代替品の対応|出してよいかを決める3つの確認
目次
注文の品が無い。似た物ならある。そのまま出してよいか、聞いてから出すか。現場で迷う場面です。良かれと思って出した代替品が、客先で使えずに返品になることがあります。判断の基準を決めておくと、その場で止まりません。
この記事では、代替品を、判断が難しい理由、確認する3つ、誰が決めるか、伝え方、記録の残し方の順に整理します。仕様や品質に関わる判断は、社内の技術や品質の担当と取引先に確かめてください。
結論:現場だけで決めない。ただし止まらない形にする
代替品の判断は、現場が単独で決められるものではありません。
理由は3つです。
1つ目は、使える条件が分からないからです。寸法が同じでも、材質や耐久が違うことがあります。
2つ目は、客先の都合が分からないからです。検査の基準、図面の指定。
3つ目は、責任の問題になるからです。違う物を出した事実が残ります。
だからといって、毎回止めていると納期が守れません。「聞かないと出せない」だけでは、担当が不在の日に止まります。現場で判断できる範囲を決めて、そこから外れるものだけ上げる形にしてください。
確認する3つ
代替品を出してよいかは、3つを確かめれば判断できます。
1つ目は、仕様が同じかです。寸法、材質、性能。カタログの品番が違っても中身が同じことがあります。
2つ目は、客先が指定しているかです。図面や注文書で品番が指定されていれば、勝手に変えられません。
3つ目は、過去に出した実績があるかです。同じ客先に、同じ代替で出したことがあるか。
3つ目がいちばん速い判断材料です。「前にも同じ組み合わせで出して問題なかった」という記録があれば、その場で出せます。記録が無いと、毎回確かめることになります。
現場で判断できる範囲を決める
止まらないようにするには、線を引きます。
線の引き方は4つです。
1つ目は、品目で決めることです。消耗品や汎用品は現場の判断で可。
2つ目は、客先で決めることです。指定の厳しい客先は必ず確認。
3つ目は、金額で決めることです。一定の金額を超えたら確認。
4つ目は、実績で決めることです。過去に出したことのある組み合わせは可。
4つ目を一覧にしておくと、いちばん使えます。「この品番は、この代替品で出してよい」という対応表を作ってください。1回確かめた結果が、次から現場で使えるようになります。
誰が決めるか
現場で決められない場合、誰に上げるかを決めます。
決めるのは4つです。
1つ目は、社内の判断をする人です。技術か品質の担当。
2つ目は、客先に確認する人です。営業。
3つ目は、不在のときの代わりです。
4つ目は、決まるまでの時間の目安です。
4つ目を伝えておいてください。現場は「いつ返事が来るか」が分からないと、待つか出すかを決められません。「1時間以内に返事する」と決まっていれば、その間に他の準備を進められます。
客先への伝え方
代替品を出すときは、出す前に伝えるのが原則です。
伝えるのは4つです。
1つ目は、注文の品が無いことです。理由も簡単に。
2つ目は、代わりに出す品です。品番と、違いの説明。
3つ目は、使えるかどうかの判断材料です。仕様の比較。
4つ目は、注文の品がいつ入るかです。待つ選択もあるので。
4つ目を必ず添えてください。「代替品でよいか」だけを聞くと、待つという選択肢が見えません。「代替品なら今日、注文の品なら3日後」と示すと、客先が選べます。
出したあとにやること
代替品を出したら、そこで終わりにしません。
やるのは4つです。
1つ目は、記録に残すことです。いつ、誰に、何の代わりに何を出したか。
2つ目は、対応表に足すことです。次から現場で判断できます。
3つ目は、注文の品を手配することです。次の注文に備えます。
4つ目は、なぜ無かったかを見ることです。在庫の設定が合っていない可能性があります。
4つ目が本体です。代替品を出す場面が続くなら、在庫の持ち方に問題があります。安全在庫の数が少ない、発注のタイミングが遅い。代替品の記録を溜めると、どの品番で起きているかが見えます。
記録に残すこと
代替品の記録は、あとから引ける形にします。
書くのは5つです。
1つ目は、日付と客先です。
2つ目は、注文の品番と数量です。
3つ目は、出した品番と数量です。
4つ目は、承認した人です。社内の誰が、客先の誰が。
5つ目は、その後の結果です。問題なく使えたか。
