直送の管理|倉庫を通らない荷物をどう追うか
目次
仕入先から客先へ直接送る。倉庫を通らないので、社内では誰も現物を見ていません。着いたかどうか、正しい物が行ったかどうか、こちらには分かりません。直送は手間が減るぶん、見えなくなる部分が増えます。
この記事では、直送を、見えなくなるもの、追うための記録、仕入先と決めること、間違いが起きたときの動き、在庫との関係の順に整理します。取引の条件や責任の範囲は契約で決まります。社内の営業と、取引先に確かめてください。
結論:現物を見ていないので、記録でしか追えない
直送は、倉庫を通らない出荷です。
見えなくなるのは3つです。
1つ目は、物そのものです。数も状態も、社内の誰も確かめていません。
2つ目は、出荷の日です。仕入先がいつ出したかは、聞かないと分かりません。
3つ目は、着いたかどうかです。客先か仕入先に聞くまで分かりません。
3つとも、記録と連絡でしか埋められません。倉庫を通る出荷なら現物を見て気づけますが、直送は気づく機会がありません。だから仕組みが要ります。
追うための記録
直送の記録は、普通の出荷とは別の項目が要ります。
書くのは5つです。
1つ目は、受注の内容です。品番、数量、客先、希望の納期。
2つ目は、仕入先への発注の内容です。いつ、何を、どこへ送るよう頼んだか。
3つ目は、仕入先の出荷の連絡です。出荷日と送り状の番号。
4つ目は、到着の確認です。いつ着いたか。
5つ目は、客先への連絡です。出荷しましたと伝えた日。
3つ目が抜けると、何も追えません。仕入先から出荷の連絡が来ない取引では、こちらから聞く形にしてください。「出荷したら送り状の番号を連絡する」と取り決めておくのがいちばん確実です。
仕入先と決めること
直送は、仕入先が客先と直接やり取りする形になります。決めごとが要ります。
決めるのは4つです。
1つ目は、送り状の名義です。自社名で出すか、仕入先の名前で出すか。
2つ目は、納品書の内容です。単価を入れるかどうか。仕入価格が客先に見えてしまうことがあります。
3つ目は、梱包と表示です。自社の指定があるか。
4つ目は、出荷の連絡です。いつ、誰に、何を知らせるか。
2つ目が事故になります。仕入先が普段どおりの納品書を同梱すると、仕入価格が客先に届きます。直送を始める前に、必ず確かめてください。「金額の入らない納品書を同梱」と決めるのが一般的な形です。
客先と決めること
客先の側にも、知らせておくことがあります。
伝えるのは4つです。
1つ目は、直送になることです。別の会社から届きます。
2つ目は、どこから届くかです。送り主の名前。
3つ目は、検品の方法です。客先が受け取って数を確かめます。
4つ目は、不具合があったときの連絡先です。自社へ連絡してもらいます。
4つ目を伝えておかないと、客先が仕入先に直接連絡します。そうすると、自社が知らないところで話が進みます。「不具合は弊社へご連絡ください」と、注文請書か納品の案内に書いておいてください。
間違いが起きたときの動き
直送で間違いが起きたら、3者のあいだで動きます。
動きは4段です。
1つ目は、客先から内容を聞くことです。何が、いくつ、どう違うか。写真をもらいます。
2つ目は、仕入先に確かめることです。何を出したか、記録と送り状。
3つ目は、対応を決めることです。不足分の手配、回収、返金。
4つ目は、記録に残すことです。
1つ目で写真をもらってください。現物を見ていないので、言葉だけでは状況が分かりません。外装、中身、送り状。この3枚があれば、仕入先との話が速く進みます。
在庫との関係
直送は、在庫を通りません。システム上の扱いを決めておく必要があります。
決めるのは4つです。
1つ目は、在庫を計上するかです。通過したことにするか、まったく通さないか。
2つ目は、受注への引当てです。在庫が無くても受注を受けられる形か。
3つ目は、仕入の計上です。いつ仕入れたことにするか。
4つ目は、売上の計上です。
1つ目を決めないと、数が合わなくなります。直送なのに在庫を通す設定になっていると、入っていない物が在庫に載り、出ていない物が減ります。瞬間的には合っても、途中で棚卸をすると差異が出ます。経理の担当と決めてください。
納期の管理
直送では、納期の確認がこちらの仕事になります。
やることは4つです。
1つ目は、仕入先の納期を確かめることです。発注のときに回答をもらいます。
