選択肢を示さないと、客先が選べません。

Q. 対応表はどう作りますか。 A. 注文の品番、代替として出せる品番、条件、確かめた日と人です。条件を1行添えてください。「代替可」とだけ書くと、条件のある場合に間違えます。

Q. 代替品を出す場面が続きます。 A. 在庫の持ち方に問題があります。安全在庫の数が少ないか、発注のタイミングが遅いかです。代替品の記録を溜めると、どの品番で起きているかが見えます。

Q. 出したあとの記録は、どこまで書きますか。 A. 使えたかどうかまで書いてください。出したところで終わっていると、次の判断の材料になりません。1か月後に1行足すだけで足ります。

Q. 一度問題が起きた組み合わせがあります。 A. 対応表に「不可」と書いて残してください。だめだった記録のほうが役に立ちます。うまくいった記録だけを残すと、同じ間違いを繰り返します。

Q. 客先が急いでいて、確認を待てません。 A. 「代替品を出すが、使えなければ引き取る」という条件で出す形があります。その場合も記録に残し、客先の誰の了解を得たかを書いてください。口頭だけにしないことです。

Q. 断るべき場面はありますか。 A. 図面で品番が指定されている、安全に関わる部品、検査の基準が決まっている、過去に問題が起きた組み合わせ。この4つは断ってください。

Q. 代替品の価格はどうしますか。 A. 注文の品と違う場合、社内で扱いを決めてください。差額をもらうのか、同じ価格にするのか。その都度決めていると、請求の段階で揉めます。

Q. 仕入先に代替品を提案されました。 A. 社内で確かめてから受けてください。仕入先の「同等品」が、客先の基準に合うとは限りません。仕様の比較を出してもらって、技術か品質の担当が判断します。

Q. 記録は何年残しますか。 A. 社内で決めてください。対応表は消さずに持ち続けるほうが役に立ちます。過去の判断の積み重ねが、そのまま現場の判断の速さになります。

Q. 判断の基準を現場に置きたいのですが。 A. 確かめる3つ、判断してよい範囲、上げる相手と連絡先、返事の目安。この4つをA4で1枚にして出荷の場所に貼ってください。対応表は別に置きます。

Q. 代替品を待つあいだ、他の品物も止まります。 A. 分納の可否を客先ごとに決めておいてください。受け入れる客先なら、あるものを先に出せます。台帳に1行書いておくと、その場で判断できます。

Q. 客先によって受け入れ方が違います。 A. 台帳に4つ書いてください。代替を受けるか、確認の相手、返事が来るまでの時間、過去の実績。返事に3日かかる客先なら、確認より取り寄せが速いこともあります。

Q. 代替として使える汎用品を持っておくべきですか。 A. 1つで多くの品番の代わりになるなら、持つ価値があります。代替品の記録を集計すると、そういう品目が見つかります。単価と保管の場所と合わせて判断してください。

Q. 対応表を作る時間がありません。 A. 1件ずつ足す形で構いません。確認した結果をその日に1行書くだけです。半年もすれば、よく出る組み合わせは埋まります。最初から全部を作ろうとしないでください。

Q. 技術の担当がいない会社では、誰が判断しますか。 A. 仕入先に仕様の比較を出してもらい、客先に確認する形になります。自社で判断できない場合は、判断しないことも1つの選択です。確認したという記録を残してください。

Q. 代替品を出したことを、社内の誰に伝えますか。 A. 営業と、請求をする人です。品番が違うと請求の内容も変わります。記録を1か所に残して、両方が見られる形にしておいてください。

Q. 同じ客先で何度も代替品になります。 A. その品番の在庫の設定を見直してください。代替で済ませ続けると、いつか断られます。注文の品を安定して出せる形に戻すことが本筋です。