5つ目まで書いてください。出したところで記録が終わっていると、使えたかどうかが分かりません。次に同じ判断をするときの材料になりません。1か月後に1行足すだけで足ります。
対応表の作り方
判断を速くするのは、対応表です。
入れるのは4つです。
1つ目は、注文の品番です。
2つ目は、代替として出せる品番です。複数あれば全部。
3つ目は、条件です。「この客先を除く」「この用途のみ」。
4つ目は、確かめた日と確かめた人です。
3つ目が無いと使えません。「代替可」とだけ書いてあると、条件のある場合に間違えます。客先や用途の条件を1行添えてください。条件が複雑なら、その組み合わせは対応表に入れず、毎回確認にします。
断る判断も持っておく
代替品を出さないほうがよい場面もあります。断る判断を持っておきます。
断るのは4つです。
1つ目は、図面で品番が指定されている場合です。
2つ目は、安全に関わる部品の場合です。
3つ目は、検査の基準が決まっている場合です。
4つ目は、過去に問題が起きた組み合わせの場合です。
4つ目を記録から引けるようにしてください。一度問題が起きた組み合わせは、次も起きます。対応表に「不可」と書いて残すと、同じ間違いが防げます。うまくいった記録だけでなく、だめだった記録のほうが役に立ちます。
現場に置く1枚を作る
判断の基準は、現場で見られる形にしないと使われません。
作るのは4つです。
1つ目は、確かめる3つです。仕様、客先の指定、過去の実績。
2つ目は、現場で判断してよい範囲です。品目、客先、金額。
3つ目は、上げる相手と連絡先です。名前と内線。
4つ目は、返事が来るまでの目安です。
この4つをA4で1枚にして、出荷の場所に貼ってください。対応表は別に置きます。1枚を見れば、判断するか上げるかが決まる形にすると、迷う時間が消えます。
出荷の直前に気づく形にする
代替品の判断は、梱包の前に決めるのが理想です。
作るのは4つです。
1つ目は、ピッキングの時点で欠品が分かる形です。リストに無い物を探す時間をかけない。
2つ目は、欠品が出たらすぐ連絡する流れです。
3つ目は、他の品物の梱包を止めない形です。1品目の欠品で、出荷全部が止まらないように。
4つ目は、分納の判断です。あるものだけ先に出すか。
4つ目を決めておいてください。代替品を待つあいだ、他の品物も止まることがあります。客先が分納を受け入れるなら、先に出せます。客先ごとに分納の可否を台帳に書いておくと、その場で判断できます。
客先ごとの傾向を持っておく
代替品の受け入れ方は、客先によって大きく違います。
持っておくのは4つです。
1つ目は、代替を受け入れるかどうかです。原則として受ける客先と、受けない客先。
2つ目は、確認の相手です。現場の担当か、購買か、技術か。
3つ目は、返事が来るまでの時間です。その日のうちか、数日か。
4つ目は、過去の実績です。
3つ目を知っていると、判断が変わります。返事に3日かかる客先なら、確認を待つより注文の品を取り寄せたほうが速いことがあります。台帳に1行書いておくだけで、選び方が変わります。
代替品の在庫を持つかどうか
代替として使える品目を、あらかじめ持っておくという考え方があります。
見るのは4つです。
1つ目は、代替として使える範囲の広さです。多くの品番の代わりになるか。
2つ目は、過去に代替として出した回数です。
3つ目は、単価と保管の場所です。
4つ目は、注文の品の入りやすさです。すぐ入るなら、持つ必要は薄くなります。
1つ目が大きい品目は、持つ価値があります。1つで10品番の代わりになる汎用品なら、その1品目を持つだけで欠品の場面が減ります。代替品の記録を集計すると、そういう品目が見つかります。
まとめ
代替品の判断は、現場だけで決めず、ただし止まらない形にします。
- 確かめるのは、仕様・客先の指定・過去の実績の3つ
- 現場で判断できる範囲を線引きする。過去の実績を対応表にするのがいちばん効く
- 客先には「代替品なら今日、注文の品なら3日後」と選べる形で伝える
- 出したら記録し、対応表に足し、なぜ無かったかを見る
- だめだった記録のほうが役に立つ。対応表に「不可」を残す
仕様や品質に関わる判断は、社内の技術や品質の担当と取引先に確かめてください。
よくある質問