2つ目は、客先に伝えることです。
3つ目は、遅れそうなときに先に連絡することです。
4つ目は、着いたことを確かめることです。
3つ目がいちばん差になります。倉庫を通る出荷なら、遅れていることに社内で気づけます。直送は気づけないので、発注のときに「遅れる場合は連絡してください」と頼む形にしてください。頼んでおかないと、着かないことで初めて分かります。
一覧にして見る
直送の案件は、一覧にして見ないと抜けます。
入れるのは5つです。
1つ目は、受注の日と番号です。
2つ目は、客先と品目です。
3つ目は、仕入先と発注の日です。
4つ目は、出荷の連絡を受けた日です。
5つ目は、到着を確かめた日です。
5つ目が空欄のまま残っているものを、毎週見てください。出荷の連絡は来たが、着いたかどうかを誰も確かめていない案件が溜まります。週に1回、空欄を埋める時間を取れば、抜けが消えます。
直送を使う判断
すべての案件を直送にできるわけではありません。向き不向きがあります。
向いているのは4つです。
1つ目は、大きい物や重い物です。倉庫を通すと、荷役の手間が二重になります。
2つ目は、急ぐ物です。倉庫を経由する日数が省けます。
3つ目は、そのまま出せる物です。検品や加工が要らないもの。
4つ目は、仕入先が信頼できる場合です。
3つ目と4つ目を確かめてください。検品が要る物を直送にすると、不良がそのまま客先へ行きます。倉庫を通す手間は、検品の機会でもあります。手間だけを見て決めないでください。
社内の役割を決める
直送は、営業・購買・出荷のあいだで抜けます。役割を決めます。
決めるのは4つです。
1つ目は、発注する人です。仕入先へ依頼する人。
2つ目は、追う人です。出荷の連絡と到着を確かめる人。
3つ目は、客先へ連絡する人です。
4つ目は、間違いが起きたときの窓口です。
2つ目が決まっていない会社が多くあります。発注したら終わりになっていて、着いたかどうかを誰も見ていません。倉庫を通る出荷では出荷の担当が自然に見ていますが、直送には見る人がいません。名前で決めてください。
仕入先を選ぶときに見ること
直送を任せられるかどうかは、仕入先の力によります。
見るのは4つです。
1つ目は、出荷の連絡ができるかです。送り状の番号を知らせてもらえるか。
2つ目は、納品書の調整ができるかです。金額を入れない形にできるか。
3つ目は、梱包の質です。客先に届く物なので、見た目も関わります。
4つ目は、間違えたときの対応の速さです。
2つ目ができない仕入先では、直送を使えません。システムの制約で納品書を変えられない会社があります。始める前に確かめてください。あとから分かると、既に出てしまっています。
費用の分担を決める
直送では、送料や梱包の費用がどちらの負担かを決めます。
決めるのは4つです。
1つ目は、送料です。仕入先が持つか、こちらが持つか。
2つ目は、梱包の材料費です。指定の梱包を頼む場合。
3つ目は、急ぎの便の追加費用です。
4つ目は、間違いがあったときの回収と再送の費用です。
4つ目を先に決めておいてください。間違いが起きてから話すと、責任の話と費用の話が混ざります。「仕入先の出荷ミスなら仕入先が負担」というように、原因ごとに決めておくと揉めません。
直送の割合を見る
直送が増えると、倉庫を通らない売上が増えます。全体を見る必要があります。
見るのは4つです。
1つ目は、直送の件数と金額です。全体に占める割合。
2つ目は、間違いの件数です。倉庫を通る出荷と比べます。
3つ目は、納期の守られ方です。
4つ目は、客先からの評価です。
2つ目を比べてください。直送のほうが間違いが多いなら、倉庫を通す手間には理由があったということになります。件数が少ないうちは気づきませんが、割合が増えると差が出ます。
記録を1つの場所にまとめる
直送の記録は、あちこちに散らばりがちです。1か所にまとめます。
集めるのは4つです。
1つ目は、受注の記録です。営業が持っています。
2つ目は、発注の記録です。購買が持っています。
3つ目は、出荷の連絡です。メールで来ることが多くあります。
4つ目は、到着の確認です。誰かが電話で聞いた結果。
3つ目と4つ目が散らばります。メールの受信箱や、個人のメモに残ります。案件ごとに1行の一覧を作って、そこに日付を書き込む形にしてください。メールを探し回る時間が消えます。
まとめ
直送は、現物を見ていないので、記録でしか追えません。