Q. 現場の判断で代替品を出してよいですか。 A. 範囲を決めてください。消耗品や汎用品、過去に実績のある組み合わせは現場の判断でよい、という形が使われます。図面で指定されているものは必ず確認します。
Q. 判断する人が不在です。 A. 代わりの人を決めておいてください。「聞かないと出せない」だけでは、不在の日に止まります。代わりの人と、決まるまでの時間の目安を決めます。
Q. 客先に何を伝えますか。 A. 注文の品が無いこと、代わりに出す品と違い、判断の材料、注文の品がいつ入るかの4つです。待つ選択肢を示さないと、客先が選べません。
Q. 対応表はどう作りますか。 A. 注文の品番、代替として出せる品番、条件、確かめた日と人です。条件を1行添えてください。「代替可」とだけ書くと、条件のある場合に間違えます。
Q. 代替品を出す場面が続きます。 A. 在庫の持ち方に問題があります。安全在庫の数が少ないか、発注のタイミングが遅いかです。代替品の記録を溜めると、どの品番で起きているかが見えます。
Q. 出したあとの記録は、どこまで書きますか。 A. 使えたかどうかまで書いてください。出したところで終わっていると、次の判断の材料になりません。1か月後に1行足すだけで足ります。
Q. 一度問題が起きた組み合わせがあります。 A. 対応表に「不可」と書いて残してください。だめだった記録のほうが役に立ちます。うまくいった記録だけを残すと、同じ間違いを繰り返します。
Q. 客先が急いでいて、確認を待てません。 A. 「代替品を出すが、使えなければ引き取る」という条件で出す形があります。その場合も記録に残し、客先の誰の了解を得たかを書いてください。口頭だけにしないことです。
Q. 断るべき場面はありますか。 A. 図面で品番が指定されている、安全に関わる部品、検査の基準が決まっている、過去に問題が起きた組み合わせ。この4つは断ってください。
Q. 代替品の価格はどうしますか。 A. 注文の品と違う場合、社内で扱いを決めてください。差額をもらうのか、同じ価格にするのか。その都度決めていると、請求の段階で揉めます。
Q. 仕入先に代替品を提案されました。 A. 社内で確かめてから受けてください。仕入先の「同等品」が、客先の基準に合うとは限りません。仕様の比較を出してもらって、技術か品質の担当が判断します。
Q. 記録は何年残しますか。 A. 社内で決めてください。対応表は消さずに持ち続けるほうが役に立ちます。過去の判断の積み重ねが、そのまま現場の判断の速さになります。
Q. 判断の基準を現場に置きたいのですが。 A. 確かめる3つ、判断してよい範囲、上げる相手と連絡先、返事の目安。この4つをA4で1枚にして出荷の場所に貼ってください。対応表は別に置きます。
Q. 代替品を待つあいだ、他の品物も止まります。 A. 分納の可否を客先ごとに決めておいてください。受け入れる客先なら、あるものを先に出せます。台帳に1行書いておくと、その場で判断できます。
Q. 客先によって受け入れ方が違います。 A. 台帳に4つ書いてください。代替を受けるか、確認の相手、返事が来るまでの時間、過去の実績。返事に3日かかる客先なら、確認より取り寄せが速いこともあります。
Q. 代替として使える汎用品を持っておくべきですか。 A. 1つで多くの品番の代わりになるなら、持つ価値があります。代替品の記録を集計すると、そういう品目が見つかります。単価と保管の場所と合わせて判断してください。
Q. 対応表を作る時間がありません。 A. 1件ずつ足す形で構いません。確認した結果をその日に1行書くだけです。半年もすれば、よく出る組み合わせは埋まります。最初から全部を作ろうとしないでください。
Q. 技術の担当がいない会社では、誰が判断しますか。 A. 仕入先に仕様の比較を出してもらい、客先に確認する形になります。自社で判断できない場合は、判断しないことも1つの選択です。確認したという記録を残してください。
Q. 代替品を出したことを、社内の誰に伝えますか。 A. 営業と、請求をする人です。品番が違うと請求の内容も変わります。記録を1か所に残して、両方が見られる形にしておいてください。
Q. 同じ客先で何度も代替品になります。 A. その品番の在庫の設定を見直してください。代替で済ませ続けると、いつか断られます。注文の品を安定して出せる形に戻すことが本筋です。