- 見えなくなるのは、物・出荷の日・着いたかどうかの3つ
- 仕入先とは、納品書に金額を入れないことを必ず決める
- 客先には「不具合は弊社へ」と伝える。直接やり取りされると話が見えなくなる
- 在庫を通すかどうかを経理と決める。設定がずれると棚卸で差異になる
- 検品が要る物を直送にしない。倉庫を通す手間は、検品の機会でもある
取引の条件や責任の範囲は契約で決まります。社内の営業と、取引先に確かめてください。
よくある質問
Q. 仕入先が納品書に単価を入れて送ってしまいました。 A. 直送を始める前に決めておく必要がある項目です。「金額の入らない納品書を同梱」と取り決めてください。起きてしまった場合は、客先に説明し、仕入先にも再発の防止を求めます。
Q. 送り状の名義はどちらにしますか。 A. 自社名で出す形が多くあります。客先から見て、どこから届くのかが分かりやすくなります。仕入先の発送の仕組みで対応できるかを確かめてください。
Q. 着いたかどうか、どう確かめますか。 A. 送り状の番号で追うか、客先か仕入先に聞きます。一覧に「到着を確かめた日」の欄を作って、空欄を毎週見る形にしてください。
Q. 客先が仕入先に直接連絡してしまいます。 A. 「不具合は弊社へご連絡ください」と、注文請書か納品の案内に書いてください。自社が知らないところで話が進むと、あとで揃えるのが大変になります。
Q. 在庫はどう扱いますか。 A. 通過させるか、まったく通さないかを経理の担当と決めてください。設定がずれていると、入っていない物が在庫に載ります。途中で棚卸をすると差異が出ます。
Q. 遅れていることに気づけません。 A. 発注のときに「遅れる場合は連絡してください」と頼んでください。倉庫を通る出荷と違い、社内で気づく機会がありません。頼んでおかないと、着かないことで初めて分かります。
Q. 間違いが起きたとき、何からやりますか。 A. 客先から写真をもらってください。外装、中身、送り状の3枚です。現物を見ていないので、言葉だけでは状況が分かりません。写真があると、仕入先との話が速く進みます。
Q. 検品はどうしますか。 A. 客先が受け取って確かめる形になります。だから検品が要る物は直送にしないでください。倉庫を通す手間は、不良を止める機会でもあります。
Q. どの案件を直送にしますか。 A. 大きい物、重い物、急ぐ物、そのまま出せる物です。検品や加工が要る物、仕入先の品質が安定しない物は避けてください。手間だけを見て決めないことです。
Q. 一覧は何を見ますか。 A. 受注、客先と品目、仕入先と発注日、出荷の連絡を受けた日、到着を確かめた日です。到着の欄が空欄のまま残っているものを毎週見てください。
Q. 売上と仕入はいつ計上しますか。 A. 社内の経理の担当に確かめてください。出荷の日か、到着の日かで扱いが変わります。決めたら、直送の記録にその日付を残す形にしてください。
Q. 仕入先に客先の情報を渡してよいですか。 A. 渡さないと直送ができませんが、秘密保持の契約を確かめてください。客先の同意が要る場合もあります。社内の営業と確かめてから進めてください。
Q. 着いたかどうかを誰も見ていません。 A. 追う人を名前で決めてください。倉庫を通る出荷では出荷の担当が自然に見ていますが、直送には見る人がいません。一覧の空欄を毎週見る担当を1人置くだけで変わります。
Q. 仕入先が納品書を変えられないと言います。 A. その仕入先では直送を使えません。始める前に確かめてください。あとから分かると、既に仕入価格が客先に届いています。梱包の質と出荷連絡の可否も、同じタイミングで確かめます。
Q. 間違いがあったときの費用は、どちらが持ちますか。 A. 原因ごとに先に決めておいてください。「仕入先の出荷ミスなら仕入先が負担」というように決めておくと、起きてから揉めません。契約か取り決めの書面に入れます。
Q. 直送を増やしてよいものでしょうか。 A. 間違いの件数を、倉庫を通る出荷と比べてください。直送のほうが多いなら、倉庫を通す手間には理由があったということになります。件数の少ないうちは差が見えません。
Q. 出荷の連絡がメールで来ます。 A. 案件ごとの一覧に日付を書き込んでください。メールの受信箱に残ったままだと、探し回ることになります。一覧の1行に集約すれば、状況が一目で分かります。